革新か?あるいは八甲田山行軍か?新スターゲートプロジェクトに祝福あれ!
おはようございます!ニュース連動型おじさんだっくでございます。
今日1/23は、八甲田山の日。1902年(明治35年)のこの日、青森県の「八甲田山」へ雪中行軍に出かけた兵士210名が猛吹雪の中で道に迷い、寒さと空腹と疲労の中で遭難し、199名が凍死しました。
「為せば成る」の精神主義だけでは、大自然を相手に勝つことができなかったのでした。
さて、2025年、アメリカ政界に激震が走っています。ドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲き、その目玉政策として「スターゲートプロジェクト」が注目を集めています。
しかし、このプロジェクトは単なる政策ではありません。AIの未来を左右する可能性を秘めた、壮大な計画なのです。
米調査会社デローログループはデータセンターへの投資が24〜28年の5年間に世界で1兆ドル、29年には単年で1兆ドルを超えると予測しています。
米国が現在の貨幣価値で累計3180億ドルを投じた「アポロ計画」の規模を上回るのです。
「為せば成る」のチャレンジングな精神主義だけなのか、それとも周到な現実路線を敷き詰めた確約された輝かしい未来への架け橋なのか?
現代に蘇ったトランプ式の壮大な「アポロ計画」 スターゲートプロジェクトについて語ってまいりましょう。
スターゲートプロジェクトとは? AIが切り開く新時代
スターゲートプロジェクトは、トランプ政権の二期において、AI技術の発展を目指す大規模なインフラ投資計画として位置づけられたOpenAIとMicrosoft、Softbankが共同で推進するAIインフラ構築の大規模プロジェクトです。
このプロジェクトは、ソフトバンクの孫正義氏、OpenAIのサム・アルトマン氏、オラクルのラリー・エリソン氏といった業界の巨頭たちが参加し、AIの未来を切り開くことを目的としています。
トランプ大統領はこのプロジェクトを「歴史上最大のAIインフラプロジェクト」と称し、その重要性を強調しました。
このプロジェクトの中心には、ソフトバンク、OpenAI、オラクルが共同で設立した新しいAI会社「Stargate」があります。
初期段階での投資額は1000億ドルに達し、最終的には5000億ドル以上に増加する見込みです。
この巨額の投資は、データセンターの構築やAI技術の研究開発に充てられ、AIの進化を加速させることが期待されています。
スターゲートプロジェクトは、アメリカ国内での雇用創出にも寄与することが期待されています。
トランプ大統領は、このプロジェクトが約10万の新たな雇用を生み出すと述べており、経済への影響も大きいとされています。
初期株主にはソフトバンク、OpenAI、オラクル、MGXが名を連ねており、これらの企業が協力してAI技術の発展を推進することが求められています
参画者のメリットと狙い、巨大テック企業の思惑
スターゲートプロジェクトには、OpenAIとMicrosoftという二大テック企業が中心的に関わっています。両社にとって、このプロジェクトは莫大なメリットをもたらすと思われます。
OpenAIにとっては、自社の先端AI技術を大規模に展開する絶好の機会となりますMicrosoftの強力なインフラを活用することで、より高度なAIモデルの開発と運用が可能になるでしょう。
また、政府プロジェクトへの参画により、研究開発資金の獲得や規制面での優遇措置も期待できます。
一方、Microsoftにとっては、自社のクラウドプラットフォームAzureの価値を飛躍的に高める機会となります。OpenAIの技術を組み込むことで、Azureは他社のクラウドサービスと一線を画す存在になることを目指します。
さらに、政府との密接な関係構築は、将来的な事業展開にも有利に働くでしょう。
両社の狙いは分かりやすいくらい明確です。AIの未来を自社の手で形作り、テクノロジー市場における覇権を確立すること。
トランプ政権との協力は、その野望を実現するための重要なステップなのです。
アメリカにとっての思惑
先に書いたように直接的には雇用を大幅に増やすというメリットがあり、外国からの直接投資により純粋にアメリカのインフラが強化され、それ自体が純利益となります。
それ以外にも大きな点があります。バイデン政権下では、AIの危険性を危惧して規制が見直され、AIインフラの支援が強化される方針が示されています。
これにより、スターゲートプロジェクトは、AI技術の進化を加速させるための重要なステップと位置づけられています。
特に、国内でのAI生産と運用の基盤を整えることは、国家安全保障の観点からも重要であります。
他国、殊にAIの世界でも躍進しつつある中国との競争において優位性を確保するための戦略的な取り組みとなります。
これは、旧来であれば、鉄を制するもの、半導体を制するもの、ネットプラットフォームを制するものが世界を制したように、その時々で世界を塗り替えてきた様々な革新的存在と同じ位置付けに生成AIが置かれたということを指しているのです。
日本は技術協力と産業革新のチャンスとして活かすべき
スターゲートプロジェクトは、日本にとっても大きな意味を持つ可能性があります。
日本は現在、少子高齢化や生産年齢人口の減少といった課題に直面しています。
しかし、このプロジェクトで開発される先端AI技術が日本に展開されれば、製造業やサービス業を中心に自動化が進み、新たな付加価値を生む産業構造への転換が期待されます。
日本企業がこの計画に参画し、その成果を活用することで、国際競争力を高めるチャンスが広がるでしょう。
特に、日本が強みを持つロボット工学やIoT技術とAIを融合させることで、独自の価値を創出できる可能性があります。
教育分野においても、AIを活用した次世代型の学習プラットフォームが整備されることで、人材育成が促進され、日本の競争力がさらに向上する可能性があります。
日本の教育システムとAI技術を組み合わせた新しい学習モデルは、世界的にも注目を集めるかもしれません。
また、日本の高度な製造技術や品質管理のノウハウは、AIシステムの信頼性向上に貢献できるでしょう。
これは、日本企業が世界のAI開発において重要な役割を果たす機会となる可能性があります。
ソフトバンクが直接投資を行い、スターゲートプロジェクトの中枢にイチしたということを使い、最大限日本に引きつけて技術協力と産業革新のチャンスとして活かすべきと僕は思います。
危惧される点として技術の集中と倫理的問題
しかし、スターゲートプロジェクトには懸念すべき点も多々あります。
最も大きな問題は、AIの開発と運用が特定の企業や政府に集中することによる弊害です。
技術の独占は、イノベーションの停滞や競争の減少につながる可能性があります。
また、AIの判断が社会に大きな影響を与える中で、その開発と運用が一部の組織に集中することは、民主主義の観点からも問題があるでしょう。
さらに、政府が深く関与することで、AIが監視や管理のツールとして使用される危険性も指摘されています。
個人のプライバシーや自由が脅かされる可能性は、決して無視できません。
倫理的な問題も浮上しています。AIの判断基準や学習データの選択に、特定の政治的イデオロギーが反映される可能性があります。
これは、社会の分断をさらに深める結果につながりかねません。
イーロン・マスクの横やり:予期せぬ展開の可能性
発表から数時間で、スターゲートプロジェクトの展開に、思わぬ障害が現れる可能性も浮上しています。
満を持して搭乗するのは、我らがダークヒーロー!テスラCEOのイーロン・マスクです。
イーロン・マスクは、スターゲートプロジェクトにおける重要なステークホルダーとして、その資金調達に関する懸念を表明しています。
彼は、プロジェクトが掲げる目標に対して必要な資金が確保されていないと指摘し、特にソフトバンクが100億ドルの資金を確保したものの、全体の資金調達が不十分であることを強調しました。
このような懸念は、プロジェクトの進行に影響を及ぼす可能性があり、他の投資家や関係者にとっても重要な要素となります。
マスクは以前からAIの危険性を訴えており、OpenAIの創設メンバーでもありました。
しかし、OpenAIの方針に不満を持ち、現在は距離を置いています。彼は、スターゲートプロジェクトがAIの開発を加速させ、人類にとって危険な存在になる可能性を懸念しています。
マスクは自身の影響力と資金力を活用して、プロジェクトに対抗する動きを見せる可能性があります。
マスクのXを使った国すら凌駕する発言力は世論に大きな影響を与えます。
また、マスクが政府機関の職員を民間の有能な職能人材に総入れ替えを行って支出を大幅削減をするDOGEは、外部的機関から正式な省へと格上げとなりました。
DOGEでツートップだった筈のヴィヴェック・ラマスワミの突然州知事になるために離脱し、イーロンの専横が可能になりました。
トランプ大統領の就任演説にも火星へのアメリカ進出の下りが少なからず挿入され、これまでのトランプの主張とは全く色合いが違う部分に驚いた人も少なくないでしょう。
それくらいにイーロンマスクはトランプの懐に入り込み馴染み、かつ時に懐刀としても、時に世界を揺さぶる遊撃手としても機能するジョーカー(切り札)として珍重されています。
トランプにとっては思わぬ冷や水かもしれませんが、あたら捨て置く訳にもいかないため状況は予断を許しません。
未来を左右する巨大プロジェクトは船出前、どこへ誰がすすめていくのか?
確かに、イーロンマスクが危惧するとおり、AI技術の急速な進化は、倫理的および社会的な課題を引き起こす可能性は大いにあります。
特に、スターゲートプロジェクトのような大規模なAI開発においては、データのプライバシーやアルゴリズムの透明性が重要な問題となります。
これらの課題に対処しなければ、プロジェクトの信頼性が損なわれ、社会的な反発を招く可能性があります。したがって、倫理的なガイドラインの策定が急務です。
ただ、そうはいっても一方でトランプがAIの規制を外す大統領令を発令したばかりです。
大事なことなので何回も書きますが、これは確かにお金の面は非常に大きい。ですが、本質的に目指すところはそれよりも生々しい国家闘争の武器としての側面です。
AIの進化は経済、社会、軍事面で幅広い分野に影響し、安全保障に直結します。重要情報を自国内で管理する「データ主権」と、自国内のAIの開発力は国家にとって重みを持ち、これが指数関数的に増えていきます。
危険性があるから止めるという判断は恐らくありえない。
そうだからこそ、イーロンマスクも持論を最前面出すのでは無く、資金という部分を持ち出してきたのです。
マスクは21日、X(旧ツイッター)上で「彼らは実際にそれだけの資金を持っていない。ソフトバンク(グループ)が確保しているのは100億ドル未満だ。確かな筋から聞いている」と投稿しました。
これに対してオープンAIのアルトマンCEOは「間違っている。あなたもきっとご存じのはずだが。すでに進行中の最初の現場を訪問したいですか?」と応じました。
実際、資金の支出はソフトバンクのみが持つのでは無く、アラブ首長国連邦(UAE)の投資会社など複数の企業や投資家が参画する予定です。
二人の積年の確執をはらさんとするつばぜり合いがどこに着地するかは全く予想も付きません。
ただ、言えることはイーロンマスクもトランプも一旦振り上げた手は下げることはあり得ず、必ず相手を打ち抜く。それは過去そうであったように今後も変わりません。
実はスターゲートプロジェクトには過去にもう一つ存在していたことをあなたはご存知でしたでしょうか?
1970年代のスターゲートプロジェクトは、冷戦時代のアメリカ軍による極秘の超能力研究計画でした。
この計画の主な目的は、遠隔透視(リモートビューイング)と呼ばれる超能力を軍事情報収集に活用することでした。
1970年に東側諸国の超能力研究に関するレポートが公開されたことで、アメリカ側に超能力研究の遅れへの危機感が生まれました。
プロジェクトの目的は、遠隔透視能力を用いて敵国の軍事施設や活動に関する情報を収集することでした。
研究者たちは、この能力を実際の軍事作戦に応用できるよう、プロトコルの開発や能力者の訓練に取り組みました。
このプロジェクトは1970年代から1990年代半ばまで続いたと言われます。
まるで想定科学ADV『STEINS;GATE』みたいで、信じられないでしょうけれど、史実です。
このタイミングで宇宙人と超能力を主題とする漫画「ダンダダン」がアニメ化して世界中で空前の人気を博したこともある種の運命の悪戯というのはうがち過ぎでしょうか?
単に名前が一致しているだけの別物ではあります。
しかし、世界の不確実性とこれから花開くであろうAGIそしてASIへの連なりは恐らく 新たなスターゲートプロジェクトを端緒とするものとなるでしょう。
そこには、可能性と危険性が入り交じる過去に無いフロンティアスピリッツを広く世界に波及させるものとなる。そんな確信に近いものを僕も感じています。
そして願わくばアメリカにとっての八甲田山行軍とならないことを切に願います。「為せば成る」に続く言葉は「為さねば成らぬ何事も」です。
あなたはどう思いましたか?
ではまた
マシュマロやっています。
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