「この物語はフィクションです」
毎週木曜日朝7:20頃から、Eテレで「でこぼこぽん」という番組が放映される。
娘息子の着替えを手伝いながら、鳥居みゆきさん演じる“でこりん”を見る。
“でこりん”のメガネはとても特徴的で、番組名の通り、でこぼこなのだ。
正確には、片方が□、片方が○である。
とある社会学者が「老人は集団自決するべきである」と発言し、大炎上している。
彼のメガネもまた、でこぼこである。
彼を見た時、思わず「でこりんかよ」と呟いてしまった。
彼の思想が、メガネのようにでこぼこかはわからない。
ただ1つ言えるのは、彼の発言は世間に受け入れられなかったということだ。
過去に同じような発言をした有名人がいたとしても、もしかしたらそういう風習が地方にあったとしても、ダメだった。
昔読んだ小説「銀齢の果て」を思い出す。
この小説は、“老人版バトルロワイヤル”とも言える作品で、作中では老人が武器を片手に殺し合う。
集団自決とはいかないまでも、確実にその数を減らすような戦いが繰り広げられているのだから、本質はあまりかわりはないだろう。
この小説、出た当初はわからないが、さほど叩かれていない印象を受ける。
書評には“痛快”という文字が踊るくらいだ。
作者も同様に高齢だったからだろうか。
きっとこの社会学者も、いきなりテレビで発言するのではなくて、そういう題材の小説を書いて発表したら良かったのかもしれない。
小説はどんなにクレイジーでも、受け入れてくれる。
村田沙耶香さんの書く小説なんて、実際の世界で起こったらとても悍ましいし、それゆえ周りからクレイジーと呼ばれているくらいである。
きっと彼も最後にこう付け加えればよかった。
「この物語はフィクションです」と。
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