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インフロニア B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2025 サンロッカーズ渋谷U18 森茂達雄ヘッドコーチインタビュー

森茂達雄ヘッドコーチ/サンロッカーズ渋谷U18 
U18の創設時からヘッドコーチに就任。インフロニア B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2025が最後の指揮となった。

2月24日 千葉ジェッツU18 試合後インタビュー

宮本 サンロッカーズ渋谷のユースから大森康瑛(サンロッカーズ渋谷)というプロ選手が誕生して、松下湊人や井伊拓海のように6年間とかそれ以上の時間をユースで過ごしてきた選手がプロ選手になりたいという気持ちを持ってクラブの文化を作ってきてくれました。その中で彼らから森茂コーチが得たことや気づかされたことってありますか?
森茂 ものすごく気づいたのは、まずはバスケットありきだということ。すべてがバスケットありきなので、バスケットでどこを目指すのか。例えば大森康瑛がプロ選手になりました。井伊や松下も将来プロ選手を目指しています。プロ選手を輩出するということは勝つこととちょっと違っていて、プロで必要なスキルだとか、あるいはタフネスさだとか。そういうものを3年間で身につけさせなくてはいけない。それを考える中でものすごく気づかされたことは、高校バスケットのように毎日毎日同じことを繰り返すのだけでは無理だということです。もちろん繰り返すことが必要なんですけど、繰り返しながらも繰り返しをしてないっていうのかな。変な言い方ですけど、毎日同じことを繰り返してるんだけど、実は新しいことをしているんだよっていう気づきを与えなくてはいけない。大森康瑛は頭がいいので、何かを与えたときに自分自身のクリエイティブさでそれ以上のことをやろうとしていました。それがプロ選手になれたひとつの要因だったと思います。気づかせるということに関して、高校バスケットとは全く違う。私自身にとってそれはすごく学びでした。
宮本 (松下)湊人がU15から上がってくるときに、「彼をポイントガードで使ってみよう」と。(動画参照)それはBユースでなければ……例えば保善高校時代に彼と出会っていたら、2番、3番みたいな使い方になったと思うんです。

森茂 そうですね。そうなると思いますね。
宮本 やっぱりBユース、サンロッカーズ渋谷のユースだからこそ、彼をポイントガードで育てようという決断になったと思うんです。ポイントガードとして彼をメインの据えて、改めて今日も含めた彼の成長はどう感じられていますか?
森茂 いやー、期待値という意味ではまだまだ満足とは言えないんですけど、この3日間を振り返ると今日と昨日の試合は、非常にいい働きをしてくれたんじゃないかと思っています。課題だったターンオーバーも今日は多くなかったし、昨日のSKYLINERS(ドイツ)戦に追いついたのは彼のドライブからのフィニッシュがあったからです。あれをもっともっとやってもらえるように、もっと早い段階から期待はしていたんですけど、なかなか……ね(笑)。本人もいろんな想いがあるんだと思うんですよ。
宮本 ハハハ。同意です(笑)! でも、成長しましたよね。
森茂 そうですね。井伊も高校バスケットだったらインサイドしかやらなかったかもしれない。そういう意味では、それぞれがすごく成長を見せてくれたと思います。

 10年前、私は中学バスケ部のコーチをしていました。当時、保善高校の試合を見て、選手たちに「保善とか行ってみたら?」と言うと、「無理でしょ!試合に出れないでしょ!」と返されたりしていました。
 どうやったらあの舞台に立てる選手を育成できるのか……。そこで指揮をとっていたのが森茂先生でした。サンロッカーズ渋谷U18に来てから、何度もお話を伺わせていただきました。松下湊人という才能を見つけてからは、さまざまな取材を行わせていただき、勝手なこちらの考えも言葉掛けも全て受け入れてくれたのが森茂コーチでした。
 2023年の日清U18ブロックリーグでは、エンドラインでカメラを構える僕に、「いやー、もうねー、どうしてあんなターンオーバーをしちゃうんだと思う?」
と聞いてきて、つい笑ってしまったことを昨日のように覚えています(笑)。
 
 2月24日、全敗で迎えたインフロニア B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2025の最終日。試合前の森茂コーチのところへ挨拶に行くと、「いやー、申し訳ない」と話し始めました。

「なんとか勝ちたいなー。ちょっと全敗じゃ格好がつかないですよ(笑)。でもね、私は本当に幸せ者です。高校バスケットで終わっていたら、こんな世界を知ることもできなかった。昔はプロになりたいっていう選手たちの気持ちが正直わからなかったんです。でも、今ならその気持ちがすごくわかるんだよね。本当にいつもありがとうございました」
と……。

 きっとそのコートで戦っていた選手たちは、これまで学んだことの中で何よりも大切な、けれど言葉にすることのなかった森茂コーチの教えにいつか気づく日がくるでしょう。実際、選手たちが森茂コーチに反発している姿や、感情をコントロールできずにその言葉に耳を傾けられなかった瞬間を見てきました。そんな彼らに取材を通して、「こういうことだと思うよ」と伝えると、「それはわかっているんですけど……」と返されたこともありました。
そんな反発も森茂コーチだったからできたということ。
自分はこう思うというトライも森茂コーチだったから見守ってくれていたということ。
そうやって、サンロッカーズ渋谷ユースのカルチャーを共に作り上げてきたということ。
 そんな時間を取材を通して共有できたことに感謝していますし、僕自身も幸せ者だったと思います。
 そしてサンロッカーズ渋谷U18を森茂先生と作り上げた教え子たちが、大森康瑛に続き、B.LEAGUEのコートに立つことを楽しみにして……。
(ダブドリ編集長 宮本將廣)

インフロニア B.LEAGUE U18 INTERNATIONAL CUP 2025インタビューシリーズ

ダブドリVol.21 サンロッカーズ渋谷大森康瑛選手とサンロッカーズ渋谷U18の松下湊人選手が14ページロングインタビューに登場!

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