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エンドラインからの景色 vol.69 B1 第18節 北海道 vs A東京 GAME2 両ヘッドコーチ、星野京介選手会見
エンドラインからは選手たちの熱く激しいプレーや、そこからしか見えない表情がある。ダブドリ編集部が撮影した中から厳選し、写真とともにゲームを振り返っていく。vol.69はB1第18節の北海道vsA東京 GAME2の試合を写真で振り返っていく。最後に会見の様子を掲載する。(写真・文 = 宮本將廣)
ゲーム1のレポートを読んでいない方は先にこちらを✅
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アルバルク東京 デイニアス・アドマイティス会見
宮本 (総括で)おっしゃっていただいた通り、昨日の試合よりもステップアップはしたと思いますが、決してこの2試合はアルバルク東京として満足のいく内容ではなかったと思います。レバンガ北海道さんが昨日の試合の途中からゴーストとかスリップ系のアクションを使ってきて、スクリーンディフェンスをどんどん回避してきた。昨日のコーチの会見での僕の認識は、「アジャストする以前に個人の部分に問題がある」と受け取りました。昨日があって今日の試合なわけですが、今日はその辺りをどのように選手たちへアプローチしたんでしょうか?
デイニアス そうですね。相手のボールスクリーンに対しては、まずボールマンに対するディフェンスが確実に昨日よりもよくなったと感じています。あとはビッグマンのコミュニケーションがかなり良かったと思っています。昨日に関して言えば、やりたいディフェンスのカバレッジ、システムをただプレーしてしまっていました。バスケットボールは次の展開を読むことが大事なので、そこが昨日はオートマッチになりすぎたと感じています。例えるならば、ダンスをするようにプレーしたい。相手がピックをセットするなら、よりスムーズに対応してなくてはいけないし、スリップ、タッチアンドゴーなど、どのプレーを選択されてもダンスように滑らかに対応しなくてはいけない。昨日も言いましたが、北海道さんは本当に素晴らしいバスケットボールをするチームです。アタックしたいところを明確にアタックしてきますし、アイディアを持ってプレーしてきます。昨日と比較するならば、そこに対する集中力、コミュニケーションが良かったと感じています。
宮本 今の話を含めてもうひとつ伺いたいのですが、バスケットボールはオフェンスとディフェンスがあるわけで、今日はシュート数もリバウンドも大体同じなので、ざっとですけど、お互い同じようなペースだったのかなと。そうなると得点期待値をどのように上げていくのかという話になると思うですよね。これはコーチのフィロソフィー的な部分になるかもしれませんが、試合中のオフェンスのセレクトはコーチがされていますよね。昨日と選んでいるものがだいぶ違ったと思うのですが……もちろんメンバーも違うので変化するのはあたり前ですが、どのような基準だったり、考えを持ってそこを決定して、遂行してもらいたいと思ってコートに指示を送っているのでしょうか?
デイニアス オフェンスのセレクトに関しては、グダイティスがいなかったので、レオ(メインデル)が4番になります。そうなるとスペーシングとしては4アウト1インになる。それによって選ぶセットが変わりました。スペーシングが変わったことも影響していますね。それはテーブスにとっては、自分の目の前が広くなるので良かったと感じています。ただ昨日と同じプレーも使っていて、結果が変わったことはスクリーンの質が良かったところだと思います。スクリーンをしっかりとかけることができていたので、チームメイトを助けることができた。それによって生まれるアドバンテージでより効果的なオフェンスを遂行することができました。ペースをコントロールする部分に関しては、昨日はダブルドラッグを多く選んでいたのですが、今日はそのプレーを減らしました。そこがペースコントロールにつながったと感じています。結果的に22アシスト、5ターンオーバーだったのですごく良かったと思います。私たちはボールを動かして、ターゲットとなる選手にアタックすることが根底にあるオフェンスプランです。3Qで17点リードしたあとから、ひとりで何とかしようとする傾向を作ってしまったので、あの時間帯は無くさないといけない。そういうことを自分たちが理解して、改善していくことが必要だと感じています。
宮本 ありがとうございます。すみません、もうひとつだけいですか? 個人的興味なんですが、メインデル選手が4番に入ったことで、ザック選手のプレータイムが必然的に長くなりますよね。昨日からの北海道の守り方はコーナーがヘルプにこないやり方だったので、最初にも話がありましたけど、テーブス選手のスペースが広くなる。そこは昨日の北海道を振り返った上で、彼をメインアクションとしてゲームを作ったんでしょうか?
デイニアス その通りです! テーブスのところはスペースが大きくなるので、彼にとってはやりやすかったと思います。特に前半は素晴らしい仕事をしてくれていました。ペイントタッチからのインアウトがかなり多かった印象を持っています。それが試合において、すごくいい流れを作ってくれました。私の仕事としては、選手の特徴を捉えていいシチュエーションを作ることだと考えています。今日はスリーポイントが14分の2、フリースローが28分の20で確率は悪かったんですが、いいシチュエーションは割と作れていたと思います。この確率が上がってくれば、今日は78点でしたが、90点に近づいていた可能性もあります。ただ、今日のようにいいシチュエーションを作っても、シュートが決められないことはあるので、そういう時間帯もディフェンスを頑張れたことが今日は勝利のポイントだったと思います。
レバンガ北海道 小野寺龍太郎ヘッドコーチ会見
宮本 総評でもお話がありましたが、昨日と相手のメンバーが変わりました。デイニアスヘッドコーチにも聞いたんですが、昨日の話だとヘルプサイドはシューターから離れないようにしていましたよね。その修正は最初の段階で行っていたのか、ゲームの途中からだったのか。僕は途中からしたと感じたので、グダイティス選手が出ないというのは、試合直前まで分からなかったということですよね?
小野寺 そうですね。ゲーム前のアップでグダイティス選手がプレーしないんじゃないかという情報が入ってきました。そこから1時間前のメンバー交換のタイミングでベンチ外を知りました。なので、自分たちのヘルプポジションの調整というのは、ハーフタイムの段階でしました。ロールマンに対する守り方は、自分たちのピックアンドロールのカバレッジ、2メンゲームの守り方、ヘルプポジション、ボールの進行方向の守り方のルールは変えずに、昨日と同じルールでプレーしていたんですけど、それだとトラブルが起きすぎていたので、通常のルールに戻しました。アルバルク東京さんへのアジャストがうまくいかなかったので、今日の後半からは通常の形に戻しました。
宮本 故に相手が4アウト1インになって、ザック選手が3番、メインデル選手が4番になった時に、スリーポイントのところにマークマンが寄っているので、テーブス選手にペイントタッチをされる。
小野寺 はいはい、そうですね。
宮本 ポケットゲームをされても、想定していたバランスではなくなるという状況が起こったわけですけど、それはスタンダードに戻した状態で戦えるという判断をもう少し早くできた可能性はあるんですか?
小野寺 そうですね。前半のタイミングで戻すことは可能だったかなと思うところはあります。今思うと……。ただ、前半の自分たちのディフェンストラブルとしては……。そもそもピックアンドロールのハンドラーとロールマンの役割、その2人で完結するというのが僕たちのルールになっています。ただ前半に、それ以外のスクリーンプレーですね。例えばドラッグスクリーンでライアンがオーバーヘルプに進行方向から行ってしまって、ロシター選手にカットされてしまったりとか、後半もありました。自分たちのルールでプレーしながらも、ドライブキックでバランスキー選手がウィークサイドのコーナーでオープンになって、ドワイトがオーバーヘルプをしたが故にロングクローズアウトになってしまったりとか。そういうケースが発生してしまったので、アジャストからレギュラーに戻したタイミングでも、ちょっとしたコンフューズが起こってしまった。いずれにせよ、自分たちのルールである2人で解決するところに多々問題が発生してしまったので、本来であれば得点を取られないようなケース。そういったシチュエーションが他の試合に比べて多かったので、そういう失点は反省点としてありますね。
宮本 おそらくそういうところの精度がより上がってくれば、こういうゲームを勝ち切れるようになるとは思うんですね。あともうひとつ聞きたいことが、4Qの残り5分ぐらいからのオフェンスをヘッドコーチがどのように考えているのか、感じているのか。選手が試合を決めに行こうする結果、単発になりすぎてしまっているショットが何本かあったと僕は思うんですね。そこはもうちょっとボールを回して展開を作れば、もっとイージーな得点を取れた可能性があったと思うんですけど。
小野寺 それはあったと思います。オフィシャルタイムアウトに入る前のオフェンスで、僕は彼らにヘッドというコールをしました。基本的にはドラッグスクリーンをかけて、トランスファーしながらサイドチェンジを繰り返して、コンティニュティーしていく形なんですけど、それが生まれなかった。そのあとかな……寺園が右のスクリーン、リピックでターンオーバー。そういうイージーなミスが続いてしまった。やるべきことだったり、アドバンテージの取り方に関しては選手もわかっていたと思います。ボールムーブが生まれていないということも。あとはトランジションでのファーストミドルでミスマッチが起きていた。ライアンが走っていたけれども、ドワイトがそこに入れらずにロシター選手が戻ってきてしまったタイミングでボールを入れてしまってミスが起きてしまった。選択は悪くなかったんです。ファウルをもらうべきタイミングでもあったし、アドバンテージもあった。ライアンのポストという選択も間違ってはないんですけど、パスの質が悪かったり、タイミングがワンテンポ遅かったり。そういう部分が今日のゲームでは、もう少しチームとしては止めるべきシーンは止めてどこを攻めていくのか。もしくは誰で攻めるのかを明確化していく必要があったと……。これも今振り返ると反省として持っています。タイムアウトもビハインドが17点になったところで2つ目を取りました。そこで取らないと手遅れるになるという判断したました。今振り返ってもそこは取るべきだったと思うし、取った価値はあったと思います。ただ、実際にその点差を追いつけて、あとはオフィシャルタイムアウトともうひとつしかタイムアウトがない状況で、クロスゲームを戦う。本音を言えば、もうひとつタイムアウトが欲しかったんですけど、取るべきタイミングで使えたと思うし、後悔もない。だからこそ、クロックが止まったタイミングでの声掛けだったり、その時間帯のオフェンスのコンセプトを明確にするべきだったと感じています。うーん、あのー……星野のフリースローが決まっていればとか色々皆さんも思うところはあると思いますけど、本当にそこは意外というか……。実際、決めて欲しいという気持ちはありますけど、僕は今日の試合で彼に長くコートに立っていて欲しくて、パフォーマンスもすごく良かったと思います。なので、起用についても後悔はないんですけど、アルバルク東京さんのようなビッグクラブに勝っていくためには、大事な局面で誰がコートに立っていくべきなのか。もちろんゲームによって違う部分はありますけど、そろそろチームの核になるような選手が定まっていく時期だと思います。そういうものも見えてきたので、その辺りも含めてチームは成長していると捉えています。
レバンガ北海道 星野京介選手会見
宮本 両ヘッドコーチにも聞いたんですけど、グダイティス選手がいなかったことで4アウト1インのバランスになって、テーブス選手のスペースが空く。そこを起点にショートロールから逆サイドの安藤選手とかのハンドオフアクションとか。そういうプレーを展開されやすくなった。それはプレーしている選手の感覚としては、どういう感じなのですか? かなり相手にスペースを与えてしまっている感じなんですか?
星野 うーん、そうですね。テーブス選手自体にスピードがありますし、スクリーンにくる外国籍選手も大きくて、しっかりとかけてくる選手です。両コーナーにシューターがいて、そこは今回のゲームに関してはヘルプにいかないようにしていたところもあるんですけど、スペースは確かに広くあるなとは感じましたね。
宮本 僕の感覚では、アルバルクさんのショートロールからのショットセレクト。あとは逆サイドのコーナー、ウイングの動き出しがゲーム1よりも良くなったなと思ったんですけど、星野選手としてはヘルプに寄りたくなってしまうシチュエーションって結構ありました? ヘッドコーチからは後半にアジャストしたっていう話は聞いています。
星野 そうですね。やっぱり何度か同じシチュエーションでやられていたので、寄っちゃダメだって思いながらも、寄りたくなる感じはありましたね。
宮本 そこは選手間のコミュニケーションでどうにか上手くアジャストするというか。直接的な原因とは思わないですけど、1Qが12-17だった。これがもうちょと上手く……15-15ぐらいで行けたら変わったのかなって。最後にいつも盛實選手と関野選手と話しているじゃないですか。今日は特に話し込んでいる感じがありましたけど。
星野 そうですね。ハーフタイムでロッカーに帰ったときは、剛平さんやザネさんが中心になって、選手がこうした方がいいとか。外国籍選手も意見を出して違和感だったり、上手く行っていることを積極的に意見交換しているので、そういったコミュニケーションはよく取っていますね。
宮本 そういう意味では、4Qのオフェンスが気になっています。星野選手が出ていた時間帯ですよね。オフェンスが単発になったり、ターンオーバーで終わったりしてしまうことが続きましたよね? もうちょっとしっかりとトランスファーして展開を作れば、違う展開に持ち込めたのかなって思うんですけど、振り返るとあのオフェンスはもうちょっと上手くできたかなって。星野選手の感覚的に何かありますか?
星野 そうですね。クラッチタイムになると寺園さんやドワイトが起点になると思うですけど、僕自身もそこに頼ってしまって、みんながそういう状況になってしまうと今日のようなオフェンスになってしまうと思うんですね。もっとトランスファーして展開を作れば、自分たちがアルバルクさんにやられたことが嫌だったように、自分たちがそれをできれば相手も嫌だと思うので、自分自身ももっと練習から他の選手に頼りすぎずにやるべきだなとは思いましたね。
宮本 そこは……昨日はドワイト選手が良かった。寺園選手は安定してスコア面で素晴らしいってなると、どうしてもそこに偏ってしまいがちだと思うんすけど、選手間でもう少しボールを散らそうみたいなことは話したことはあるんですか?
星野 オフェンスに関してはその2人とザネさんに任せているところはあるので。ただ基本的にもそうですし、アルバルクさんとの試合に向けた準備でも、もっとトランスファーすることをやっていたので、今日の試合の反省も活かして、今後は改善していくとは思いますね。
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