新作に併せ、餓狼伝説の思い出を語ってみる
先日のEVOで、餓狼伝説の新作のティーザートレイラーが発表されました。
タイトルは「餓狼伝説 CotW」、前作から実に24年ぶりの新作になるんですよね。
前作・餓狼MOWの思い出
この餓狼伝説シリーズ、90年代にSNKから発売されていた格闘ゲームで、ストリートファイターと並んで格ゲーブームを作ったタイトルです。1作目は最初のストⅡと同じ91年に登場しており、そこから8年、シリーズを重ねていきました。私も全てプレイしていたので、それぞれに思い出がありますが今回は現状の最新作、99年の「MARK OF THE WOLVES」について語ってみたいと思います。
99年は、既に格ゲーブームのピークは過ぎており2D格闘ゲームとなるとカプコンかSNKの2社しか出していないような状況でした。翌年になるとギルティギアがアーケードに登場し風向きが変わってくるのですが、ジャンルとしては下火の時期でした。
しかしこの年カプコンはストⅢ 3rdStrikeという名作を発売していたり、流石に円熟期を思わせるゲームの完成度を見せつけていました。SNKもこの「餓狼 MOW」はこれまでの格ゲーのノウハウを凝縮した傑作だったと言えます。
餓狼伝説シリーズの特徴として、奥行きのあるステージが挙げられます。2ラインバトル、もしくは手前と奥で3ラインを移動して戦う、という独自性がありました。ですがこのMOWはそれを排除しています。元々受けに回った側が一方的に倒されることがないように、という発想からきたシステムだと思うのですがスピード感が損なわれたり、色々と問題がありました。結果的に防御手段として「ジャストディフェンス」を採用して新しいゲーム性を構築しているのがMOWです。
で、システム面はさておきキャラが主人公テリー以外一新され、時代設定も10年近く飛びました。かつてのキャラの息子達が登場し、ストーリー的にも新章突入の作品です。かつてのボスキャラ・ギースの息子でありテリーに育てられ、父親とテリーの技を併せ持つ新主人公ロック・ハワードは、まさにSNKのセンスが爆発したキャラだったと言えますね。
つまりここまでのシリーズとは雰囲気もゲーム性も全く変わったものになり、一目見ると「これは餓狼なのか?」と言われかねない変貌を遂げているんですね。ですが操作性、バランスなどは優れており、ブレーキングという必殺技をキャンセルするシステムはギルティやスト4にも影響を与えていると思います。純粋にゲームとして面白かったので、私も結構ハマっていました。持ちキャラはマルコ、テリーでしたね。
悲しきかな、末期の作品
この餓狼MOW、ゲームとしては良かったのですが、実はこの頃メーカーのSNKは事業拡大の失敗が響き、青色吐息でした。翌年の2000年、アルゼの子会社となったものの再建は叶わず2001年に倒産します。その後権利が現・SNKとなるプレイモア社に渡る訳ですが、この餓狼伝説が復活するまで20年以上の時間を要することになります。
せっかく新キャラや新ストーリーを掲げた直後に、暗礁に乗り上げてしまった餓狼伝説。その後KOFやサムライスピリッツがSNKの魂を繋いできましたが、この度「餓狼」が帰ってくることには、感慨深いものがありますね。99年といえば、アーケードゲーム専門誌だったゲーメストが発行元の新声社の倒産に伴い消滅した年でした。数か月後、アスキーから新雑誌が出るのですが、色々と「時代の終わり」を感じた時期だったんですね。
現在スト6が人気を博していますが、餓狼も盛り上がって欲しいな~と思う格ゲーの歴史を全て辿って来た、おっさんゲーマーの願いです。