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仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド感想…乾巧が見せてくれた「夢」

先日、「仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド」を観てきました。

日曜夜のレイトショーでしたが、客入りはなかなかでしたね

実は先月、舞台挨拶込みの試写会を観に行った友人からアレコレ聞かされてはいたので、ある程度の予備知識は持っての鑑賞でした。
ちなみに私は基本的にネタバレはそこまで意識しません。初めて映像を観る、ことに価値があると考えていますので。

そこに「夢」があったかどうか

半年前、この作品が発表された時にこんな記事を書きました。
これを読み返すと、随分冷めた目線で書いてるなぁと思いますがこの時の状況を考えると無理も無いな、とも感じます。
要約すると「20周年という理由で商売優先の作品作りをしているだけ、終わった番組の悪しき再利用」といったニュアンスで企画そのものを否定的に捉えているんですね。その原因は2年前のオーズVシネにあった訳ですが。

そもそも555自体観たのも結構前で、面白かったと思っていますが熱烈なファンという訳ではないのでこの新作がどう映るか、内容以前に未知数過ぎるところがありました。で、実際鑑賞してどうだったのかと言いますと…。

真っ当な続編、作れるんじゃないですか。
短いながら、ちゃんと映画してる!

と、いう感想でした。
キャッチコピーの「夢の続き、見せてやるよ」に嘘偽りはありませんでした。555ファンにとっても納得の作品だったと思います。
確かに、夢はありました。

ドラマとは変化である、の体現

主演お二人のインタビューが公開されていますが、この企画は俳優陣からの提案だったそうですね。公開前から話題になっていましたが、半田さんが脚本に対してダメ出しをした、とTwitterで仰っていて、その事をこのインタビューでも言っています。それがどの場面だったか具体的には述べられていないので推測になるのですが…二つほど、可能性を考えました。

①…巧と真理の絡みのシーン。あまりに生々しいと作品イメージが変わる
②…最初の案では真理が死ぬ脚本だった、代わりに巧が生き永らえる

真実はわかりませんが、ありそうなのはこの二つかなぁと思っています。
①はまぁ、井上敏樹先生がRIDER TIME龍騎という「前科」をお持ちゆえに頭をよぎった訳ですが、基本的に仮面ライダーに濡れ場は必要ないと思っているので、今作の形も「いやこれはどうなんだ」って感じではありました(苦笑)。
で、②の方が可能性としては高そうだと思っています。それをやったのが復活のコアメダルでしたし、最近のVシネの悪癖ですからいかにもやりそう、だと思いませんか。
ここに半田さんが「スタッフにとって555はライダーの一つかもしれませんが、僕たちにとっては唯一のものなんです」と訴えて変更させた、と考えると合点がいきますし、やっぱりヒーローだな、と感動もできます。
草加役の村上幸平さん共々、キャスト陣は現在も交流があり555愛に溢れた人達です。それに対する信頼感を感じ取ることが出来る作品でした。

加えて今作、自らの寿命から生きる事を諦めていた乾巧が前向きになる物語であり、最後は仲間達との団らんで終わります。これは暗い運命に光が差すエンディングで、始まりの部分から明確に「変化」が起こっている訳です。ドラマとして秀逸な作品といって良いでしょう。
わざわざ比較するのも憚られますが、「復コア」は事実の提示だけで変化は何もなかったんですね。その点が観客の不満にも繋がったと思っています。

同時に感じた、Vシネの限界とベテランの気取り

555のその後の物語として過不足ないものに仕上がっていたと思いますが、同時に一時間のVシネでやれることの限界も感じました。やはり原典が一年もののTVシリーズであることを考えると、65分ではとても捌ききれない情報量の作品なのは明らかです。

新ライダー・ミューズ

ただでさえ駆け足になってしまうVシネなのに、新キャラ・胡桃玲菜が変身するときに恥ずかしがるというキャラ付けは余計だな、と感じました。ただ変身シーンを間延びさせているだけで特に面白くもない。彼女が巧のことを好きで真理に嫉妬する、というのは物語上しっかり意味がありますが、この変身についての性格描写は敏樹先生の悪いクセだな、と感じました。単発作品のキャラと言えどしっかり立たせる、という脚本家の腕を見せたかったのだろう、というベテランの気概を感じますが、効果的ではなかったと見ています。
他にもラー油とか、ラーメン屋の常連客にMr.仮面ライダーがいたりとか笑いを取ろうとしている場面がチラホラあるのですがこれらも今一つ効いていない気がします。これは最近、一年間ずっとギャグをやっていたあの戦隊の流れが抜けていない為、「縁が残って」いるせいではないかと思ってしまいます。罪深きかな、ドンモモタロウ。

そして、ネクストファイズ、ネクストカイザという新フォーム。

これも様々な意見があると思いますが、個人的には「ダサい」と感じてしまいましたね。555のデザインはシャープで「速そう」なところが実際のアクションと合致していて、格好良かったと思っています。アーマーの様なものが付くと「らしさ」が損なわれている感がしてしまいます。失礼なことを言わせてもらうと、素人が段ボールで作ったスーツの様な手作り感さえあるという…。もっともこれは、ラストバトルを引き立たせる為にあえてこういうデザインにしている、と思えなくもないので作品全体を通してみれば悪くないのかも…という印象に落ち着きはしました。

あとやはり555は、今や旧型であるガラケーを使った変身の方が格好良いな、と思いました。ケータイを折りたたんで「部品の一つ」にするから様になる訳で、スマホをそのままセットするのは何かこう、しっくり来ない気がします。
新しいものが画になるとは限らないんですね。


そんな感じで良い所、少し難ありな所とありましたが総括すると鑑賞後にスッキリした気持ちになれた、良いアフターストーリーだったなぁと思います。この感じなら、メモリアル新作を今後も観たいと思えるほどには世間の評判も併せて期待を持てそうです。

何より、シリーズは沢山あっても一つ一つが唯一の作品であること。
大切にしていって欲しいですね。

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