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小林聡美さんと春馬くんのこと

最近も小泉今日子さんと共演したBSドラマ「団地のふたり」を演じておられた小林聡美さんの「転校生」をAmazonプライムで観ました。
1982年に映画公開された大林宣彦監督の広島の尾道が舞台の青春映画です。

もう何度かリメイクされていますが、
オリジナルはずいぶん昔に観たような記憶がありました。
ストーリーはよく知られていると思います。
あらためて観てみるとやっぱりとてもおもしろかったです。
原作は山中恒さんの児童文学だったんですね。


映画『転校生』

名前が一字違いの転校生が都会から尾道に転校して来て、お寺の境内の高い石段を一緒に転げ落ちた2人はカラダが入れ替わってしまいます。

小林聡美さんは、16歳くらいだったのでしょうか。
役どころの斎藤一美は、少女らしいイケメンの先輩に憧れる都会からやって来た女の子で、カラダが入れ替わったことで、突然に男の子になってしまいます。

入れ替わった男の子は斎藤一夫くん。
当時10代の尾美としのりさんが演じていました。
そして今回の映画を観直して気がついたのですが、
一夫くんのお母さんは、樹木希林さんでした。

もうみなさんはご存知でしょうが、女の子が突然に男の子になって、男の子が突然に女の子になるわけですから当然混乱します。そして2人は思春期真っ只中です。

小林聡美さんの役どころの斎藤一美は、突然に男の子にカラダだけなってしまうのですが、この変化がやはりすごかったです。

昔の映画だからボーイッシュなんて程遠くて、
女の子らしい内気な少女の設定で突然に男の子になるのだから大変なのです。

きっと10代の彼女には、抵抗があったシーンが、
いっぱいあったのではないかと思いました。
昔の映画だからコンプライアンスなんてまるでないのです。

男の子の一夫くんが女の子のカラダになっているのを演じているのが小林聡美さん自身なのですから、
一夫くんは、女性の体になっていることに頓着が一切ない大胆な行動をするのです。

その思い切りの良さと演技力が、女の子である彼女と男の子になっている彼女とではまるで別人で、
やはり彼女の演技は、この10代の頃からすごかったのだなと思いました。

小林聡美さん


小林聡美さんの魅力は、この自然体ということに尽きると思います。演技力のある方なのですが、
とても自然体だからどんな役どころでもすっとその役におさまります。

そしてその役どころがいつもとても自然なので、
どんな世界観であっても自然な存在力がとても魅力的な女優さんだなといつも思います。
年齢を重ねていくと役柄が限定されると思うのですが
お母さん役をしている彼女を見たことがない気がします。

そして10代から芸能界にいるのに、いわゆる芸能人•業界人らしさというのが一切ない不思議な人だとずっと思って来ました。

この芸能人らしくない自然体の不思議な存在感は、
春馬くんにもずっとありましたが、どうして子供の頃からあの特殊な芸能界にいて染まっていかなかったのか、自然体を保っていけたのかをずっと考えて来ました。

その一端が少し知れたような小林聡美さんのインタビュー記事を見かけたので一部引用させていただきます。

20代の頃は仕事も含め、刺激的ではありましたけど、この仕事って本当に自分に向いているんだろうか、もっと他にも選択肢はあるんじゃないか、と心のどこかでいつも感じながら過ごしていましたね。この仕事はいつでもやめられるし、いつだって新しいことを始められる、みたいな気持ちでいた気がします。そう思いつつも結局、実行には移せませんでしたけどね。

30代になって一度結婚して、また新しい世界が広がって気持ちが楽になるときもありましたけど、20代は本当に.....漠然とした「なりたい自分」に自分が全然近づけていないことを、もどかしく感じていました。当時は、いわゆるバブルの時代でしたから、テレビドラマにしてもおもしろいこと、新しいことをどんどんやろうとみんなが考えていて、実験的な作品にいくつも参加させてもらえたのはすごく楽しかったんです。出会う人もおもしろい人たちばかりでしたし。
ただやっぱり、私自身は業界の空気に馴染めない感じもあって、居心地はあまりよくなかったかも……。

小林聡美さんインタビュー記事より

小林さんと春馬くん


この記事を読んで、わたしはやっぱり春馬くんのことを考えていました。

春馬くんも何度も仕事をやめようと思ったと言っていましたね。
バイトもしたことがなかった春馬くんがガテン系の仕事をしたこともあったと書いてありました。

春馬くんも心のどこかで、小林さんのように演じることは大好きでも業界やその空気に馴染めないところや、仕事が本当は向いていなのではと考えたり、
他にも選択肢があるのではと、ずっと葛藤していたのではないかと思うのです。

そのたびに演じることが大好きな彼は結局思いとどまって来たのだろうし、聡美さんもやっぱり演じることが好きで残ってこられたのかも知れないなと思います。

ふたりは、年齢も離れていますが子供の頃からいた芸能界は、エンタテインメントの世界では刺激的でおもしろいことがいっぱいあってやりがいも、求められていることもたくさんあったけれど、その業界の空気には染まりたくないと自然でいたいと普通の人の感覚を失いたくないという強い想いがふたりの魅力として醸しだされていったのかも知れないと思ったのでした。

小林さんも友人は、業界人ではなくて一般の方だと書いてありました。
春馬くんも仲間はいても本当の意味での友人は業界の人ではなかったのかも知れませんね。

小林さんのインタビュー記事を読んで、どこかでふたりの共演があったら良かったのにとか、春馬くんにも小林さんのような穏やかな未来があったのかもと考えてしまったのでした。


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ろーず
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