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劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re:感想…星座になった4人の輝き
本日(8月14日)、劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!の後編を観てまいりました。
前編で全12話の8話までをやっているので、今回は残り4話をほぼそのまま追っているような感じなのだろうな…と想像していましたが、それだけではないものもありましたね。
Filmarks感想
劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:(2024年製作の映画)
前編に続いて。
TVシリーズのクライマックスである文化祭ライブを軸に、結束バンドの「結束」を描いていく80分。
TV版は履修済みだが、いい感じに頭から抜けていたので新鮮な気持ちで観られた。新規カットと言われても分からないだろうなと思ったが、オープニングでハッキリと見せてくれたのが嬉しかった。
編集が巧みで、ぼっちちゃんに憧れる喜多ちゃんの目線で彼女の成長を追いかける一本の映画になっていた。これまでオーディション、ライブハウスとぼっちちゃんに引っ張られてきた彼女が文化祭では彼女の背中を押し、ピンチを救うにまで至った過程はまさに王道の成長物語。
そしてそれはぼっちちゃんにも言えることで、極端なコミュ障と自己顕示欲の狭間で揺れ動き結果「撤退」しがちな彼女がなんだかんだで前進しているし、そういう仲間に出会えたという…OP「青春コンプレックス」2番の歌詞、海の底にも月があったというのはまさに、である。
とりわけ大きなハプニング、障害がある訳ではない。しかし「乗り越える」ものはたくさんある。頼れる先輩や仲間に恵まれているぼっちちゃんはこの先もきっと大丈夫…でしょ?と笑いに包まれながら観られた。
ステージでは格好良いきくり先輩のライブ、喜多ちゃんのおいしくなーれ、など見所も多いしライブシーンも曲の良さと相まってスクリーンで観られた喜びがあった。そしてラストのダイブ。保健室で目を覚ますシーンが複数回ある主人公、お前は碇シンジか。
前編で3分の2やっていたので想像通り、少し短めの尺ではあったが満足度は高かった。
結束バンドの未来に、幸あれ。
スコア…4.5点
陽キャな素人と、陰キャな熟練者が惹かれ合う物語
とにかくこのぼざろは、ぼっちちゃんと喜多ちゃんの関係性が人を惹きつけているんじゃないかな、と強く感じた後編でした。編集、演出も喜多ちゃん目線な部分が多く、いかに彼女から見ると後藤ひとりという存在が大きいのか、を伝えていた気がしますね。
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一番のファンになっていたのは喜多ちゃんなんですね
ぼっちちゃんは果てしなくコミュ障で、自己顕示欲の塊な割に能動的に動けないという弱さがあります。しかしギターの腕前は確かで、ステージでは他の3人を圧倒し、引っ張っていく実力の持ち主。逆にコミュ力は抜群、ルックスも申し分ない喜多ちゃんですがギターが弾けず一度バンドから逃げたという苦い経験を持っており、それゆえにギターの腕を持つぼっちちゃんに憧れを抱いた…と、まさにお互いに無いものを持っている同士。こんな、
「尊敬し合える理想の友達関係」が他にあるでしょうか。
文化祭への出場を半ば強引に申し込んだのも、「学校のみんなに後藤さんのカッコ良さを知ってもらいたい」という動機です。なんと純粋なファンでしょう。文化祭を経て、名字から名前に、「さん」から「ちゃん」に呼び方が変わる喜多ちゃん、これは小さなことのようでしっかりドラマなんですね。テレビ版にもあったシーンですが、「おおっ」となりますよね。
圧倒的な師匠感を持つきくり姉さん
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後編の見所として、初めてライブも見せてくれた
「存在しない前作の主人公」
として有名なきくり姉さんは外せませんね。
文化祭ライブでの「星座になれたら」中にぼっちちゃんのギタートラブルにいち早く気付き、その状況まで正確に把握していたのはきくり姉さんだけだったのではないでしょうか。そしてあくまでも結果的に、ですがそのピンチを切り抜けるボトルネック奏法の道具として空の酒カップという、非常にアクロバティックなアシストをした人でもあります。
知っている人間が見に来る文化祭ライブを怖がるぼっちちゃんに、「最初は誰だって怖いよ、あたしもそうだった」と勇気づけられるのはまさに師匠の貫禄を思わせます。私生活のだらしなさはアレですが、そこも含めてとっても魅力的なキャラだと思います。そういえば彼女が主役のスピンオフ漫画もあるそうですね、読みたくなりました。
何よりやっぱり、結束バンドの音楽性の魅力
この作品が人気の理由として、やはり結束バンドの楽曲が良いことに尽きると思います。
昨年映画館で、そのライブを堪能しましたが演奏はもちろん、喜多ちゃんこと長谷川育美さんの歌声の素晴らしさが。
こちらのTHE FIRST TAKEを聴くと、喜多ちゃんではなく「長谷川育美」として歌っているのがわかります。つまり、アニメで聴ける歌は喜多郁代というキャラを演じながら歌っているんですね。この違いに、声優の神髄を感じます。思えばAdoちゃんも新時代を2バージョン出しており、Ado、ウタを使い分けているんですよね…昨今の歌手の表現の幅が広がっていることを感じさせてくれます。ここまでの音楽、ボーカルが聴けるのであればこの作品こそ、アニメ化された意義が最高峰クラスなのではないかと思えます。
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正直に話せばバンドから逃げる必要はなかったのに、と思います
今回のオープニング、新曲ですが前編からの繋がりでライブハウスでの3曲目という形で聴かせてくれました。この流れも冴えてるなぁと思いましたね。
新しい曲が聴ける、というだけでただの総集編ではなくなっているのがいいです。すでに人気作ですが、新しいファンも増やしていこうという意識が感じられる「劇場版」でした。
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喜多ちゃんは憧れの人に囲まれて幸せですよね
音楽アニメの面白さ、またレベルの高さを感じられる前後編でしたね。
まだまだ続きを観ていきたい作品です、ぼっち・ざ・ろっく!
前編の感想記事です。