推しの子第15話感想…人生二周目といえど、心の傷は
推しの子、第15話の感想を書きたいと思います。
第十五話「感情演技」あらすじ
GOAが手掛けた舞台を観劇し、彼を信じることにしたアビ子。そのかわり脚本執筆に関してひとつの条件を出す。そしてついに完成した脚本が、出演陣に試練をもたらす──!?(公式サイトより引用)
一話…である12話からの主題であった舞台スタッフと原作者の対立が決着し、双方が共同で作り上げた新しい脚本での稽古が始まりました。それは役者陣に要求されるものがより高くなったもので…という展開。
うわー大変だ、と言いながらもモチベーションは上がっている役者たちを見るに、この舞台はまず成功しそうという空気が醸し出される中でアクアは初挑戦である舞台での演技に課題があり、さらにそれが過去の記憶を呼び覚まし…この流れで、自然に「推しの子」の本題に話が戻ってきたな、と思いました。
なんだかんだでカワイイ先生
いやもうアビ子先生可愛いのなんの。
ただただマンガが好きで、自分の描いたキャラクターも愛している一人の女の子になってましたね。
しかし彼女のこんな顔を見れたのも、舞台スタッフの情熱があってのものだということも欠かせないポイントでしたね。
脚本家のGOAさんももちろんですが、推しの子には基本的に嫌な人間がいないんだな、と改めて思います。芸能界の闇を描いた作品、ではありますがそれが悪意によってではない、という点がより怖さにも繋がっています。今回の話も、最初から原作者と意思疎通を図っていれば稽古中断のような事態は避けられたわけで、13話タイトルの「伝言ゲーム」こそが慢性化した社会のガンなのだと描く、世の中に対し真摯な作品ですね。
初めて見えた?アクアの「弱さ」
今回、アクアが芝居の上での感情表現を試みると、母親の記憶が蘇り体調を崩す、という場面がヤマ場でした。いつも冷淡で落ち着いているアクアもやはり人間、母親であり「推し」でもあったアイの刺殺現場に居合わせたという心の傷は深く残っていたんですね。
私も演技の勉強をしていた過去がありますからよくわかるのですが、
「泣きたければ親を殺せ」
と、言われたものです。今回かなちゃんがアクアに助言していたことはオーソドックスながら、感情表現の極意でもあるんですね。しかし実際に親を殺されているアクアにとってはそれはあまりにも残酷な話でした。
小見出しに「弱さ」と書きましたが、今回のアクアの憔悴はきわめて人間的リアクションで、彼が魅力的に見えるシーンでもありましたね。また同じ思いをルビーにさせたくない、という兄としての優しさも見えました。
恋愛ものとして見るとあかねちゃんが本当の彼女ポジションに収まった、勢いで二人の場面がありましたが、アクア自身の気持ちがそこになさそうなのがなんとも切ないな…と感じさせる、この三角関係です。
結局、アクアの心の中にアイがいる以上、他の子の入り込める余地がないというのが実態なんでしょうね。復讐のために自分の第二の命を捧げている男の行く先には破滅しかなさそうなのが、この作品の空気感も作っているのでなかなか、心が安らぐ時間の無いアニメです。…が、そこが面白さでもあります。
原作は最終章突入、と謳われておりアニメのみ視聴している私もこの物語の着地点は気になるところですが、当然星野兄妹に報われてほしい思いはありますね…どうなっていくのでしょう。
私も創作をやっている人間ですので、登場人物の感情、リアクションを想像する時に今回の「感情演技」に近いことはやっています。やった方がいい、というよりはやらないとまともな台詞が出て来ないからです。
自身も疲れる作業ではありますが、それでしっくり来る台詞が生まれた時は本当に嬉しくなりますし、自分の創造したキャラクターが生きてるんだな、と感じられて身震いする瞬間になったりもします。
無感情なマシーンに思えたアクアが生きた人間的な一面を見せた今回、彼もまた二回目の人生でありながら成長していってるのかもしれません。
来週以降も楽しみですね!
ここまでの感想記事です。
普段dアニメストアで観ているのですが、配信開始が待ち遠しい作品になっていますね。