以前にもここで書きましたがこのたびシェア型書店で棚主を始めることにしました。 場所は一関市のtsugibooksTEN.さん。 まだ新しいお店です。 3月にオーナーさんとお話をし、その後約1ヶ月をかけてのんびり本を準備。 自分の蔵書をそのまま売る方も多いようですが、悲しいことに僕は本だけは手放せない性格の人間。自分の好きな本、紹介したい本を新たに買い揃えました。 そして4月中旬、オーナーさんに登録料、会費を支払い、棚に本を並べました。 晴れて棚主となったわけです。 屋
久しぶりに風邪をひいた。 喉の違和感から始まり、やがて全身を倦怠感が覆う。風邪を自覚した頃、喉の痛みが増すとともに体温も上昇し発熱症状が出る。こうなるとしばらく辛い。 今は熱も引き、喉の痛みもほぼ消えて、鼻水が辛い時期だ。自分の今までの傾向からするとこの段階まで来ると治りが近い。 ここまで風邪らしい症状が出るのは珍しい。普段からそれなりに健康的な生活を心がけているおかげか、風邪をひくことはほとんど無い。 だが今でこそ丈夫な僕だが、小学校低学年ぐらいまではしょっちゅう熱を
仕事の都合でつい先日実家のある小山市に帰省した。 実家の前まで来て僕は愕然とした。 家の前に広がっていた田んぼに重機が入っていたのである。 家族に聞くと、近くに新しくできた施設の駐車場になるとのこと。田んぼだった場所の全てが駐車場になるわけでは無いようだが、残された小さなスペースが田んぼになることは恐らくもう無いだろう。 何とも言いようの無い、やるせない気持ちになった。 僕の実家が稲作をやめてから、近くの田んぼはここだけになっていた。幼い頃から田んぼを眺めるのが好きだった
何の縁も無かった町に住み始めて、10ヶ月が経とうとしています。 そんな街にシェア型書店ができていました。 東京をはじめとした都会にはそんなタイプの書店があるとは聞いていましたが、それが自分の住んでいる町にできるとは思いもよりませんでした。 実際にお店へ行ってみました。 お店には大きな棚がそびえ立ち、すでに多くの本が入っていました。それは棚ごとに違った個性が出ており、1つ1つの棚が小さな書店の様相を呈していました。 SNSを確認するとまだ棚主を募集中とのこと。 出版
いつの頃からか、実家の障子が破れたままになっている期間が長くなった。 そのうちにまともな修復もされなくなり、ガムテープや、白い紙で穴を塞ぐだけの応急処置で済まされるようになった。 僕はそれがなんとなく悲しかった。 僕の実家は典型的な農家の家で、広い土間を入口に、畳の部屋が続いていく純和風の建物だ。 正確な建築年は分からないが、今年で90になる祖母が嫁に来たときには建っていたらしいので築70年以上は間違い無い。 古民家、と言えば聞こえは良い。ただ一歩間違えはボロ屋敷にも
生まれてこの方、海というものにあまり縁が無い。 生まれ育ったのは海の無い栃木県だし、大学も海の無い山梨県だった。その後住んだ場所も、現在住んでいる場所も内陸だ。例えばこれから海に行くとすれば車で峠道を1時間ほど走らなければならない。 僕にとって海はずっと遠い存在で、未だに海には非日常的な特別感がある。 今でもそんな感じなのだから、世界を知らない幼い頃なんて海は異世界と言っていいぐらいの存在だった。 どこまでも続く大海原。あの向こうに「外国」というよくわからないけどすごい
僕は出版社の営業ですので、書店へ本を発注させることが仕事です。 イメージが沸きにくいかもしれませんが、書店の担当の方にアポを取り付けてお店へ向かいます。そこで新刊の紹介や棚への自社書籍の補充提案、企画(自社書籍をたくさん展示するフェアなど)の提案などを行い、たくさん注文を貰えれば営業成績も上がるという世界です。 ただ時々何かのイベントなどの際に、即売という形で即席の本屋さんを務めることもあります。書店や取次を介さないため、売上の100%が出版社に入るのが利点です。 どちら
■顧客:Y谷 ※重要回収対象 ■日時:6月✕日 ■担当者:S村 ■日報 4年前の売掛金回収(売上コード0084756)のため、アポイントを入れる。 繋がらなかったが、固定電話自体は生きている。 しばらくこのエリアを回るため何度か連絡を入れてみたい。 ■顧客:Y谷 ※重要回収対象 ■日時:6月✕日 ■担当者:S村 ■日報 何度目かの電話で若い女性らしき声で応答があった。売掛金の件について訪ねてみると、「それは父に訪ねて見てほしい。」との返事。夜になれば帰るとのことなので、改め
僕が小学生の頃、「脳トレ」が流行りました。 ご多分に漏れず我が家でもDSのゲームを書い、「計算20」とかラクなゲームをよくやったものでした。アラサー迎えた今こそやったほうがいい気もするけどあのゲームどこに行ったんだろ。 さて脳トレをやるときに川島教授が言ってたのが、「脳は筋肉と同じで使わないと衰えるんです。」ということ。小学生の僕はそもそも「筋肉って成長とともに無限に増えていくんじゃないの?」って思ってたぐらいです。お年寄りならいざ知らず、普通の大人の脳までが衰えるとはとて
ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの これは作家の室生犀星が詠んだ詩の一節です。僕は今は遠くの故郷について考える時、いつもこの詩を思い出します。 僕の地元は栃木県の南側にある小山市という街です。 その名に反して市内に山は無く、どこまでも平地 が広がっていく、典型的な関東の街と言えます。 多くの人には新幹線が停まる場所で名前を覚えてもらっているかもしれません。あとはかつて「おやまゆうえんち」があったことでしょうか。 「小山市って何があるの?」 と聞かれ
六十年前、祖母はこの町に嫁いできた。当時全国を旅していた祖父と出会い、そのまま結婚を決めここへ移って来たのだという。以来、祖母は郷里に帰ることなくこの町に暮らしている。既に縁談が決まっていたにも関わらず、突如現れた旅の男のもとへ行った祖母には帰る家などなかったのだ。しかしそれでも祖母は、祖父との慎ましい日々を幸せそうに暮らしていた。 ある日祖父が死んだ。脳溢血だった。友人と将棋を指していたら急に倒れたらしい。そのまま意識が戻ることは無く、あまりにもあっけなく祖父は逝っ
僕は都会が嫌いでした。 東京なんてもってのほかです。 人はやたらに多くて息が詰まるような思いがするし、コンクリートで覆われた無機質な街並みでは心を落ち着けることもできません。 そう思ってました。 僕は北関東にあるそこそこの規模の街で生まれ育ちました。実家は農業を営んでおり、幼い頃から自然に親しむ機会は多かったと思います。 ただ交通の便が良い街だったので、首都圏のベッドタウン化は着実に進行していき、森や田畑はどんどんありきたりな分譲住宅やアパートに変貌していきました。 僕
あなたは深夜の道路を歩いている。空には雲が広がり月あかりも星の瞬きも無い。わずかに灯る街灯の光は弱弱しく、むしろ暗闇を強調させているだけだ。 周囲を見渡してもあなた以外に歩いている人はいない。車の往来も無く、自分の足音だけが闇夜に響いては消えていく。あなたはこの空間が現実のものであるか甚だ不安になっていく。早く家に帰ろう、そう思ったあなたは足を速める。 するとあなたは不意に後ろが気になってしまうだろう。ひたひたと湿った足音のような音が聞こえてくる。振り返ってはいけ
出版社の営業をしていて 私はとある出版社の営業をしている。 出版社の営業と聞くと一般の人はどんなイメージを持っているだろうか。もちろん、会社によって営業スタイルは様々だろうが、基本的には各書店を回り、書籍の補充提案、フェアなどはじめとした企画の案内、新刊の紹介などを行っているはずだ。私もその例に漏れず毎日せっせと東北各地の書店へ足を運んでいる。 この業務に着いてから3年が経とうとしている。残念ながらこのたった3年の間に私の担当している書店は着実に減少していっている。
初めての投稿もそうだが、今回もスマホでこの文章を書いている。 「書いている」と記すこと自体に違和感を感じるのは自分だけだろうか。 自分にとって「書く」ということは、実際にペンを持って紙に何かを表していく、というイメージだ。「書く」という言葉自体、「引っ掻く」などという「掻く」の部分が元になっているそう。つまり、木とか石とかそういう物を引っ掻いて文字を表していたわけだ。 思えば現代社会において、自分の手で文字を書く、ということはだいぶ少なくなった気がする。 毎日の日記は紙
昨年、それなりの都会からそれなりの田舎へ引っ越しました。 北国をさらに北上し、雪国と言っても差し支えのないぐらいの場所まで来ました。 それなりの都会にあったものが、それなりの田舎にはありません。 色んなものが足りないけれど、やっぱり街に活気が無い、っていうのをひしひしと感じます。かつては人で賑わったであろう商店街は、かえって地方の衰退を象徴しているような気がします。 行き先は限られ、知人はほとんど無い一人暮らしでは1日中部屋にこもることも増えました。 ただただ部屋で