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ウルトラマンブレーザー第9話感想…侵略者の生き様に魅せられて

先週のウルトラマンブレーザー第9話「オトノホシ」、ウルトラQの隕石怪獣ガラモンが登場する事で放送前から話題になっていましたが、想像を超える「令和のガラモン回」でしたね。

「セミプロ」ツクシおじさん

まずアンリ隊員がアマチュア楽団と知り合い、交流が始まったというところから物語が始まる訳ですが、ここで「セミプロ」だと名乗ることがちょっとした伏線になってたりします。

昭和の侵略宇宙人たちが半世紀、地球に住み続けすっかり馴染んでしまっていた…という話は近年のウルトラマンでは珍しくないパターンですね。個人的にオーブのブラック司令…ノーバの回などは味があって好きでした。
こういう話だと、宇宙人達が良い人に描かれて憎めない存在になっていることが多いですが、今回のセミ人間たちもそうでした。
「最後のコンサート」と称してウルトラQのメインテーマを演奏し、それによってガラモンを召喚したのですが、「古臭い名前」とか言われているのが逆に最古クラスの怪獣であることを称えているように聞こえました。

原典への敬意


回想シーンがモノクロになったり、昭和おなじみの影絵タイトル、と視覚的にわかりやすいオマージュがありながら、この回最大のリスペクトは、物語全体に流れる「なんとなく不気味」な雰囲気ではないでしょうか。有名なウルトラQのオープニングナレーション、

「これから30分、あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間に入っていくのです」

これを体現しているのが今回の凄い所です。
ウルトラQの頃は「テレビ映画」と呼ばれていた事もあるようにテレビドラマは各回が短編映画の趣きを持っていました。ウルトラQは全28話、放送前に制作が完了していたという異例のパターンですがそれもあり特に完成度が高く、現在も傑作として語り継がれています。
そしてそんなウルトラQの空気感を令和の世に再現してみせたのが今回のブレーザー9話ではないかと思います。アンリ隊員はSKaRDの務めとしてツクシを撃ちます。撃たれたツクシは正体を晒しながら、アンリに感謝の言葉を残し舞台の奥に消えていくのでした。

不気味なフォルムのセミ人間ですが、ツクシは本当に人が良さそうだったのがミソですね

モノクロ時代を思わせるブラックアウトからそのままエンディングへ。
ここも白黒で、ウルトラQメインテーマが流れるという特殊仕様。ガラモンとの戦いではいつものブレーザー、ともいうべきアクションが見られましたが、一瞬別の番組を観ているような錯覚すら起こさせるエンディングでした。

空想特撮の「空想」の意味

こういう昭和のテイストを現代に持ってきた回は特に印象に残りますし、公式配信のコメント欄を見ても絶賛の嵐であることから多くの人の心に響いたことは間違いありません。

宇宙人とある文化を通じて共感しあった、でも共生は叶わなかった。

この事はある側面からすれば地球の秩序が守られた、というだけの話でありながら、現実に見た事もない異星の存在を夢見ることも出来ます。人間の想像力を形にしてみせる、それが空想、特撮の力なんだなと再認識する一編でした。
そして幼少時、自分がウルトラシリーズのそんな部分に惹きつけられたことも忘れられません。

単純明快なストーリーも良いですが、こういう回のピリッとした鑑賞後感がまた、たまらないんですね。
安直な表現ですが、「神回」でした。


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