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ノイシュヴァンシュタイン城は、まるで徳島の大塚国際美術館のようだった
ヨーロッパに住み始めていつかは行きたいと思ったドイツ南部にある「ノイシュバンシュタイン城」。オランダ・デルフトから行くにはとても不便で、距離にして約900km。電車やバスを乗り継いで12時間以上(車で行けば9時間くらい)かかります。
そんなとき、車を持つ友人家族が誘ってくれました。そう、ノイシュバンシュタイン城と、それに行く途中の「ハイデルベルグの古城」や「ライン川沿いの古城めぐり」ツアーに!
ハイデルベルグやライン川沿いのことは別記事にまとめるとして、今回は「ノイシュヴァンシュタイン城」を見た雑感を中心に記事を書いてみます。
ノイシュヴァンシュタイン城とは
ノイシュヴァンシュタイン城をご存じない方のためにちょい復習。このお城は、当時のドイツ南部の王国バイエルンの王、ルートヴィヒ2世が「19世紀」に建てた城で、米ディズニーランドの「眠れる森の美女」の城のデザインモチーフにもなったことで、日本人にも少し馴染みがあると思います。
「19世紀」と聞いて、まず驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。私もその一人で、デザインからして「中世のものじゃないんかい!?」と思いました。中世のお城のように軍事拠点としてでも、近隣諸国に絢爛さを競うでもなく、あくまで、ルートヴィヒ2世の「趣味」で築城したんだとか。
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車で近づいていくと、山の中腹にお城が見えてきます。そこで「アレ?」と思いました。よく見るこのお城の風景写真って山の頂上にそびえ立ってなかったっけ?って思ったこと。「世界◯大がっかり」の人魚姫の二の舞いか!?と脳裏をよぎったのは、ツアー後の感想の布石にもなってしまいました。
当時のバイエルン王・ルートヴィヒ2世
ルートヴィヒ2世は、中世の騎士道精神に強く憧れを持つ変人で、遡ること数百年前のロマネスク様式やゴシック様式をお城の随所のデザインに盛り込むという、こだわりようでした(残念ながら館内は写真も動画も撮影禁止で、ディテールをここで見せられないのが心苦しいですが)。
リヒャルト・ワーグナーの「ローエングリン」や「タンホイザー」の歌劇を、建築コンセプトに盛り込んだといい、この城の遠景とすごくマリアージュしていて、彼のロマンティックで一途なプロデュース力も感じます。
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ただ、百数十年前という築年数からしてお城としてはとても「若い」印象で、基礎はコンクリートで固められ、丁寧に塗られた壁は壁紙のようにも見えるし、天井いっぱいの宗教画はのっぺりして見え、まだ艶のあるベッドの天蓋装飾などは型取りしたプラスチックにも見えてしまう「偽物感」が否めず、部屋ごとに質素なロマネスクと豪華なゴシックが入り交じるごちゃ混ぜ感が、悪趣味にも思えます。
いや、実際には巨額を投じて数十年かけた巨大プロジェクトなんですが、約30分の音声ガイド付きツアーは、あっという間にお腹いっぱいになった感じです。
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思い出した大塚国際美術館
そこではたと思い出しました。今夏行った徳島の「大塚国際美術館」のことを…。世界中の著名な芸術の数々を「陶板」で再現するという、ある意味グロテスクなその展示は、質が量に転じて価値を生じる偏屈なアートを思わせる不思議な体験でした。
入館して10分でお腹いっぱいになるという、他の美術館では体験し得ない膨満感。まるでショッピングセンター・イオンのフードコートで食べすぎてしまったような感じです(客層も似通ってる)。ディスってすみません(個人の感想です)。
ノイシュヴァンシュタイン城は、当時、建築費用を賄うために公債を発行しすぎて、国の財政危機にまで陥りかけたそうです。このお城に対する当時の国民の非難は想像に難くないですが、現在は「世界遺産」の称号も得て、毎日数千人〜数万人が3,000円以上の入場料を使い、周辺の土産物店やレストランなどを含めた収益はものすごい経済効果です。
大塚国際美術館は、「ポカリスエット」で知られる大塚製薬やボンカレーでご存知の「大塚ホールディングス」が母体で、同グループが75周年を記念して建築したといいます。お城と同様に巨額を投じて建設され、おびただしい入場者の数やで、経済効果もきっとすごいのだろうと推察します。
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ルートヴィヒ2世は、まさか自分の趣味で建てた城に、毎日こんなに沢山の観光客が来るなんて、想像だにしなかったでしょうね。いや、もしかしたらそれをクリエイトしたのかも…。
ちなみに
ノイシュヴァンシュタイン(Neuschwanstein)は英語でいうとNew Swan Stone(新しい白鳥の石)で、館内の随所に白鳥の飾り物がありました。別名「白鳥城」と言われる所以でしょうか。