MOVIE大戦 MEGAMAXを久しぶりに観て、仮面ライダー映画のあるべき姿を思う
先日、秋葉原で懐かしのゲーム漫画を買ってきましたと書きましたが、もう一つ買ったものがあります。
2011年の仮面ライダー冬映画、「MOVIE大戦MEGA MAX」コレクターズパックです。配信で一度観たきり、未所持だった上に千円切っていたのでこれは買っとけ!と手が伸びました。円盤愛好家ですので。
冬映画の最高傑作
こちらの感想は初見時のもので、あれからライダー映画を全て観終わって現在に至っている訳ですが、完走の上で振り返ると、これがライダー映画の中でも珠玉の一品であるなと改めて感じます。
現行と、前作の共演という触れ込みで映画が作られたのは「劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事」が初めてだったかと思いますが(何気に春の映画としても初)、大元がオリジナルビデオとしての企画だった為か「共演」がウリでありスケール的には小さい、小品の印象がありました。
その流れの中で2作共演の劇場版が恒例化していく訳ですが、この「オーズ&フォーゼ」がようやく、劇場版クオリティに達して大スクリーン鑑賞の価値を見出せるものになったのではないかと思います。
オーズ&フォーゼの共演だけでなく更にWも参戦、昭和の7人ライダーもしっかり見せ場アリで活躍します。映画ならではの「豪華さ」を感じられる画面を拝むことが出来、またドラマ的にもオーズ、フォーゼ共に見所のあるものになっています。
オーズは火野映司の「救えるなら救いたい」が活きる話、フォーゼは弦太朗の一目惚れが描かれまさに青春物語です。財団XというWから引き継がれた悪役が明確に存在するおかげでライダー達はすぐに結託、共に戦います。構造としては極めてシンプルですが、仮面ライダーの映画なのだからこれくらい明快でいい。見所、ボリュームはたっぷりながらシンプルで観やすいのがポイントですね。
昭和ライダー達が頼れる先輩感を出すラストバトルなど、共演、客演の美味しいツボをしっかり押さえた良作、それがこのMEGA MAXです。
答えは出ているのに、何故迷走してしまうか
しかし、仮面ライダー映画は本当にピンキリで、MEGA MAXの後で悪名高いスーパーヒーロー大戦などが出てきてしまいます。大体、評価が高いもの低い物というのは大勢としては決まっており、おそらくは今後再評価される
見込みも薄いでしょう。MEGA MAXは高評価作品ですが、特に捻った要素の無い王道のヒーロー映画です、何故これを続けられないのかという疑問も出てきます。
よく比較される円谷プロのウルトラマン映画は、反響の濃い薄いはあれ「酷い」とまで言われる事はありません。ライダー映画はものによってはファンの怒りを買うことも往々にしてあります。この違いはどこにあるのでしょう。単純に、MEGA MAXのノリで作れば大きく外さないはずですし、まして観客が怒ることなどないのですが。
ここで、2014年の「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」を挙げて持論を述べたいと思います。
この映画はタイトル通り昭和ライダーと平成ライダーが対立し戦うもので、その結果が投票に委ねられるなど話題性もありましたが大きな波紋も呼んだ作品です。対立の図式を作るために昭和ライダーが一方的に喧嘩を吹っかけてくる様な場面があり、「この映画の本郷猛は偽者だ」と言われ今でも昭和ライダーファンからは忌避されているんですね。
私自身はどうなのかというと、単純に映画としてつまらないと思っています。
「昭和対平成の対立」と仮面ライダーフィフティーンという敵との戦いが別軸で描かれ、結局それが最後まで交わる事なく終わってしまうので、どちらが主題がわからない、言ってしまえばどちらも必要のない、無意味な映画に思えてしまったというのが感想です。単純に、完成度が低い。
対してMEGA MAXは昭和ライダー、W、オーズ、フォーゼの4陣営が最後にちゃんと重なります。きちんと一本の物語として締まっているんですね。担い手は異なりますが、同じ東映が作っていてこんなに差が出る理由としては、物凄く大雑把に挙げてみると、
①仮面ライダーに対して、ヒーローとしての敬意を持てていない
②付随して、観客、視聴者への感謝の気持ちが足りていない
③その前提を生んでいる、制作体制の逼迫に問題あり
近年もリバイスの時にニュースになった事なので今更ですが、結局作り手が仮面ライダーを「仕事の道具」、「売るための看板」のように捉えていることがダメ映画を生む温床になっているのだろうな~と感じます。最近は春の劇場版が無いのと、悪評を散々受けたことによる反省もあるのかヒーローがキャラ崩壊を起こしているような映画は無くなってますが、休む間もなく作り続ける体制は変わってないので結果として作品から覇気が感じられなくなっているフシはありますね。
当たり前に、「カッコ良く」
個人的に忘れて欲しくないのは、やはりヒーローなのだから格好良く描いて欲しいという事です。ライダー大戦や仮面ライダー3号における昭和ライダー達は格好良かったでしょうか?ファンになるべき男児たちに嫌われるような描かれ方をしていて、「これも一つの可能性」などと言ってほしくないんですね。様式美、ワンパターンでいい、そこにならではの熱ささえあれば飽きられることはないのだから。
MEGA MAXの左翔太郎は、弦太朗の自己紹介を受けて
「何ィ~~!?お前、良い奴じゃねぇか!!」
と、意気投合します。
ヒーローの共演は、もう全部コレでいいんです。
一年間観ていた主人公たちが揉めてるところなんて、映画館に入ってまで観たいものではないんですから。