ウルトラマンアーク、ここまでの感想…昭和の香りがいい感じ
ウルトラマンアークが始まって二ヶ月経ち、第10話まで放送されました。
ここまでの感想と、ウルトラシリーズが重きを置いているものについて考えてみました。
特に面白かった8,9,10話
個人的な感想を言えば、最初の3話は低調だったかと思います。3話にてアーク初変身のエピソードが描かれ、ユウマの凄惨な過去が明らかになったんですね。次回予告の「走れ、ユウマ」がここから来ていることも判明した重要な回だったと思いますが、このノリはキツいな~と思っていました。
その理由は後述するとして、8話「インターネット・カネゴン」は令和版カネゴン回、9話「さよなら、リン」はパゴス、ネロンガという昭和の名怪獣と共に濃厚な人間ドラマを描いていて、さらに最新の10話「遠くの君へ」は6話にも通ずる宇宙人との交流ストーリーでした。
こういった、単独で完結しているエピソードが「ウルトラシリーズらしい」名作回になりやすいんですね。
思えば現代、現金を使う機会がどんどん減っていますね。私もすっかりPayPayで生活するようになっています。その在り様の変わり方がそのまま投影された今回のカネゴン回、悪気はないのだけど人間社会にとっては…なカネゴンの存在はオリジナルのウルトラQと同じ流れで、正しくアップデートされた再登場怪獣だったと言えます。動画で稼ごうとするユウマとシュウが面白かったですね。
「正義感から道を逸れてしまった、かつての憧れの人との再会」というヒロイン、夏目リンがメインの回だった9話。綺麗ごとで済ませず、裁かれて終わったところが良かったですね。事情は割と複雑でしたが、上手く一話に落とし込んでいた印象です。
そして10話は、ユウマの同級生、カズオがアマチュア無線で宇宙人と交流していたことでノイズラーを呼び寄せてしまう…という回でした。これもまた、ノイズラーがカラータイマーの音を苦手としているという原点の80をオマージュしていて面白かったですし、宇宙人・フィオとカズオの別れを描く切ないストーリーでした。泣きのシーンであんなに鼻水が出ているのも珍しいのではないでしょうか(笑)。
ここ3話はどれも見応えがあり面白かったですし、何よりアーク、特撮が一段と凝っていますね。先月行ってきたウルサマのライブステージでもバリアを板のように持って戦っていましたが、戦闘シーンに常にアイディアが盛り込まれていて視覚的に楽しませてくれています。
ウルトラシリーズに「縦軸」は必要か
そんな感じで間もなく折り返しがくるアーク、毎週なかなかに楽しませてくれているのですがここでふと思うことがあったんですね。
それは、
「ウルトラマンに連続ドラマの要素って、要るのかなぁ?」
ということです。
私が昭和生まれで、幼少期に触れたウルトラマンシリーズは昭和のものしかなかったので基本、各話完結のものだという刷り込みがあります。確かにエースなどはヤプール人という元締めがいたりと、若干「続き物」の要素を持っていたりはしますがそれも前半だけです。毎週怪獣、宇宙人が現れてその回で事件は解決する。これがウルトラシリーズの良さじゃないかと考えているんですね。どの回から観ても、わからないことはない番組、それでこそではないかと。
…などと言うと、
まさに連続ドラマだったネクサスを、お前推してるじゃないかとツッコまれるところです。そう、ネクサスには思い入れがあったりするんですね。
しかし、ネクサスは今現在でも異色作と呼ばれているほど、「連続ドラマであることに振り切った作品」なんですね。だからこそ20年経ち、再評価の機運が高まっている作品なのだと言えます。
3年前のウルトラマントリガーですが、玩具の売上などはとても良好で商業的には成功した作品と言われながら、消化不良気味のストーリーと納得性の薄さで難あり、な評価も散見された問題作でした。私の周囲では、トリガーが面白くなかったためにデッカーは観なかった、という人もいたほどです。確かにトリガーは、「物語の謎」に偏ったシナリオになっていて一話完結のエピソード、というのが少なかった?目立たなかった?そもそも無かった?ような番組でした。イグニスやカルミラなど、魅力的なキャラクターは多かっただけに惜しい作品だったな、という見方を私もしています。
また、昨年のブレーザーでも主軸となる設定、物語がありつつも印象に残っているのはガラモン回や、怪獣保険の話だったりして、「横道エピソード」の方が面白かったと思っています。
なので、今年のアークも随所に帰ってきたウルトラマン要素を入れて昭和テイストを意識しているフシがありますので、それならばいっそ「アークの謎」などという部分にフォーカスしなくても良いのではないか、と思っていたりするんですね。
…だって、その方が面白いですから。
ユウマの過去など、これが物語を引っ張っていくようになるとウルトラの持ち味が消えてしまうのではないか、と危惧していたのが序盤の感想だったんですね。中盤まできて、そうではないようなので安心しているところです。
何はともあれ、ここ数話を観ていて心に残るエピソードを生み出す切れ味は健在だとも感じています。
期待しながら、2024年のウルトラマンを観ていきます。
アークについて書いた記事は、過去二本ありました。