「きみの色」感想…素朴な楽曲には、淡く綺麗な色がついていた
昨日、アニメ映画「きみの色」を観てきました。
先月、ぼざろ総集編のときに流れた予告で「良さそう」と思っていた作品で、それ以外の予備知識は一切持たずに観てみました。
女子がバンドをやるアニメ、という意味では今年観ている作品においても3本目になります、なぜこうも重なるのでしょうね(笑)。
Filmarks感想
きみの色(2024年製作の映画)
予告で気になったので鑑賞。
音楽を通じて出会う三人の少年少女たちの青春物語。
山田尚子監督ということで個人的にはけいおん!のイメージが強いのだが、より淡い色になった「楽器に光を見る」ストーリー。
トツ子の「少し人と違う部分」がアニメーションの表現に彩りを加えている。
想像は出来ていたものの、淡々として起伏に欠ける話で途中、退屈に感じるところもあった。しかし音楽ものの面白みである「バンドが形になっていく過程」はとても良かったし、クライマックスであるライブシーンでは、
「素人の初ライブ」
なさまがよく出ていて、他のバンドものアニメとは違う趣きがあった。
個人的に、きみちゃんのビジュアルが相当、好みである。最初に幼少期のトツ子やその他の子供たちを見て、「萌えるキャラ」じゃないなと感じていたのだが作永きみ、この娘は別だった。バンドではフロントマンを務めるがそれも納得の美少女。別作品の赤い髪の子を思い出させる華があった。
また、けいおん!を始めとするバンドものと違い男子もいるが、彼もまた線の細い美男子ゆえに絵的に違和感はなかった。ここには近年のアニメへのアンチテーゼも入っているのでは、と感じた。
この作品、自分的に独自の感想として
「実写で観てみたい」
というのが出てきた。
年間を通して観る作品もアニメが多めで、実写とはそれぞれ違う良さがある、と思っているがこの「きみの色」に限り、題材として三次元が向いているのではないか…と思えた珍しいアニメである。もちろん、きみちゃんには相応しい配役をお願いしたくある。
そんな感じで、予告以外の事前情報なしで観てお気に入りのキャラが出来た、いい映画体験だった。今年、ガルクラ、ぼざろ総集編と音楽アニメに触れてきてその締めがコレだ、というならばかなり高尚なコースメニューだったなと感じられる。
響かないものもあるが、単発アニメ映画はサッと観られて没入も可能な、好きなジャンルですね。
水金地火木土天アーメン。
スコア…4.0
主役はトツ子?いや、きみ?
人が「色」で見えるという、不思議な能力を持つトツ子。至って普通の女子高生でありながら学校を辞め、それを祖母に言えずにいるきみ。お互い違うベクトルで特性を持ち、二人が音楽でつながるという物語でした。
タイトルの「きみの色」の「きみ」はYOU、のようで実は個人の名前だったのか、というダブルミーニングになっているんですね。映画の途中で気付きました。某大ヒット作のオマージュ、では無かったようです(笑)。
Filmarksにも書いてます通り、主役はトツ子なのですがきみちゃんが気に入りました。明らかに華のある、可愛さを持っています。
就職で実家を離れたお兄さんの持ち物だったギターを触り始め、最初はとりあえず音を出しているだけ、みたいなのが「合宿」のシーンではメロディを奏でられるようになっていました。この上達具合、またバンドではボーカルを務めていることなどから彼女もまた、主人公感がありましたね。
そして、学校を中退して音楽をやる、というのもまずロックの基本のようなアクションで存在が際立ちます。最近の作品だなぁと感じる部分でもあって、学校を辞めたことが一切、ネガティブに描かれていないんですね。誰も責めませんし、なんなら久しぶりに学校を訪れると友達は喜んでいました。
中退=道を逸れる、という認識では無くなってきているのかもしれません。人生、学校を出て仕事に就いて…だけが正解ではありませんから。この作品では先生たちすら、きみちゃんに対し「自分のタイミングで卒業した」と言っています。とても温かみのある世界観が、そこにはありました。
実写作品を思わせる、ぎこちない曲、演奏
近年のバンドものアニメでは、まだまだアマチュアなはずの主人公バンドがプロレベルの楽曲を作り、演奏しています。もちろんそれは現実にアルバムが発売されることも含んでいますから当然なのですが、アニメでなければ「おいおい上手すぎだろ」とツッコまれるところです。いえ、アニメでもツッコまれてはいますが。
ですがこの「きみの色」では、そういう部分での誇張はなく曲、演奏ともにシンプルで、本当に始めたばかりの3人組な雰囲気がよく出ていました。それが物足りなく見えるわけではなく、出会いからラストのライブシーンまでを丁寧に描いているからこその真実味につながっていたんですね。ついでに演奏する曲も練習していた曲がそのまま出てきたので、「頑張ったんだな」というのが伝わってきました。
他のバンドものだと、ライブシーンでいきなり初耳の、凄いクオリティの曲が出てきてビックリしますからね(笑)。
思い立って、飛びこみで観てみた映画でしたがとても爽やかで素敵な作品でした。予告で聴いていたはずですが、主題歌がミスチルなのも失念していたのでエンドロールでちょっと驚いたものです。またこの映画の雰囲気と、ここ数年のミスチルの作風はかなりマッチしていたと思います。
先述したように、今年は何かと音楽もの、バンドもののアニメばかり観ている印象ですが、「締め」としてコレが来たのならば、とても良い構成のコース料理だな~と感じられる作品でしたね。
…内容と無関係の余談ですが、TOHOシネマズ池袋の一番後ろの席で観ましたら冷房の風が直当たりする場所でとても寒かったです(苦笑)。雪降る中お泊り、な場面があったのですが3人の状況とよくリンクしました…(笑)。
鑑賞後、味噌ラーメンを食べて帰りました、味以上に身に沁みました!
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