ダブドリVol.20 「あの日のあのね、」 ベルテックス静岡 岡田雄三選手特別インタビュー 後編
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ダブドリVol.20 4月26日発売
自分だけの気持ちを言うならばベルテックスで最後までやりたい。
宮本 少し話題が変わるけど、個人としての将来ビジョンとかは考えていたりするんですか?
岡田 そうですね。ベルテックスがどんどん大きくなっていって、このチームでB1を戦えたらそれが自分にとっては一番いいと思っています。もちろん本音を言えば、他のチームに行ったら自分はどれぐらい通用するんだろうっていうのを試したいっていう気持ちもプロだからこそ持ってはいます。でも、会社員を辞めて選んだ地元のチームでB2に来ることができたので、何年かかるかわからないけど、このチームをB1にあげたいなっていう気持ちは強いですね。
宮本 やっぱり地元への想いは強いよね。
岡田 それはもちろんですね。ベルテックスをB1に上げて、そこで活躍するっていうのが最高のストーリーではありますけど、プロ選手になったということは現実として自分がそのチームにいたくてもチームの構想に入らないっていう可能性は誰しもにあるわけじゃないですか。戦うカテゴリーが上がっていけば尚更ですよね。
宮本 確かに。たとえば日本代表クラスの静岡出身の選手がこのチームに現れたら、それだけでも今の岡田選手の立ち位置が変わる可能性もあるし、試合に出ることができなくなるかもしれない。それでも、「地元だからこのチームにいたい」っていう選択もあるだろうし、「プロだからこそプレーできるところやりたい」っていう選択もあると思うんだよね。
岡田 いやー、それはすごく難しいですね! めちゃくちゃぶっちゃけた話ってことですよね(笑)?
宮本 ハハハ、そうだね(笑)! 僕もいろんな選手と話をさせてもらう中で、2026年からの新リーグ構想がある中で、チャレンジしたい気持ちと地元や関係の深い場所で頑張りたいっていう気持ちで揺れ動いているっていうことはよく話すんだよね。正直に言えば、ベルテックスが初年度からBプレミアに行けるのかっていうのは難しいところだと思う。でも、もしかしたら岡田選手個人はここから活躍を続けて30歳のときにはBプレミアに参加するクラブから声がかかるかもしれない。
岡田 いやー、めちゃくちゃ難しいですね(笑)。僕個人の話をすると、35歳まではプロ選手として頑張りたいなって思っているんですよ。25歳で会社を辞めてプロ選手になったので、10年はプロ選手として活躍したいっていう気持ちが強いんですね。でも、宮本さんが言ったみたいに需要と供給っていうのがあるので、そのときになってみないとわからないことがあると思うし、自分だけの気持ちではどうにも出来ないこともあるじゃないですか。そういうこともひっくるめて、自分だけの気持ちを言うならばベルテックスで最後までやりたいなっていうのが1番ですね。これはぶっちゃけた話でいいんですよね?
宮本 うん(笑)。
岡田 もっと言うと、これから来シーズンの契約の話とかも動き始めるわけじゃないですか。
宮本 うんうん、そうだね。
岡田 もしかしたら他のチームからも声がかかるかもしれないし、それがB1のクラブにチャレンジできるチャンスかもしれない。そういうチャンスが舞い込んできたら、「チャレンジしたい!」っていう気持ちは正直あります。でも、ベルテックスに静岡出身の……たとえば青木保憲(仙台89ers)は同級生なんですけど、彼は今B1で活躍しているじゃないですか。彼が来年ベルテックスに来たとして、地元選手が増えて自分のプレータイムが減るかもしれないから試合に出られるところに行こうみたいな気持ちは全くないですね。むしろ静岡出身の選手として一緒にベルテックスを盛り上げたいなって思っています。
宮本 なるほどなー。いやー、聞いといて言うのもなんだけど、本音だね(笑)!
岡田・宮本 ハハハハハ。
宮本 そういう意味でも、静岡ドリームクリニックはすごい活動だった思うし、あれをきっかけに同じ静岡出身だけど今まで交流がなかった選手とも交流が始まったりとかはあるの?
岡田 ありますね! まだ言えないですけど、今後に向けて色々動き始めていることもあるし、あれをきっかけにベルテックスの話をする機会は増えました。みんながすごく地元を気にかけてくれていることが知れて嬉しかったですね。それこそ川崎の増田啓介が静岡の話をしてくれたのはちょっと意外でした。B1のトップの選手でも静岡のことを気にかけてくれてるんだっていうのは僕の中ですごくポジティブでしたし、いろんな意味でまだまだ成長段階のチームではあるからこそ、そういうチームでバスケットを通じていろんな活動をできている自分は恵まれていると思うし、それが楽しいとも感じていますね。
静岡のために、地元のために何ができるのかってすごく考えます。
宮本 僕は北海道出身で地元が大好きなんだけど、地元に関わるって嬉しさとか楽しさもある反面、難しいなって感じているんですね。多分今話していたみたいに、みんな地元を気にはしているけど、タイミングときっかけが必要だったりすると思うし。
岡田 それはめちゃくちゃあると思いますね。だからこそ、僕はすごくありがたい機会をもらえているし、今日は久々に勝ちましたけど、実際クラブとしてはB2の壁にぶつかっている段階だと思います。(インタビュー日:1月21日)後半戦はしっかりと経験も積みつつ、成績も残すことが大前提になりますよね。でも、今ぶつかっている壁は今後に活きていくと思うし、クラブを静岡に根付かせていくっていう意味でも成績はもちろん、地元出身の僕には他の選手よりも大きな役割があるんじゃないかなって勝手に考えています。
宮本 話を聞いていてもいろいろ考えていると思ったし、もちろん大変なこととか悩んでいることもあるんだろうけど、それが楽しいのかなって感じました。
岡田 それは間違いないですね。ついつい、「もっとこうやったら、こういうことができるんじゃないかな」って考えちゃうところもあります。それこそこないだお年玉企画っていうのをやったんですけど、小学校を訪問する活動の中で、僕が子供たちにTシャツをプレゼントしたいと提案をさせてもらったんです。でも、それをやるには当たり前ですけど結構なお金が必要だから、自分でスポンサーさんに企画説明をして、協賛のお願いに回らせてもらいました。結果的にいろんな方にご協力いただいて、本当にありがたいことに必要以上のお金が集まったので、余った分はファンの皆さんに還元させていただきたいと思ってお年玉企画を思いついたんです。そういうことも地元出身の選手だからこそやりやすいっていうのもあると思うし、僕がやれば他の選手もいろんなアイディアを形にすることができるのかもしれないなって思っています。
宮本 確かに。他の選手からは地元出身じゃないからこその視点とか発想が出てくるかもしれないしね。
岡田 そうですよね。そういうオフコートでの活動も大変だけどすごく楽しいし、そういう経験がゆくゆくは自分のプラスになると思うので……。大丈夫ですか? こんな話ばっかりですけど(笑)。
岡田・宮本 ハハハハハ。
宮本 いやいや(笑)。すごくいい話を聞かせてもらっているし、個人的にはめちゃくちゃ興味深かったです。むしろ岡田選手が話してくれたようなことを、今活躍している選手たちは考えて行動していかないといけないんじゃないかなって思っていたところはあるんだよね。Bリーグは年々注目が高まってきて、熱量が上がってきている中で、さっきも話してくれた通り選手にも需要と供給があるからこそ、クラブによりプラスとなる選手が求められると思う。だからこそ岡田選手が話してくれたことは、いろんな選手に知ってもらいたいし、考えるきっかけになったら嬉しいなと思いました。
岡田 ありがとうございます。でも、本当に下からどんどんいい選手が入ってきますし、外国籍選手のレベルも上がっている。もちろん僕もそれに負けじと成長していきますけど、それはプロ選手としては当たり前の話であって、コート以外でも価値を作れるかどうか、クラブの力になれるかどうかはすごく大事だと思っています。それこそタイミングっていう話もありましたけど、1年で全然変わっちゃうと思うので。
宮本 本当にそう思う。僕みたいなある意味普通の仕事をしている人間は65歳とか70歳とかまで働くんだろうけど、プロスポーツ選手という仕事は長くても35歳とか40歳とかまでしかできない。もちろんその後も仕事をするわけだけど、プロスポーツ選手という仕事に関しては1年の重みって僕らよりもめちゃくちゃ重たいよね。
岡田 そうですよね。
宮本 選手キャリアを平均すれば長くても5年とか。単純計算すれば、僕らが3年ぐらい働いて、「転職しようかな……」っていうことも、プロ選手は1年で考えないといけない。そういうスピード感だと思うから。
岡田 そうですよね。なんならもっと早いかもしれないじゃないですか。
宮本 本当にそう思う。
岡田 それはプロ選手になってからめちゃくちゃ感じますね。本当に一瞬で過ぎていくので(笑)。僕もプロ3年目ですけど、28歳なので選手としてはベテランの領域に入ってきてるわけですよ。そうなると、今何ができるのか。選手としてもそうだし、静岡のために、地元のために何ができるのかってすごく考えます。
宮本 それはきっとアイシンAWで会社員をやったという経験と、プロ選手としてのキャリアのスタートが地元の静岡だったっていうことがすごく大きいのかなって感じました。
岡田 めちゃくちゃ大きいですね。3年間だけど会社員をやらせてもらったことは本当に大きかった。僕は会社員というキャリアを捨ててプロ選手になったので、スタートの段階からセカンドキャリアも考えながら動きたいと思っていたところは正直あるし、今オフコートでやっている活動はこれからも続けていけたらいいなって思ってます。それこそ会社員が子供たちに会いに行っても、「誰?」って話じゃないですか。
宮本 ハハハ、確かに。
岡田 今の立場だからこそできることや経験できることがあるし、子供たちに何かをしたいっていう気持ちで始めたことですけど、それが結局は自分の学びにもなっている。なんかすごくディープな話になっちゃいましたけど、大丈夫ですか(笑)。
岡田・宮本 ハハハハハ。
岡田選手はこの後に「あの日のあのね、」取材に合流します。
ぜひ、ダブドリVol.20「あの日のあのね、」も合わせてお読みください。
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