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エンドラインからの景色 vol.58 B1 第2節 越谷 vs 琉球 GAME2 試合後ヘッドコーチ、荒川選手、橋本選手会見

エンドラインからは選手たちの熱く激しいプレーや、そこからしか見えない表情がある。ダブドリ編集部が撮影した中から厳選し、写真とともにゲームを振り返っていく。vol.58はB1第2節の越谷vs琉球のGAME2を写真で振り返っていく。最後に両HC、荒川選手、橋本選手の会見を掲載する。(写真・文 = 宮本將廣)

琉球ゴールデンキングス桶谷大HC会見

宮本 伊藤選手が怪我をしたことによって、荒川選手の比重が大きくなると思います。彼は若手ではないですが、これからどんどん経験を積んでいく必要のあるプレーヤーだと思います。今日も正直に言えば、ちょっと荒いというか。ディフェンスはいいけど、オフェンスのところですね。
桶谷 うんうん。そうですね。
宮本 オフェンスでもうちょっとクリエイトできればなっていうシーンがありました。そこに課題があるとは思いますが、チームとしてはヴィック・ロー選手なども使いながらになるんだろうなという印象を持ちました。その中で彼に求めるもの。次のステップはどこになるんでしょうか?
桶谷 そうですね。本当に今おっしゃられた通りだと思います。ディフェンスはいいです。ただ、5対5でどうやって自分がwinnerになるのかっていうところが全てだと思います。今日のゲームもプルアップジャンパーを打つべきだったのかっていうところも考えないといけないですし、逆に24秒が残り2秒ぐらいのところでパスを返しちゃったりとかもありました。そのシチュエーションで自分が打つべきシュートがなんなのかっていうのは、もう少し学んでいかなくてはいけないと思っています。ディフェンスでもボーナスフリースローが相手にあるときに、もう少しソリッドにディフェンスをする。game winnerになるところをもう少し高めていって欲しいですし、そういう助けはしたいなと思っています。
宮本 そういう意味では、おそらくトランジションのところでボールプッシュを速くしていく。外国籍選手と帰化選手がいるので、そこでマッチアップトラブルが起こったときに、より早くそこをハントしていくっていうのが彼にとっても重要なのかなという印象を持ったんですが……。
桶谷 そうですね。彼は今はここにミスマッチがある。ここにアドバンテージがある。っていうふうに常にコントロールをするタイプではないと私も思っています。だからこそアーリーとかダブルドラックとかをうまく使ってスピードを活かしながら、プレーを作っていく。ズレを作っていくっていうのは今ずっとやっています。うちはビッグマンのところにアドバンテージを作れるので、そこからのハイローだったり、2メンゲームは強みになっていく。そこら辺を中心にアーリーをうまく使っていって欲しいなと思っています。
宮本 ありがとうございます。あともうひとつなんですけど、脇選手もペイントタッチが魅力です。伊藤選手の離脱によってはそこを活かすこともあるのかなと思ったんですが、彼にはどのようなところを求めていくのでしょうか?
桶谷 そうですね。もちろんオフェンスのプレーヤーとして彼は大学でも屈指のペイントタッチプレーヤーだったと思います。ただ現状僕はディフェンスプレーヤーとして見ています。脇が1番について、岸本が2番につくことが多いんですけど、やっぱりサイズがあるので、彼がマッチアップすると簡単に打つことができないと感じています。それこそ三遠戦でも、佐々木選手と大浦選手に脇をつけたんですけど、そのときはほとんどプルアップのシュートを打たれていないんですよ。でも、岸本がつくと打たれてしまっているケースがありました。そういったところでハンドラーのディフェンダーとして彼をかっています。あとはリバウンド、カッティングですね。まずはボールを持っていないところの仕事をやる。ハンドラーに関してはそこからですよね。やっぱりまだまだターンオーバーをゲームで2個ぐらいしちゃうんですよ。だからその辺りはこちらがコントロールしつつも、彼が成長していくためにはどこかで使っていかないといけないので、その見極めは大事だなと思っています。例えば、ファーストディフェンダー、セカンドディフェンダーっていて、サードディフェンダーに彼が付かれているときとか。そこで本人がプレーできる要素があるようだったら……なども含めて、5対5を学んでいきながら成長していってほしいと思っています。

琉球ゴールデンキングス荒川颯選手会見

宮本 これまでずっといろんなチームを渡り歩いてきて、試合に出られない経験もしてきたと思います。ベンチからだったり、登録外でコートの外から見ている時間も長かった中で、琉球にきて、こうやってチャンスを掴みかけている。今までそうやってコートの外から見てきたことだったり、それこそ今日は橋本竜馬選手とマッチアップしましたけど、過去に彼から学んだことで今に活きている部分、活かしていきたい部分などは何かありますか?
荒川 そうですね。まずは何かひとつでもチームに与えられるもの。今の僕であれば流れを掴むためのディフェンスのエナジーであったりとか。そういうひとつの武器を明確にしていかなくてはいけないと思っています。それこそ竜馬さんの姿であったり、いただいたアドバイスの全てが活きているなって感じていますね。
宮本 その中でヘッドコーチにも伺ったんですが、琉球さんは激しいディフェンスをしてボールを奪ったら、ビッグマンがリムランをして、アドバンテージを作っていく。スリービックだったら尚更っていう中で、そこの判断ミスがなければ、簡単にシュートまで持っていけるだろうなとイメージができます。次のEASLにも繋がると思うのですが、その中で今日は印象論として、荒川選手がボールをプッシュしていくのか。それともロー選手にボールプッシュをさせて、自分がエントリーのスポットに入っていくのかっていう判断がまだ難しいのかなと感じました。その辺りは何かゲーム中にアジャストしたり、コミュニケーションをとったりしたんでしょうか。もしくはもうちょっとこうすればよかったとか。
荒川 そうですね。誰がボールを運ぶのかっていうところは、僕が出ている時間はあまり意識しなくていいなと感じています。その流れの中で、スリービッグのときは特になんですけど、重くなってしまうので、変にコントロールをしようとするとあまりいい流れにならないなとも感じています。それは昨シーズンからそうだったんですけど、流れの中でもっとどこを狙うべきかっていうのは考えてやらないといけないなと思っています。
宮本 その中で、荒川選手個人はスキルフルな選手だと思っています。そのスキルをどこでどう使うのかっていうところもポイントかなと感じています。それこそエントリーしてきて、サイドを変えた段階。ディフェンスがまだ準備できていない2対2の状況とか、クローズアウトシチュエーションの1対1で使うのかとか。そこの判断もかなり大事だと思うんですけど、今日の手応えはどうですかね?
荒川 いやー……本当に模索中ですね(笑)!
一同 ハハハハハ!
荒川 それはまさに今の自分の課題だと思っているんですけど、達哉さんが怪我をして、僕がポイントガードとして出る時間が増えた中で、まずは球離れを早くして、その後に回ってきたボールはある程度自分で攻めていくっていうのがポイントガードの基本だと考えています。それを自分の良さも活かしながらどうやっていくのか。そういったところは本当に模索中ですね。

越谷アルファーズ橋本竜馬選手会見

宮本 橋本選手にとって越谷でのチャレンジは、レバンガのときと似ているのかなって、個人的には思っているんですね。これから強くなっていくチームを本当に強くしていくためにどうするのか。ただ、実際には違いがあると思います。メンバーも違うし、状況も違うので。その辺り含めて、当時と今の取り組み方や考え方の違いを教えてもらえますか?
橋本 レバンガ北海道はB2にいたことはないっていうのが大きいですね。選手も多くがB1でプレーをし続けていた。もちろん強くはなかったですけど、強度だったりをわかった状態で戦えていた。越谷アルファーズに関しては、B2からB1に上がってきた。選手自体もB1でプレーしていた選手ばかりとは言うんですけど、実際に昨シーズンは多くの選手がB2でプレーしていましたし、特にこの2戦。アルバルク東京と琉球ゴールデンキングスはリーグのトップチームです。そこと戦っていく準備、自信だったりっていうのがまだまだないっていうのが現状だと思います。ずっとB1にいるチームとB2にいたチームという違いはあるなと感じています。ただ持っているものに関しては、そこまで遜色はないと思いますので、個人やチームとしてどうやってB1で生き抜いていくのかっていうところを考えていく必要があるのかなって感じていますね。
宮本 今日の試合で越谷の選手たちがヘッドダウンしてしまいそうな場面で、橋本選手が盛り上げるシーンがかなり目立ちましたし、ファン・ブースターの皆さんにとっても印象的だったと思います。その中で、天皇杯とかを見ていても、なかなかB2のチームがB1に勝ち切れないことがあるじゃないですか。
橋本 はいはい。
宮本 越谷がB2から上がってきましたっていう視点で見たときに、今日の試合も遂行力の差がかなり出たと思うんですね。橋本選手も実際にいくつかミスがあったと思いますけど、どうやって持ちたいところでボールを持って、打ちたいところでシュートを打って、やりたいディフェンスに入るかって大事だと思うんですけど、それを遂行するためには何が必要なのかっていうのはどうでしょうか?
橋本 うーん……はっきり言ってしまうと、遂行するまでの力はないと思います。なので、もっとやり散らかさないといけないと思っています。それはいい意味での積極性で、それがないとB1では誰も戦っていけないと思います。自分の話をすると、今日良かったのは何かを変えていこうというか。1歩でも2歩でもいいから少しでもゴールにアタックしていこうっていうところでした。いつもなら早くパスを出すところを、もう少し突っ込んでみようとか。やっぱりそれをひとりひとりが感じることはすごく大切なことだと思いますし、ミスを自分の中で噛み砕いて、次はこうすればミスをしないっていうことを自分で覚えること。それが必要だし、何がうまくいっていないのかを理解して練習する。このサイクルを作っていくしかないと思います。コーチはそのプレーをすれば成功するっていう想像というんですかね。未来が見えていると思うんですけど、そこに選手がまだアジャストできていないと思うし、実際に試合で対峙したときにそこまで行けていないっていうのが事実です。だからこそ実際にアタックしてみる。それによって脅威性を見せる。僕もミスをしましたけど、いつもとは違う感覚でプレーができたので、実際にミニッツも増えています。コーチもその辺りを感じてくれたのかなって思います。
宮本 そういう視点では、榎田選手も今お話しいただいたポイントがよかったなと感じました。オフェンスが停滞したときはどうしてもペイントに入れずに、簡単にスリーポイントを打ってしまう印象があったんですけど、そこは個々人がもっと思い切ってアタックしていくことがリーグの前半戦で大事になってくるってことですよね?
橋本 そうですね。その通りだと思います。やっぱり積極性だったり、判断力はどれだけワークアウトをしても、ゲームの中でやるかやらないかで全く違う話になってくるし、今はそれをできる環境にあると思います。コーチはみんなが同じラインの選手として考えていると思うので。じゃあ、その椅子を誰が勝ち取っていくのか。誰にそういったミスをさせていくのかっていう争いになっていくと思うので、それは練習の中で勝ち取っていくしかない。そして試合で積み上げていくっていうステップだと思いますね。

越谷アルファーズ安齋竜三HC会見

宮本 今日は榎田選手がすごくよかったなと感じました。橋本選手の会見でも伺ったんですが、ペイントタッチまでうまく持っていけなかった印象があったんですけど、そもそもそれぞれがこじ開けるぐらいの気持ちで、1歩でも2歩でもそこに向かっていくことが大事だと橋本選手が話してくれました。おそらく竜三さんも同じ感覚でいるんだと思うのですが、そういう部分を含めて、榎田選手の今日のプレーの評価を伺ってみたいなと思いました。
安齋 役割でいうと、まずはディフェンスですよね。あとはリバウンド。オフェンスリバウンドもディフェンスリバウンドもかなり飛び込んでくれるので、そこは最近本当に良くなってきました。あとはオフェンスでもおっしゃっていただいたようなところができてきました。でも、まだハンドラーになれるか。そもそもそこの前に1本のシュートを決め切れるのかどうかっていうところもあります。間違いなく上がってきてはいます。その中で、昨シーズンもこういう話を結構したんですけど、僕のライン設定と選手たちのライン設定が難しくて、僕の対応によって選手たちのメンタルが結構変わっちゃうなって僕は思っているんですよね。そのラインを変えた方がいいのかっていうのが僕の今の課題ですね。これは昨シーズンと同じことなんですけど。ラインを変えないのであれば、まだまだ足りない。例えば、琉球の松脇選手なんてもっともっとやってますから。
宮本 確かに。
安齋 あそこまでいってほしいっていう思いはあるので、そういう意味ではまだまだです。どんどん右肩上がりになればいいですけど、現状は上がっては下がってを繰り返しているので、皆ですけどね。そこをどうにかしてどこかで変えていきたいなと思っています。それは僕の接し方もあると感じてます。
宮本 そういう意味では、局面の攻防ですよね。やっぱり琉球さんはアレックス選手もクーリー選手がどれだけリバウンドにファイトしてもリムランをしてくる。オフェンスリバウンドに絡んでからもしっかりハリーバックする。そういうところが差としてはリアルにあったと思うんですね。今の例はたまたま外国籍選手のところですけど、それぞれのポジションであったと思います。そういう意味では、今の竜三さんの話を聞いても、頑張ってボールを取ったら1回終わっちゃう。取れなかったら、戻ってこないっていうシーンがいくつかあって、そのスタンダードを上げていかないといけないと思います。そこの局面っていうのも、あまり求めすぎると……こう(笑)。
安齋 そうですね。本当に難しいところですよね。実際にそれで自分を見失ってしまっている選手もいると思うので。でも、ひとりひとりに役割があるし、ビッグマンは本当にリバウンドを頑張っていると思うんですよ。カイもこの2試合はディフェンスリバウンドではすごく活躍をしてくれました。取ってくれるということは、その次のアウトレットをしっかりしないといけない。そこの次の展開に誰が持ち込むのかっていう役割みたいなものが、まだ僕自身も作れていないのかなっていうのは感じています。おっしゃる通り、遂行力は全然違います。スクリーンの質だったり、使い方とか。リジェクトの仕方とかファウルのもらい方もそうだし。でも、それはもうね。練習しながら積み上げていくしかないだろうし、うちのスタッフの仕事量を増やしてあれなんですけど、そういう数値を全部取らせて、数字で示すっていう方法をブレックスのときもやっていたんですよね。
宮本 はいはい。
安齋 それをまたやり出して。それで意識は少しずつ。スクリーンヒットも変わってきているし、これは積み重ねかなっていうところですかね。ただ、琉球のメンバー含め、彼らはずっとトップで積み重ねているので、そこの差が現状あるのは正直なところだと思いますね。

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越谷アルファーズ上原和人社長が「夜明け前」に登場!


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