記事一覧
インドネシアのイスラム指導者による新疆ウイグル自治区訪問の意味
はじめにインドネシアは、世界中で最も国内のイスラム教徒人口の多い国です。インドネシアのイスラム教徒が過激化・急進化し、欧米諸国や日本と敵対する国になることは、どうしても避けなければならないことです。
なぜなら、世界中で最も長く赤道を国内に持つ国であるインドネシアは、マラッカ海峡をはじめとして、世界の物流の大動脈を握っており、万が一、インドネシア領海内で海峡封鎖などが起ころうものなら、世界経済はス
インドネシアのニセ王国物語
はじめにインドネシアは、国家元首である大統領を国民が選挙で選ぶ共和国です。もっとも、インドネシアと称される領域には、歴史的に、たくさんの大小の王国が存在してきました。
大王国では、7~13世紀にスマトラ島、マレー半島、ジャワ島などにまたがる領域を支配した仏教国のシュリヴィジャヤ王国、13~15世紀にジャワ島中東部を中心に栄えたヒンドゥー教国のマジャパヒト王国、16世紀末から18世紀半ばにかけてジ
コナウェ県の架空村騒動と村落資金
はじめに2019年11月4日、スリ・ムルヤニ財務大臣が国会第9委員会において、「村落資金(Dana Desa)を受け取るために、実体のない架空村が作られているとの報告がある」と発言し、注目されました。
村落資金とは、国家予算から全国のすべての村へ供与される資金のことで、2015年から開始されました。2019年予算では、総額7兆ルピアが全国7万4,953村へ均等に、1村当たり約10億ルピア(約78
新首都候補地はどのような土地なのか
2019年5月10日発行の『よりどりインドネシア』第45号所収の「首都移転の閣議決定とその背景」で述べたように、2019年4月29日に首都移転が閣議決定されましたが、それを受けて、インドネシア政府はさっそく移転候補地の選定に入りました。
その結果、8月26日、ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領は、東カリマンタン州北プナジャム・パセル県(Kabupaten Penajam Paser Utara
第二次ジョコウィ内閣から何がみえるか
すでにご存じの通り、ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領とマルフ・アミン副大統領が2019年10月20日に就任した後、新内閣の組閣作業が進められ、10月23日朝、第二次ジョコウィ内閣の顔ぶれが発表されました。
先の第一次内閣(2014~2019)では、「働くインドネシア内閣」(Kabinet Indonesia Kerja)と命名されましたが、今回の第二次内閣(2019~2024)は「進むインド
故ハビビ元大統領についての私論(2)
ハビビは、ずっとスハルトに守られてきました。スハルトはハビビを副大統領に指名するなど、最後までハビビを信じ、守ってきました。そのように扱われてきたハビビは、一般に「スハルトの子飼い」と見なされ、スハルトのもっと忠実な家来とされてきました。
しかし、スハルトの子飼いのはずのハビビは、大統領就任後、スハルト・ファミリーに面会を求めましたが、つい最近まで、一度も受け入れられませんでした。それはなぜなの
故ハビビ元大統領についての私論(1)
2019年9月11日、インドネシア第3代大統領を務めたバハルディン・ユスフ・ハビビ氏が亡くなりました。政府は3日間喪に服すことを決め、全国で半旗が掲げられました。
ハビビ氏は、36年間続いたスハルト政権の後を受け、1998年5月20日に副大統領から大統領へ昇格するものの、1999年10月20日に退任するという、わずか1年5ヵ月の短い任期でした。
しかしこの任期中に、スハルト時代の権威主義体制を
ジョコウィとプラボウォの和解? ~うやむやで巧みな政治的幕引きの意味と背景~
誹謗中傷やフェイク情報が飛び交う熾烈な大統領選挙を戦った、現職のジョコ・ウィドド(ジョコウィ)=アミン組と挑戦者のプラボウォ=サンディ組。この醜い選挙戦の結果、インドネシア社会には深い分断が刻み込まれてしまったと感じていました。
総選挙委員会によるジョコウィ勝利の確定結果の発表後も、プラボウォ側はそれを認めず、ジョコウィ側の不正を訴えて憲法裁判所へ不服申立を行います。その間にジャカルタでは暴動が
<速報>インドネシアで新たに54業種で外資100%認可へ
インドネシアのジョコ・ウィドド(ジョコウィ)政権は2018年11月16日、経済政策パッケージ第16弾を発表した。
そのうちの一つが投資ネガティブリスト(DNI)の緩和策であり、新たに54業種で外資100%出資が認可される見通しとなった。なお、このDNI緩和策を規定する大統領規則は、11月19日から始まる週に発表される模様である。
今回の緩和策で、出資規制が緩和されたのは303業種となり、外資1
スラバヤ自爆テロの背景
日本でも報道されたように、2018年5月13日から5月15日にかけて、インドネシア第2の都市スラバヤで、3件の自爆テロとそれに絡むテロ犯と警察との銃撃戦が起こりました。
(出所)https://news.detik.com/berita/d-4018010/bom-meledak-di-3-gereja-di-surabaya
スラバヤ市民は、自死を罪とするイスラム教の教義にも反するとして、自
インドネシア:新旧国軍司令官の人物像と今後の政局
<本稿は、会員制ウェブマガジン「よりどりインドネシア」第11号の記事の再掲です。非会員で、記事を単独で読みたい方は、こちらで購入いただくと、全文を読むことができます>
インドネシアでは、国軍司令官人事が発令され、前司令官のガトット・ヌルマンティヨ(Gatot Nurmantyo)陸軍大将に代わり、現空軍参謀長のハリ・チャフヤント(Hari Tjahyanto)空軍大将が新司令官に就任します。