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ウルトラマン第2話「侵略者を撃て」は、非の打ちどころがない傑作です

本日、某SNS(伏せる意味もないですが)のトレンドに突然

「バルタン星人」

が入っていたので何があったのかと思えば、発端はこれでした。

成人の日にかけて、バルタン星人がお祝いをしてくださったんですね。
これに付いているコメントを見ると、「最近出番が無いですね」「次はいつ地球に来るんですか?」など、すっかりアイドル的人気を持っていることがわかります。
まぁ怪獣酒場の店長さんでもありますし、お忙しいのでしょう。
最後にウルトラ本編に出たのはマックスでしょうか?あちらこそもうアイドル化しておりましたね。

撮影第一話にして、圧倒的な完成度

そしてバルタン星人といえば、ウルトラマン第2話「侵略者を撃て」がデビュー作?であったことは周知の通りです。

この次の第3話「科特隊出撃せよ」もですが、黎明期を表すように
シンプル、ストレートなサブタイトルが多いのが初代の特徴ですね

この回は撮影スケジュール的に第一話として撮られた回であり、いわばウルトラマン、真の意味での最初の戦いなんですね。
と、いう観点で観てみると「本当かよ…」と思う程、ストーリー、演出が洗練されている印象があります。

まずイデ隊員の顔に青アザが出来ていて、それを「気になります?」と視聴者に問いかけてくる。これは第四の壁を壊すという演劇における手法であり、昭和41年のテレビや映画でどれほど用いられていたかは定かではありませんが、斬新な見せ方だったことは間違いないでしょう。
(※個人的に認知している最古の作品は、黒澤明監督の「素晴らしき日曜日」ですね)

無闇に使われると白ける演出でもあります、しかしここは
イデ隊員のキャラクターも相まってとても楽しいシーンです

そして、科学センターが宇宙人に占拠されているという状況のホラーチック、ミステリアスな見せ方。「競馬の中継じゃないんだから」とジョークが交わされるフジ隊員とホシノ少年のやり取り。
潜入してみると人間が金縛り状態にされているという怪奇性のある状況、そして姿を見せるバルタン星人。どこをとっても「空想特撮番組」として隙が無く、グイグイと引き込んできます。

人間が利用する施設に佇む宇宙人。
街のミニチュアに怪獣、の画こそウルトラシリーズですが、
こんな日常に潜む非日常もまた象徴的ですね

またここでは、対話の可能性を探るムラマツキャップ、強硬策を推す上層部、といった人間のカルマ的テーマも描かれます。可能であれば友好的に解決したい、と打ち出すキャップの姿勢には、「もしかすると」といった夢を感じられるのも良いところです。
もっとも、それはウルトラマンが登場する理由を失くしてしまう方向性でもあるので、バランスの取り方が難しい要素なんですけどね。

毒蝮さん、頑張ったんでしょうね固まった演技
この後の乗っ取られ状態もですが、名演です

のちにメビウスやZでも出てくる有名なイデ隊員の宇宙語、
「キエテ・コシ・キレキレテ」
が出てきますし、ウルトラシリーズの礎となった要素に事欠かないのがこの第2話なんですね。
このイデ宇宙語、適当なのかと思ったら一応バルタンにも宇宙語として認識はされていたのが凄いですね、通じたかどうかはともかく。

個人的には、ハヤタがまさに副隊長的な頼もしさを見せるところもお気に入りだったりします。ビビっているイデ隊員を送り出すシーンなど、とっても頼りがいがありますよね。
「拗れるほど通じりゃたいしたもんだ」
この余裕ですよ。


それにしても、ハゲタカは核ミサイルとか言われながら全然そんな威力を感じませんでしたね。「ハゲタカなら大丈夫」と、何を根拠に言っていたのでしょう、お偉いさんたち。

ハサミになっている手が銃器のような機能も持つ
半世紀以上前ながら、バルタン星人は宇宙人としてとにかくハイセンスですね

落としてしまったベーターカプセルを叫びながら飛び降りて、地面にぶつかる前に拾い、点火。「そうはならんやろ」な変身シーンも含め、本当に全てのシーンが印象的な一編です。
この頃、テレビドラマではなく「テレビ映画」と言われていたこともあるように、一話一話が短い映画の様に観られる作品だったんですね。
この前の第一話が「ハヤタ=ウルトラマン」であることを紹介する話、だとすればこの第二話が世界観、基本情報を一通り教えてくれる、これまた欠かせないファーストエピソードの側面を持っています。

重ねて、凄まじい出来栄えの30分であると感じましたね。


バルタン星人は、大晦日の歌手と互角だった

このウルトラマン第二話に関するデータを調べますと、当時の視聴率が34.6%だったという数字を目にしました。
これは当時、昭和41年の基準で言っても相当高い数字だったと思われます。そして…

昨年の紅白歌合戦の視聴率が34.7%。
ウルトラマン第二話と、ほぼ同じ数字でした。
本当は紅白に勝っているバルタン星人、という話にしたかったのですが、残念ながらほぼ互角でした(笑)。

紅白、で思いましたがバルタン星人、性別はどっちなんでしょうね
マックスでは明確に女性だったりしましたが


ストーリーも、特撮も、ウルトラシリーズの魅力がふんだんに詰まっている傑作回、「侵略者を撃て」、昭和ウルトラフリークとして定期的に見返している回でもあります。
しかし本当にバルタン星人自体がご無沙汰なので、今日の様に元がダジャレであっても公式が取り上げてくれるのは嬉しかったですね。

怖くも美しく、魅力的な侵略者である宇宙忍者、また川崎か新橋に会いにいきたいところであります!

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