2024観戦記 第5節H福岡戦

雲一つない空の下ホームゲーム

本当に3月かと疑うような陽気だった。
前回のホームゲームもすっきりした青空だった記憶だが、まだ風が冷たく何枚も重ね着して向かったことを覚えている。
いつもは自由席の並びに参加しているのだが、弟に北の席の確保をお願いしているため、試合の2時間前くらいにつけばよいかとゆっくりスタジアムに向かった。いつもは優先入場の並びで何時間も早く到着するため、この時間帯の東川口の混み具合を少し恐れていたが駅も電車内もぎゅうぎゅうということはなく快適にスタジアムまで来ることができた。

この日のスタメンには前回力を見せつけた前田直輝とついに怪我から復帰した大久保が名を連ねており、1トップにはチアゴが起用された。
今年の浦和の去年との違いの一つはウィングの選択肢が増えたことだと思う。去年本格的に稼働していた純正ウィンガーは関根と大久保で常に調子が上向きではなかった。攻撃的選手は波があることが多いので、今年に渡辺、前田、ソルバッケン(幻の選手になりそうな気配もあるが)と選択肢が増えたのが長いシーズンで必ず活きてくると思う。

アップ~前半 

スタジアム到着後、合流した家族と話して北のスタンドへ。弟がとってくれた席に着くとすぐアップが始まった。
今日はいつもよりキーパー陣が登場遅いなと思っていたら、すぐフィールドプレイヤーも出てきた。この時に前田とグスタフソンのコールが初披露された。
前田は田中達也(初代)のコールを継承し、グスタフソンはVAMOSポンテの系譜のコールに決まった。達也のコールだと気づいたものの正しい音程に自信がない。周りもあやふやになっていたのでしっかり覚えよう。前田のプレーを見ていると、ボールを持った時の第一選択肢が仕掛ける!そしてゴールが見えたらシュート!と浦和人が大好きプレースタイル。なるほどと思わせる継承でした。
私は中心からそこそこ離れた場所に陣取ることが多いので、グスタフソンは最初誰のコールかわからなかったのだが、何とかサムエルと聞き取り伝播させるよう大声を出した。ただ、私は「VAMOSサミュエル」と聞こえたのだが、Xを見ると「フラーモ!サミュエル!」らしいので次は直します。

入場前のゴール裏ははたから見て少しぴりっとした空気があり、何とかホーム初勝利をつかみたい思いが中心からはひしひしと感じられた。隣に来ていた若い男二人組の熱量も高く、負けてられないと私もギアを上げることができた。ゴール裏は周りの人の熱さに引っ張られることが多い。私自身もこの二人組のように周りに影響を与えられるほどの熱量を意識しているので彼らにそういった影響を与えられるとうれしい。

さあ、前半が始まり最初の15分程度は前節の湘南戦と同様、浦和ペースで試合が進んだ。左サイドの渡辺と大久保のコンビネーションからのクロスをチアゴが合わせるも枠外。敵陣でボールを奪いまたチアゴが打つもキーパーに防がれる。ここで1点決めたいと思っているうちに、またビルドアップで前進できなくなってしまった。

そして、28分にミスから相手のシャハブにボールが渡る。遠い距離から鋭いシュートを打たれる。一瞬「あ、これなら」と思ったが実際にはかなりきわどいコースに打たれており、西川の左手をすり抜けてネットに突き刺さってしまった。
西川は今年に入り、セーブ率が下がり得意のキックもあまり冴えわたらない状況が続いている中でこの失点はより厳しい声に晒されるだろうなと少し冷えた感想が浮かんだ。

ここで中心からは今年できたシャーレ奪えのチャントを始めた。
シャーレ奪えに関しては個人的な見方として、ACLでいう赤き血のような立ち位置になるのかなと考えている。何とも言えない失点を喫した後で、シャーレとか言ってる場合かという意見も非常にわかる。実際に周りは明らかにトーンダウンしていた感覚だった。
しかし、ACLでビハインドを負ったときにも「世界に見せつけろ、俺たちの誇り」と歌う。これはより高い次元の言葉を伝えることで選手自身に負けている今何のために闘うかをもう一度認識させて、またギアを上げなおす力があるのではないかと考えている。なので、これ以上点はやれない、絶対に逆転する、なぜなら俺たちが目指してるのはリーグ制覇だから。そういったメッセージまで深読み(見当違いかもしれないけど)したら負けてるときのシャーレ奪えに熱が入るのかなとも思った。

ハーフタイム~後半

前半は最後盛り返すものの結局0‐1で終了。深いため息をつきながらシートにもたれこんだ。前半はチャンスは作れているので点は入るかもしれないが、前節の4失点と守備陣のビルドアップやカウンター対応の不安定さから失点に対してナイーブになっていった。
周りも表情が暗く、ここ数試合パッとしない敦樹や西川の話が聞こえてきて非常にネガティブな空気が充満していた。

後半まであと少しかなといったタイミングで歌え浦和をやるためにゴール裏が中心に寄り始めた。できる限りぎゅうぎゅうと詰めコールリーダーがどんな檄を飛ばすのかなと思っていたら「俺らが落ち込んでても仕方ないからさ!」と始めて非常に驚いた。
そこまで中心に近いところにいないためいつも聞けるわけではないのだが、やってやろうぜのような個人の熱量を直接引き出す檄が多いイメージだった。しかし今回、なんというか開き直りというか突き抜けた明るさがネガティブな雰囲気に刺さってやってやろうという気持ちを引き出してくれたと思う。こんな引き出しがあったのかと感心したので中心も常にアップデートしているのだなと感じた。

そしてこの日は指定席と南の雰囲気が非常に良かった。
バック、南、メイン、アッパーと立つようにあおるとスッと立ち上がってくれたし、拍手で返してくれた。また、選手が出てきた時もゴール裏は拍手できなかった(みんな肩を組んでいるから)のだがそれを感じさせないほどの大きな拍手に鳥肌が立った。
この日の入場者数は38000人ほどと、快晴の土曜日にしては少し寂しいなという数だったがその分試合に対する当事者意識が高い人が多く集まっていたのかなと思う。
この時点で後半はいい空気を作れそうだなと確信した。

その予感は的中して後半が進むにつれて浦和優勢の色が濃くなっていった。
ボールを持つ位置が徐々に高くなりシュートまでいけるようになってきて会場のボルテージがすこしずつ高まりだした中で渡邊凌磨の浦和レッズ初ゴール。直前に決定機を外してしまったなかでよくぞ決めてくれた。
後半はウィングがより高い位置を取れるようになり、前田と途中からウィングになった渡邊が勝負できているのでエキサイティングで非常にいい。
前田が切り込み、打ったシュートが相手の手に当たり、一度は荒木主審に流されるがOFRでPK。サンタナが蹴るということで、前半にかなり外してしまっていたから不安があったものの力強いシュートで突き刺し逆転。とんとん拍子に望む展開になっていった。

80分が近くなりどう逃げ切るのかということが頭にちらつきだしたあたりで敦樹と中島翔哉の交代に驚いた。逃げ切りを図るなら小泉を入れるのが定石だと思っていたのだが、屁雲監督は岩尾とグスタフソンの2ボランチにして中島翔哉を生かす形に変えてきた。
そしてまた中島のプレーが非常に良かった。彼がボールを持つと相手の守備陣が一斉に中島を注目して警戒するから近くの大畑や渡邊が活きるし危険なところに飛び込んでいける。まさにサッカー小僧というかなんというか今年はすごいプレーを魅せてくれる予感が強まった。

最後は相手の鋭いシュートを西川が意地の横っ飛びでセーブし今季ホーム初勝利をつかみ取った。
最後のピンチもあり辛勝というイメージだったが振り返ると試合を支配した時間が多くなり成長を感じられる1戦になった。

総括と次戦に向けて

福岡戦でよかったのは会場の空気だと感じた。ハーフタイムの一連の流れはもちろんだったが、それを受けて勝利したという達成感に満ちた
今回歌え浦和や、全席起立でのサポートなど明らかに気合が入っている仕掛けを使って勝利したことが大事なんじゃないのかなとも思った。
ここまでの4戦、新しい指揮官や選手をよく観察したい、今シーズンの展望を知りたいという思いが強く勝っても負けても内容ばかりに目が行ってしまっていたが、勝ちたい負けられないという気持ちを前面に出して戦うことで得られる勝負後の気持ちよさを久しぶりに感じた気がする。
これを次戦でも味わえるようにパッション全開で国立に乗り込もう。



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