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七英雄:ロマンシングサガ2を語る

今さら七英雄を語りたい!

君はロマンシングサガ2というゲームを知っているか?
なんてね。もうロマサガとか「家庭用ゲームRPG名作100選」みたいの作れば絶対載ってる、教科書に載ってるレベルの話なのでそこの魅力は語りません!俺が語りたいのは七英雄だけだ!

七英雄っていう名前の「ラスボス」

子ども心に最高に衝撃を受けた。そのネーミング。
七英雄って名前で敵なんだぜ。英雄じゃないのかよ!!

英雄はいかにして魔物になったか

このゲームの世界感の練りこみ方は当時のゲームでは比類なく、そしてキャラクターから何からネーミングセンスが良すぎる。

語りたくなるポイントが多すぎて脱線しがちなロマサガ2だが
「魔物にとっての英雄」とかじゃなくて
「人間の英雄」が「魔物」になっていくストーリーだったのも印象に強い。

こいつらが七英雄だ!(化け物じゃん)

ロマンシングサガ2の根幹をなす「3つの転生法」

世の中では転生モノってやつが流行ったり流行ってなかったりしていますが、転生ってなんですか?死んでもなお世界がある、続く。そう

ご都合主義の不老不死への憧れ

そんな人間の死の恐怖が生む、人間の醜い願望・欲望の究極型だと思っています(個人の感想です)。そんな都合のいい話なんてあるわけない。

そんな「ロマンシングサガ2」には3つの転生の法が存在した。

  • 同化の法(転生)

  • 吸収の法(進化)

  • 伝承法(継承)

この3つの禁忌の術(テクノロジー)が人類の希望と呪いと滅亡を生む!

設定・世界観が生み出す強烈な説得力

ロマサガ2の世界が生み出された下地は「人類の不老不死への憧れ」ともいうべき「転生の術」という大発明されたことから始まっている。

ゲームは西洋風ファンタジーの歴史もののような姿で描かれているが、実は現代社会の未来への暗喩として描いていると推測できる。

まずゲームがスタートすると中世のような世界で始まるのだけど、そこには「古代人」という名前の超技術をたくさんもった「未来から来た人」たちのようなキャラが存在する。
英雄が敵だったり、古代人という名前の未来人だったりややこしいな!

魔法を科学と置き換えて考えると色々見えてくる

古代人とは昔、強烈な技術発展の末に「同化の法」という技術を生み出す。
それは「自分の魂を別の体に移すもの」であった。そのおかげで古代人の寿命は長く、死を強く恐れたという。

……ちょっと待て、その「別の体」ってなんだよ?

推測だが、別の体って「死刑囚」とか「貧しい人」とか「植物状態の人」とか「自我が生まれる前の体」だったに違いない。なぜそう思うかというと
「永遠に若い肉体を作る術」はロマサガ2の世界にはないからだ。

つまり「価値がない」と勝手に判断した人間から「自分たちは生き続けるべき選ばれた人間」と傲慢に独善的に思い込んだ人間たちが他人の体を奪うという暴挙に出たというわけだ。同化の法を手に入れた人類が、体を奪うことで生きながらえていったというおぞましい世界背景が浮かび上がってくる。
体を奪われた側の魂はどこへいったんでしょうね。

禁忌の領域から生まれたモンスター

そんな人類の醜さの極みから生まれた不老不死の技術「同化の法」
同化とは名ばかりの乗っ取りの術。
この業、因果から古代人類の呪いは始まります。
この魂や生命のあるべきサイクルを破壊したせいで世界は歪んでいく。

どういう経緯であったかは断言できないが、おそらく転生の研究の産物として「モンスター」が生まれた。異界から地球を侵略するためではなく、人間が生命の踏み込むべきでない領域に踏み込んだ歪みからモンスターを生み出してしまったという訳だ。

これまた推測ではあるのだが、おそらく七英雄は
「同化の法」を生み出した研究員たちだったのだろう。

まだ人間のころの七英雄たち

彼らは責任を取るべく、同化の法をさらに進めた「吸収の法(進化法)」という術を生み出し、自らに施した。
それは肉体に魂を移すのではなく、相手の肉体も魂も馴染ませて進化した生命体になる術法でした。

余談:自分の考察ではあるが、実は進化法の方が先に生まれていたんじゃないかと思う。それを元に同化の法を生み出し実用化したんじゃないかと。進化法からの方が「モンスター」が生まれる可能性が高いからだ。

この吸収の法、例えばクマと同化すればクマのような筋力と凶暴性が、クジラと同化すればその大きな体と海での推進力を、アリと同化すれば強靭な外骨格と破壊力をなどなど(まんまキメラアント編じゃん!)

そんな身体的特徴と本能的な性格を両方保持する別の生命体が生まれてしまうのだが、責任を取るべく七人の研究員たちは七体のモンスターへと変わっていく。悪魔に対抗するために悪魔になったデビルマン的なヒーロー。
それが七英雄
の正体というわけだ!

モンスターたちを退けてくれた(というか吸収しまくった)七英雄たち。
きっと戻ってきたころには自我も意識も思考も、普通の人間とは相容れないところに行っていたかもしれない。そもそも見た目がもはや人間じゃなかったと思うし。
そんな可哀そうな英雄たちを、自分勝手な古代人たちはモンスター以上に恐れたに違いない。「貴方たちこそ真の英雄だ!」なんて持ち上げて陰では「あいつらをこの世界から消さなくては」と思っていたんだろう。

「七英雄、あなたたちは更なる高みを目指して別次元に旅立つべき人類の未来です!先に行って新次元を開拓してくださいませんか?」
とか何とか言ってね。七英雄たちは別の時空・次元に飛ばされてしまう。

物語がついに主人公の元へ

七英雄を異次元に飛ばし、自分たちはとにかく転生(という名の乗っ取り)を繰り返したりして生きながらえていた。しかしその人類の歪んだ栄華を生み出した七英雄を追いやることで自分たちは衰退の一途を辿っていった。
どうやら同化の法も限界があるらしい。

しかもどこか異空に追いやった七英雄はさらに多くの生命を食らいながら自分たちを嵌めた「古代人」を復讐するために戻ってこようとしているらしい。そして彼らはやってきたのだ。

主人公と七英雄の出会い

時は経ち気が付けば、古代人たちも七英雄も歴史の中で謳われるだけの伝説となり人々の遠い記憶となっていた。新しい人類の営みと文明が生まれ始めたころ、帝国の第2皇子である主人公たちが住む帝国にクジンシーという七英雄の一人がやってくる。そんな歴史上の英雄が生きているとは、しかもまるで化け物のようだと。

同化の法も、吸収の法も、「禁忌術」として時代の闇に葬られていったのでしょう。主人公たちの生きる「現代」ではそんな話は全く知られていませんでした。ただ七英雄が世界を救い、いずれ帰ってきて世界を滅ぼす。そんな伝説だけが残っています。現代人は背景も分からないまま。

3つ目の転生術「継承法」

色々あって、兄さんも父親も七英雄「クジンシー」に殺されてしまう悲劇的な幕開けの主人公。なぜ英雄が化け物なのかもわからないまま悲しみに暮れる。そこへやってきたのが謎の女「オアイーブ」。八百比丘尼。

ストーリー背景を紐解いていくとオアイーブは謎の女などではなく、同化の法を続けて生きながらえている「古代人」、そして七英雄と近しいところにいた同じ研究員関係者なんだと思う。

そのオアイーブが主人公たちに授けたのが、ついに登場する第3の術法
継承法だ!!(じゃじゃーん)

継承法は、同化の法と吸収の法と全く違う転生法でした。
それは死んだ者の経験と意思を次の者に受け継がせる術。

今までの他人の体を奪ったり、乗っ取ったりする2つの術とは似て非なる「正しく人類が成長し繋いでいく」術だったのです。

オアイーブはこの術を授けて、なんとか七英雄を止めて(殺して)貰おうと考えたんですね。ただ自身の業の深さを感じ、責任を取るべく行動している人物でもあります。

なんで七英雄は復讐以外のことをしてるの?

これは七英雄たちが施した吸収の法による副作用だと思われます。
吸収した生命の性格も意識も本能も取り込んでしまう事から段々と「本来の自我」が失われていったのだと思います。もちろん復讐心を忘れぬもの、ただひたすらに食らい強くなるもの、強くなった体で世界を奪おうとするもの等。色々な形になっていったのだと思われます。

永遠を生きるという夢と歪み

人は誰しも、少しでも多く生きたいと思うもの。
でも生きるために他人の命を奪ってまで不老不死の夢を叶えるべきなのでしょうか。その結果多くの歪みを生み出してしまいました。

これって現代に対する投げかけでもあったりしますよね。
そして主人公と七英雄たちが戦う理由も説得力があります。
本当に世界が存在するかのようでした。
これがロマンシングサガ2が最高に好きな理由でもあります。


長くなりましたが、ご拝読ありがとうございます!


#心に残ったゲーム

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