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憧れたチアの世界で、次は自分が憧れの存在になれるように 〜 レバンガ北海道 パシスタスピリッツ HINATA 〜

子供の頃にコートでキラキラ輝くチアのパフォーマンスに心を奪われた。憧れに向かって真っ直ぐに歩みを続けて、彼女はその舞台に辿り着く。レバンガ北海道、パシスタスピリッツのHINATAさん。この夏にはバスケットボール日本代表オフィシャルチアリーダーズ AKATSUKI VENUS®として日本代表のコートでもパフォーマンスをした。そんなHINATAさんに、チアの魅力と想いについて伺っていく。(取材日:9月6日 インタビュー:宮本將廣 写真:三浦雄司)

コートでパフォーマンスをするチアに心を奪われた

宮本 まずはどういうきっかけでチアを始められたのか教えてもらえますか。
HINATA 私の兄がバスケットボールをしていて、家族でレラカムイ北海道の試合を観に行った際に、パフォーマンスをしていたチアのお姉さんたちに心を奪われました。それでレラカムイ北海道のチアスクールでチアを始めて、レバンガ北海道のパシスタフェアリーズ(スクール)に入って……という感じですね。
宮本 僕は選手の取材をよくさせてもらうのですが、親がバスケをやっていたからとか、親に勧められてなどの理由がよくあるパターンです。HINATAさんは自分から「チアをやりたい!」というスタートなんですね。
HINATA そうですね。ただ母の後押しも大きかったです。私が心を奪われた姿を見て、母が「チアをやってみたら?」と言ってくれました。レバンガ北海道のパシスタフェアリーズに入って、試合のコートでお姉さんたちが踊っている姿を間近で見たときに、今度は「ここに入りたい! パシスタスピリッツ(トップチーム)で踊りたい!」と思ったんです。どんどんチアに心を奪われていきましたね。
宮本 すごいですね。一気にのめり込んでいったというか。
HINATA そうですね。本当にコートでパフォーマンスをしていたお姉さんたちがキラキラしていて、私の憧れでした。

写真 = 三浦雄司

チアを中心に過ごしてきた学生時代

宮本 パシスタスピリッツ(トップチーム)に入ったのはいつからなんですか?
HINATA 2019-20シーズンからです。
宮本 ずっと憧れていた場所に辿り着いた瞬間は、間違いなく特別な気持ちだったと思います。
HINATA そうですね。ずっと夢だったパシスタスピリッツに入れたときは、本当に嬉しかったです。ただ、当時は必死に食らいついていくことしかできなかったですね。
宮本 先輩たちについていくために何か意識したことなどはあったんですか?
HINATA 当時のパシスタスピリッツには、ずっと憧れていた先輩がいました。恐れ多くて話しかけることもできなかったんですけど、こんなに間近で見られることがあるんだと思って、ずっと見ていました(笑)。でも、コートで踊るためにはやっぱりコミュニケーションがないとうまくいきません。そこはしっかりとみんなで話し合って、共通意識を持ってパフォーマンスをしていましたね。

写真 = 三浦雄司

宮本 チアに魅了されて、そこからパシスタフェアリーズに入って、今はパシスタスピリッツでパフォーマンスをしている。これを聞くだけでも、チアと共に人生を歩んできたと想像ができます。学校に通いながら、チアの練習にも通っていたわけですよね? 学校とのバランスはどんな感じだったんですか?
HINATA 振り返ると、本当にチア中心の生活でした。勉強は普通にやっていましたけど、たとえば学校祭などがあってもチアの練習がお休みになるわけではないので、そっちを優先したこともありました。
宮本 えー!! 僕は無理ですね(笑)。
一同 ハハハハハ!
HINATA 思い返すと周りに左右されずに、チアを中心にやってきたのかも……しれないです(笑)。
宮本 特に自覚はなかったんですね(笑)。
一同 ハハハハハ!
宮本 今回、お話を聞かせていただきたいと思った理由も、「北海道にすごい子がいるよ」と聞いたので、クラブにオファーさせてもらったんです。お話を聞いていても、チアを始めた頃から今までずっとチアへの愛や情熱は変わっていないんだろうなと思いました。
HINATA そうですね。チアへの想いは始めた頃から今もずっと変わらないです。それこそバスケットボール日本代表オフィシャルチアリーダーズ AKATSUKI VENUS®(以下 AKATSUKI VENUS®)の活動を始めてから、チアへの想いはより強くなりました。学生のときはパシスタスピリッツに憧れて、あの舞台に立ちたい。そのためにチアを頑張っていましたけど、AKATSUKI VENUS®を経験して、「こんなに素晴らしい場所があるのか」と思いました。そこで得た経験をパシスタスピリッツにも伝えていきたいと考えるようになりましたね。

写真 = 三浦雄司

AKATSUKI VENUS®への合流はワクワクが止まらなかった

宮本 AKATSUKI VENUS®にはどのように加入されたんですか?
HINATA AKATSUKI VENUS®は活動がスタートした頃から見ていました。「すごいな。いつかこうなりたいな」と。それこそパシスタスピリッツに憧れを持っていたときと同じような気持ちで見ていましたね。AKATSUKI VENUS®はオーディションに受かると加入できるのですが、いつかは挑戦したいと思っていました。ただ、コロナ禍でオーディションがなくなってしまって、再開したのが今回のオーディションだったんです。迷わずにエントリーをさせてもらって、合格できたという流れです。
宮本 あの場所は、B.LEAGUEのチアのトップの皆さんが集まるわけじゃないですか。そういうときはワクワクするタイプなのか、それともちょっとビビって動けないタイプなのか。その辺はどうなんですか?
HINATA 私はワクワクするタイプですね。合格のご連絡をいただいたときは、本当に嬉しくて「早く参加したい!」という気持ちでした。そもそも受かる受からない以上に、そういったオーディションに参加できて、素晴らしいチアの皆さんの中に自分がいることに感動していました(笑)。「今の自分はどれぐらいの実力なんだろう」とか、「トップの皆さんはどんなパフォーマンスをするんだろう」って。やっぱり北海道にいると、そういう方々に会える機会が少ないので、目の前でパフォーマンスを見れることが本当に楽しみでした。
宮本 じゃあ、緊張とかは全くなく?
HINATA いえ、同時にものすごく緊張もしました(笑)。
宮本 ハハハ。おそらく個人的にもパシスタスピリッツとしても、それぞれのチームのパフォーマンスをチェックしたり、参考にしたりしますよね? 「ここが素晴らしいな」とか、「このチームはこういうコンセプトだな」とか。
HINATA そうですね。
宮本 色々なチームやメンバーを見る中で、AKATSUKI VENUS®の中に、「この人に会ってみたい!」と感じていた方などはいたんですか?
HINATA 横浜ビー・コルセアーズに所属されているAyakaさんは、長くAKATSUKI VENUS®でも活躍されています。お会いしたときは、「本当にいる!」って思いました!
宮本 それは僕が桜井良太GM(ダブドリVol.19に登場)にお会いしたときと同じ感情ですね!
一同 ハハハハハ!
HINATA 本当に感動しました! 控室にいるときはすごく優しい方なんです。でも、パフォーマンスになるともうオーラがすごくて。自分の空間を大きく使って踊られている姿を見て、本当に衝撃を受けました。
宮本 そういうトップレベルの人たちの中に入ると、自然と自分もそうしなきゃいけないという意識が芽生えますよね。
HINATA 本当にそうですね。AKATSUKI VENUS®の皆さんは、自己管理の意識がものすごく高くて、自分の身体を知り尽くしていました。自分がこう動いたらこういう風に見えるなどの客観的視点も持っていて、自分に合わせたストレッチなどを取り入れていました。実際にその辺りのことを教えていただいて、私もすぐに実践しました。
宮本 これまでのキャリアでそこまでは考えていなかったんですか?
HINATA そうですね。正直そこまでは考えていなくて、どうやったらいいパフォーマンスができるかと考えながら練習ばかりしていました。それこそAKATSUKI VENUS®に混ざると単純に筋力が足りなくて、身体がついていかないことがあったんです。北海道に帰ってきてからはジムに通い始めて、筋トレを始めました。

写真 = 三浦雄司

AKATSUKI VENUS®での学びは、パシスタスピリッツにも取り入れたい

宮本 今回のAKATSUKI VENUS®のパフォーマンスは和をイメージされていて、アクロバティックなパフォーマンスもありましたよね。僕の勝手な印象ですけど、パシスタスピリッツとはまた違う方向性を感じました。
HINATA そうですね。パシスタスピリッツとは少し違いました。
宮本 筋力の話もありましたけど、そのパフォーマンスを習得していく難しさと合わせて、自分の経験値としてプラスになっていく部分があったと思います。
HINATA 本当にたくさんありました! パフォーマンスもそうですし、それこそ歩き方、姿勢、手の位置など本当に細かいところから見ていただいて、「ここはこうだよ」と指導をいただきました。個人としてはこれ以上ない学びでしたね。ただ、それらのすべてをパシスタスリピッツに取り入れるべきかと言われると、おっしゃっていただいたようにコンセプトの違いもあるので、そういうものではないと考えています。もちろん取り入れるべきところはパシスタスピリッツでもやりたいなと思っているので、立ち姿勢などの基本的なことはレッスンのときに少しずつみんなに伝えています。
宮本 他にAKATSUKI VENUS®で学んだことも含めて、これは絶対にレバンガ北海道にもポジティブな影響を与えるものなどはありましたか?
HINATA 声出しですね。AKATSUKI VENUS®に入って、最初にすごいと思ったのが声出しでした。AKATSUKI VENUS®の皆さんが自分のことを自分で盛り上げて、それを周りに伝えていく姿勢。踊りの中でもそうですし、試合中もそうです。これまでのパシスタスピリッツにはあまりなかったので、単純にすごいと思いました。チアが声を出すことによって、ブースターの皆さんも一緒に応援しようとなってついてきてくれる。それを体感することができました。今シーズンから私が入れているタイムアウトの振りにも、声出しを入れさせていただきました。
宮本 振りは自分たちで作ってるんですか?
HINATA そうです。パシスタスピリッツはひとり一曲ずつ振りを作っています。自分たちでタイムアウトを作り上げているので、メンバーそれぞれの個性が見えて面白いと思います。

写真 = 三浦雄司

今度は憧れてもらえる存在になれるように

宮本 HINATAさんが考えるチアのあるべき姿は何かありますか?
HINATA 会場に立つとブースターの皆さんの一歩先に立って、試合を盛り上げて、選手を鼓舞していく。これは絶対に人じゃないとできないものだと考えています。音楽や演出で盛り上げてくれる方もいる中で、誰かが先陣を切っていく。これは絶対的なチアの存在意義だと思いますし、どのスポーツにも必要な存在だと考えています。
宮本 そうですよね。何か大事にしていることだったり、信念などはありますか?
HINATA 私たちは試合後に、ご来場いただいたブースターさんのお見送りをさせていただいています。試合の勝ち負けは関係なく、笑顔で「また来てください。ありがとうございました」という感謝の気持ちを伝えることはすごく大事にしています。
宮本 気づけばあっという間に今シーズンが始まります。(11月2日、3日が札幌ホーム開幕戦 チケットはこちらから)ホームで30試合のパフォーマンスがあって、コート外でも活動があると思います。正直にいうと主役は選手たちであり、その試合を彩っていくものがチアだと思います。ある意味では目立ちすぎず、でも重要な役割を担うというか。ただこういう機会なので、今シーズンはパシスタスピリッツのここに注目してほしいとか、こんなシーズンにしていきたいなどの考えがあれば教えてもらえますか?
HINATA 今シーズンはパシスタスピリッツのメンバーがガラッと変わりました。新しいメンバーが増えたので彼女たちの個性、パフォーマンスに注目してほしいと思っています。あとは先ほどと重なりますが、私たちが先頭に立って選手たちを鼓舞していくので、ブースターの皆さんも一緒に、会場一体となって応援してもらえたら嬉しいです。

写真 = 三浦雄司

宮本 今日は貴重なお時間をありがとうございました。ちょっと気になったんですけど、お話を聞いているだけでも、色んなチャレンジをしてここまでキャリアを歩んできたんだと感じました。同時に続けていくことはすごく大変なことだと思います。シンプルに「もう辞めたいな」って思ったりしたことはなかったんですか? 
HINATA うーん……。ないですね(笑)。できないことをできるようにしたいという気持ちが強かったので、そのときに吸収できることをしっかり吸収しようと思っていたらここまで来たというか……。
宮本 学生時代もチア中心の生活をしていたということですけど、生活スタイルが周りと変わる時期があったと思います。そのときに、「チアをやめたら遊びにいけるのにな……」とか、「バイトができるのにな……」ってことも考えたりはしなかったんですか?
HINATA 気持ち的にはありました。チアを辞めたら、みんなと一緒に楽しく遊べるんだろうな……とか。でも、最終的にやめようと思ったことはありませんね。チアがない生活は本当に想像できないです(笑)。これまでもそうですけど、これからもきっとチアが大好きだと思います!
宮本 すごいですね。僕も道産子なので伺いたいのですが、将来的にこうなりたいとか、パシスタスピリッツをこうしていきたい、北海道のチアをこうしていきたいなどのビジョンはあったりしますか?
HINATA 私はパシスタフェアリーズの指導もさせてもらっています。その中で、子供たちにはものすごく可能性を感じています。だからこそ、私が子供にときにチアのお姉さんたちに憧れたように、今度は私たちが憧れてもらえるような存在になって、将来はパシスタスピリッツに入りたいとかAKATSUKI VENUS®になりたいと思ってもらえる子供たちが少しでも増えてくれたら嬉しいなと思っています。

札幌市街地にて 写真 = 三浦雄司

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