カプセルトイが若い女性を惹きつけ業界を成長させている
ガシャポン、ガチャガチャなどと呼称されるカプセルトイの売上が近年伸びています。
よく親ガチャだとか配属ガチャだとかハズレを暗喩する際に使われたりもしますし、ソーシャルゲームでのキャラクタやアイテムの排出の仕組みとしても使われますが、これはそのオリジナルのリアルなガチャの話です。
カプセルトイの市場は2022年640億円
日本玩具協会(同・墨田)によると2003年から2018年までの15年間は大体300億円台を推移していたのが、この5年ほどで倍増の640億円までうなぎ登りを超え、直上に売上が上がっています。
一過性のブームではなく、長期的な成長が見込まれています。背景としては以下の要素が挙げられます。
コロナ禍での専門店の増加
大人向け商品の拡充・女性客の定着
インバウンド需要の回復
豊富な商品点数
出店コストや運営人員をあまり多く必要としていない
初期費用も運用費用も低く抑えられ、商品の開発に専心し需要の取込が好循環していることが強みとなっています。
ん?女性客?ガチャが??
正直僕は不見識でガチャと言えば男の子か大きなお友達(オス)の趣味であり、牙城であると思い込んでいました。どうもそれは単なる思い込みだったようです。
それも学生ではなく、20-30台の成人若年女性が中心に購入しているということです。小売店の方もこの傾向を上手く掴むために女性が店に入りやすくなるように工夫をしてきました。
業界は違いますが、牛丼屋やラーメン屋に女性が入店すること自体周囲の目を気にして興味はあっても忌避するか、こっそり鍋二郎などのテイクアウトが関の山だったのが、今はひとかどのお客様です。こういった変化は起きるものですね。
女性にどういったガチャがウケてるの?
鉄板なのはやはり、サンリオキャラクターのフィギュアやアクセサリー、ディズニーキャラクターのミニチュア雑貨、猫や犬などの動物をモチーフにしたミニフィギュアといった可愛いミニチュアやキャラクター商品です。
しかし、実用的なアイテムや昭和レトロをテーマにしたものもウケているのは、スーパーカーやキン消し、ガンダムといった過去のガチャブームの男の子テイストからは隔世の感がありますね。
あえて言うなら、コップのフチ子さんのような独自IPを源流としている部分も感じ取れます。
要素としては、実用品や精巧なところや品揃えの豊富さ、ランダム要素による希少性や何が出るかわからないドキドキ感が獲得感やお得感の演出に成功しているようです。
今の売上増と女性需要の開発はほぼ同時期
「大人の女性が楽しめるカプセルトイ専門店」としてガチャガチャの森が錦糸町に開店したのが2020年でちょうど300億円から跳ね出したころと同期しています。まあ記事を見る限り、ムー関係であるとか怪しげなラインナップもあったりですが、試行錯誤していたのでしょう。
購入をしている商品の一人当たりの単価は、600円未満が最多であるものの員数比がは女性が優位です。
20代女性の54.1%、30代女性の51.7%がカプセルトイを購入した経験があルのに対し、20代男性の41.8%、30代男性の42.0%で男性よりも約10%高くなっています。
キャッシュレスガチャなど金融トレンドの反映も
もうこうインフレが進んでくると100円ガチャなどというのは化石みたいなもので発掘できたらビックリされるような状況です、そうなると何枚もお金を入れるとか紙幣を入れてお釣りを出すなんて機構をカプセルトイの機体に組み込むのはコストがかさむだけで現実的とは言いがたいでしょう。
そこでQRコードによる電子マネー、キャッシュレスでの支払いも出来る機種が増えています。財布から硬貨ではなく、スマホをかざすだけです。そりゃ出来るならその方が楽ですよね。
ここら辺の仕掛け人が書いた本もありますからご興味がある方は是非ご一読ください。
何がウケるか分からない時代ですよね
2024年第三四半期の決算では、日本企業では製造業で減益が5割を超しました。主に従来日本経済を牽引してきた車や素材関連が元気がありません。
一方、AI関係は海外だけではなく、国内でも2023年の経産省のGENIACでは色々な事業に寄与する開発プロジェクトが集まり支援の元動いています。
それらに比べるとカプセルトイ市場はニッチで規模感が全く違いますが、スモールスタート、スモールトライアルで何かが生まれて化けるというのはアメリカのGAFAMの例を挙げるまでもなく不確定です。
楽しい、面白いといった軸が案外伸びていく要素なのかも知れませんね。