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佐賀バルーナーズ〜B1で戦えることを証明するために〜 vol.4 鍵を握る95世代の躍進 後編

 昨シーズンB2優勝、B1昇格を果たし、B1初シーズンを迎えた佐賀バルーナーズ。ここまでの戦いは多くのバスケットファンに驚きを与えた。しかし、彼らの挑戦はまだ4分の1が終わったに過ぎない。佐賀バルナーズがさらなるインパクトを残し、B1で戦えることを証明するためには何が必要か。今回はダブドリ宮本が「鍵を握る存在」だと感じている95世代の3人にこれまでの振り返りとここからの戦いのポイントを聞いていく。(インタビュー:宮本將廣/写真:本永創太)

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「こいつは気持ちがこもっているな」っていう感じが僕には欠けている

宮本 突っ込んだ話になるけど、葛原選手はさっきほど「バスケット感覚が……(詳細は前編にて)」って話がありましたけど、そこの感覚のズレをもうちょっと言語化できたりしますか?
葛原 若かった時は正直何も考えずにバスケットをしていて、それがいい感じにハマっていました。ただ、年齢を重ねていく中でやっぱりチームの状況も考えていかないといけない中で、考えすぎちゃったというか……。なんていうんですかね……。振り返ると自分は良かったなって思うのが、北海道の2年目に佐古さんと一緒にやっていた時なんですけど、どちらかというと考えるよりもハートだよって感じだったんですよ。
宮本 はいはいはい。
葛原 佐古さんはいろいろ考えつつも、直感でバスケットをすることも大切にしてくれる方なので、自分もバランスが取れていたというか。今の自分を客観的に見ると、直感っていう部分が大切だなと感じていて、そのためにはもっとエナジーが必要かなって。まずは意識的に声を出してチームを鼓舞するとか、何度もハドルを組んで共通認識を持つとか。そういう誰が見ても、「こいつは気持ちがこもっているな」っていう感じが僕には欠けているのかなって思ったので、そこは意識していきたいと思っています。

シュートを狙う葛原選手。後半戦の巻き返しに期待(撮影:本永創太)

迷わずにプレーできることは宮永バスケの凄さ

宮本 宮永さんとやることで、それぞれが選手として活かされている部分がある気がしています。話を聞いていても、佐賀は試合に出ることができている理由や出ることができない理由をしっかりと選手も理解できている。さっきやりやすさっていう話が出ましたけど、宮永バスケの中で感じるやりやすさだったり、コーチ陣に活かしてもらっているなっていうところがあれば、ぜひ伺いたいなと思ったんですが。
井上 宮永さんは選手経験があるので、選手を迷わせないっていう感覚はすごく持たれていると思います。試合中に、「あれ?」って思うことがないのですごくやりやすいというか、心地いいというか。試合前に整理したことをやるだけっていう感じで試合に臨めています。戦術も言語化するとすごくシンプルなことが多いし、オフェンスに関しては、「思いっきりよく打てよ」しか言わない。宮永さんにも僕にも責任があるけど、その分責任を果たせば自由にプレーできるので、すごくやりやすいです。漢気が必要な戦術も多いですしね(笑)。
宮本 出た! 戦術「漢気」!
一同 ハハハハハ。
井上 「ここのクローズアウトは頑張れるよね?」とか、「ここはみんなが手を上げて、パスコースを見えないようにしよう」とか。作戦版の上で見ると、穴がありそうに見える戦術も、宮永さんが言ったことをコートで全力でやると、穴がなくなるんですよね。相手はやりづらいだろうし、僕らはプレーしやすい戦術が多いので、迷わずにプレーできることは宮永バスケの凄さというか、僕はすごくやりやすいです。
宮本 ありがとうございます。すごく言語化されていて、納得できる答えでした。これは後になるとどんどん言うことが減っていく気がするけど、どっちからいきます?
葛原 いいよ、先に。
井上 かっこいい!
岸田 じゃあ、僕からいかせてもらいます。(井上)諒汰がほとんど言っちゃったんですけど、本当にはっきりしているっていうのが1番ですね。「ディフェンスができないと試合には出れないよ」っていつも言っていて、まずはディフェンスで前からプレッシャーをかける。オフェンスに関しては打てるところはしっかりとシュートを打ち切る。本当にやるべきことがはっきりしているからこそ、最低限自分がやらなくてはいけないことが明確にわかるので、プレーしていてもすごく納得感があります。僕は佐賀に来てから2番ポジションで出ることが多いんですけど、佐賀に来る前は1番だったので、新しい挑戦だったんですよ。その中で自分の役割や長所を見つけてくれて、自分のやるべきことを理解させてもらえたので、佐賀でプレーできて本当によかったなって思っています。
宮本 ありがとうございます。葛原選手はどうですか?
岸田 かぶるのはだめだよ?
葛原 お前も最初に保険かけてたじゃん! 
一同 ハハハハハ。
葛原 えーと、そうですね。物事がはっきりはしていますね。
岸田・井上 それ言った!
葛原 いや、ここからだから(笑)。
一同 ハハハハハ。
葛原 いろんなチームを渡り歩いてきて、「あれ、さっき言ってたことと違くない?」ってことがぶっちゃけあるんですよね(笑)
一同 ハハハハハ。
宮本 コーチとしては、状況が違うとか。いろいろあるから、選手も後々振り返ると、「あ、そういうことか!」ってこともあるしね。
葛原 本当にそうなんです。でも、宮永さんはそもそもそう思うことがまず少ない。
井上 少ない!?
葛原 いいから、ちょっと待っとけ(笑)。やっぱり選手も試合をしていて思うことってあるんですよね。ただ宮永さんはやるって決めたことは本当にやり通す人なので、選手からすると、それをやれば試合に出れるっていうことが明確なのはすごくやりやすいです。僕なんかがわかりやすい例ですけど、求められていることができていないから、試合には出れない。でも、「ここだよ!」ってちゃんと提示してくれるし、周りと比べて自分ができているかできないっていうところが僕らの感覚とズレがなくプレータイムに反映されるので、本当にそれをやるだけって感じです。
岸田 結局、あんまり変わらないじゃん(笑)。
一同 ハハハハハ。

佐賀のディフェンストーンを作る岸田選手(撮影:本永創太)

特定の選手以外も怖い存在になっていく必要がある

宮本 残り46試合の中で、95年世代の3人がステップアップしていけるかどうか。繰り返しになりますが、そこが僕は今シーズンにおける佐賀のキーポイントになると感じています。3人はライバル関係でもありますが、それぞれの持ち味を引き出し合えるような状況を作ることができれば、佐賀はチームとして次のステップにたどり着ける。そういう目線で、今後自分が佐賀の中で何を成すべきなのかをそれぞれに聞いて終わりたいと思います。
葛原 佐賀はセカンドチャンスを与えている割合がリーグの中で高いんですよね。僕たちがもっとリバウンドに絡むことで相手の攻撃チャンスは減らせると思うし、それができれば、上位チームとも拮抗した試合に持っていけると思っています。ルーズボールもそうですけど、僕の持ち味はなにかっていうところにもう一度立ち返って、泥臭いところを率先してやっていきたいと考えています。あとはリーグの中で日本人選手の得点もかなり少ないので、そこはもっといい意味で我を出して、積極的に得点を取りに行ってもいいのかなと感じています。それぞれが1試合で2、3点増やせれば、チームとしてはかなり変わってくるので、そこは積極的に狙っていきたいと思っています。
宮本 僕も積極性を失わずに、チームのバスケットにコミットすることは今の佐賀にとってすごく重要なことだと思います。岸田選手はどうですか?
岸田 B1でプレーしているポイントガードは日本人エースという立ち位置の選手がすごく多くて、千葉の富樫選手であったり、島根の安藤選手なんかがそうですよね。平気で20点ぐらい取ってくるような選手にマッチアップするので、そこに対するディフェンスはもうちょっと考えていきたいと思っています。実際に14試合でも、そこを抑えることができずに、点差が離れたシーンもありました。僕がそこを抑えると相手チームの流れも崩れるし、自分たちのオフェンスもいい流れに繋げていけると思います。エースポジションになる日本人ガードへのマッチアップの仕方は、このバイウィークでいろいろ考えながら取り組みたいと思っています。
宮本 ありがとうございます。じゃあ、締めを井上選手お願いします。
井上 佐賀は得点源が完全に偏っているので、攻めどころがわかりやすいと思います。B2の時はレイナルド(ガルシア)とか、西川さん(西川貴之/大阪エヴェッサ)にボールを集めれば、実際なんとかしてくれました。B1だとボールを持った選手が何かを仕掛けて、ボールを持っていない選手がうまく繋ぐことで、チームの流れが生まれているんだなって感じています。僕らが強豪チーム相手に感じたように、特定の選手以外も怖い存在になっていく必要がある。いいボールムーブの中で、この3人が最後にディフェンスを壊していく。そういった積極性だったり、チームオフェンスの中でアクセントになる動きができれば、相手も守りにくくなるのは間違いないので、僕らがそういう存在になっていけるように頑張りたいなって思っています。個人的には、僕がいることでチームが何をやろうとしているのを見ている人も理解できたり、ベンチから出た時は、宮永さんがどんな修正を入れたのかがわかるようなプレーをしていきたい。今、このチームは何をすべきかってことを全力で体現したいなと思っています。
宮本 ありがとうございました。3人の考えていることが聞けて、バイウィーク明けがより楽しみになりました。引き続き、よろしくお願いいたします!
葛原・岸田・井上 ありがとうございます!

ミスターバルーナーズ井上選手の今後にも期待(撮影:本永創太)

佐賀バルーナーズのチケット概要はこちら

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