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ウルトラセブン放送開始記念日、真の「侵略者」とは実は…?

日中、だいぶ涼しくなってきましたね。10月に入り、ハッキリ夏が去ったように感じられるようになりました。
そして10月1日というと、ウルトラセブンの放送開始記念日だったりします。

特撮ヒーロー数あれど、自分が物心ついて初めて観た作品として挙げられるのは、これ一つです。もっともリアルタイム世代ではないので1967年の10月1日に出会った、というわけではありませんが。
しかしそれでも、最推し作品の記念日はお祝いしたくなりますね。

57周年、おめでとうございます。

滅茶苦茶な第一話

あらためて、57年前の今日放送されたウルトラセブン第一話を観返してみたのですが…もちろん熟知したうえで言いますと、やっぱりヒドい(笑)。

ウルトラセブン第1話 / 「姿なき挑戦者」
頻繁に発生する人間蒸発事件を宇宙人の仕業と断定した地球防衛軍は、精鋭チーム“ウルトラ警備隊”に出動を要請する。早速、捜査を開始したフルハシ隊員とソガ隊員の前に突如現れ、警告を発する謎の風来坊。彼はモロボシ・ダンと名乗り、宇宙人を迎撃するために有効な作戦を提案した。果たして、彼の正体は?
(ツブラヤイマジネーションより引用)


企画段階では「ウルトラ警備隊」だった名残でしょうか、丁寧に隊員一人一人を紹介していき、侵略の脅威にさらされている世界観、それに立ち向かう組織の骨格までが語られる、第一話に必要な基礎情報の詰まった幕開けの一編です。
そこはいいのですが、肝心の主人公、モロボシダンの在り様があまりにも雑なんですね。ポインター号を止める格好で現れるのはいいのですが、最初から不審人物感アリアリで、「なんでそんなこと知ってんだ?」的な敵の情報までペラペラ喋ります。警備隊の隊員の名前まで知っていて、素性を聞いても「見てのとおりの風来坊」、名前は「モロボシ・ダンとでもしておきましょう」

「しておきましょう」ってなんだ、堂々と偽名を使ってるのか。

この有名なスチールですが、このシーンでフルハシ、ソガ両名の
ヘルメットがやけに汚いのが気になりました(笑)

隊員二人が敵の攻撃で負傷したとはいえ、いきなりそんな風来坊に運転させるし、ソガ隊員と基地との通信はカメラのアングルがおかしいし、その後ダンの提案を疑いもせず採用するキリヤマ隊長もどうかと思うし、さらには臨時隊員とかいってホーク1号に乗ってるし、事件後はいきなり正式に隊員になっているし…。
森次さんが著書でハッキリ「おかしい」と言っていたほどの1話です(笑)。こんな簡単に隊員になれたら、他のメンバーから相当やっかみを受けたのではないか、とも書かれていましたね。
上のサムネになっている、クール星人の円盤内セットは結構凝っているなぁと思いつつも、肝心の戦いはアイスラッガーで瞬殺です。形状的に仕方ないのですがクール星人、戦闘力はゼロでした。

まぁでも、コイツに苦戦するセブンなど見たくないので、
戦闘というより処理のような倒し方で良かったと思います
言ってしまえば、昆虫に殺虫剤を使ったレベルでしたね

また、1話なのでデモンストレーション的にカプセル怪獣、ウィンダムが登場しますが…

当時の子供も、見掛け倒しだと思ったことでしょう

これがまた、弱い。クール星人の円盤一つ落とせずに返り討ちに遭ってしまいます。まぁ強かったらセブン要らないってなってしまうのでこれで良いのだと思いますが、近年特空機として活躍していることを考えると驚くべき出世っぷりですよね。

何よりこの1話、ウルトラセブンの活躍どころか姿さえ、ウルトラ警備隊の面々は見ていないんですよね。なのに2話でアンヌ隊員が唐突に
「ウルトラセブン頑張ってー(棒読み)」
と、叫んだりしますし3話でアマギ隊員が空を指さし
「あっ、ウルトラセブンだ!」と呼んでいます。
何処で知った?まさかまた風来坊の話を鵜呑みにしたのか?

とまぁ、序盤ならではのぎこちない展開にツッコミが追いつかない、そんな第一話であります。

それでも、「友」の宇宙人

先週、今週のウルトラマンアーク11・12話ですが…
宇宙から来たロボット、ギヴァス、その名の意味が「友」であったという話がありました。

地球の外から来たような存在とも心を通わせられる、「友」になれるというのがウルトラマンシリーズの普遍的なテーマだと思っており、私の好きな部分でもあります。言い方が若干メフィラスっぽくなりました。
このウルトラセブン第一話、あまりにもダッシュな展開でモロボシダンが仲間入りするので
「あらかじめ地球防衛軍に根回しをしていたのではないか」
などといった邪推もされているような回です。

それは極端ですが、そんな風なことを考えていると宇宙人であるセブンが侵略者たちよりよほど上手く、地球人に取り入っていることになります。違うのは害意が全くなく、純粋に地球に溶け込んでいるという点ですね。
「侵略」という言葉は武力による主権の侵害、と定義されているのでこの場合は当てはまりませんが、私はウルトラマン達こそよっぽど我々の心を掴んでいる、優しい侵略者ではないかと思ったりするんですね。

ウルトラ戦士たちは、地球人の心を盗んでいきました

この場面が思い浮かぶくらい、少なくとも私は赤い宇宙人に心を侵略されてしまっている気がします。
宇宙人との交流、特撮がもたらしてくれる夢の一つなんですね。

シンウルトラマンもまた、そんな「夢」をしっかり描いていました
庵野監督は、ウルトラの本質をしっかりつかんでいます

そんなウルトラセブン、今までもこれからも一番好きな作品として語り継いでいくと思います。

繰り返し、放送57周年、おめでとうございます!

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