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エンドラインからの景色 vol.66 B1 第17節 北海道 vs 京都 GAME1 両ヘッドコーチ、島谷怜選手、水野幹太選手会見

エンドラインからは選手たちの熱く激しいプレーや、そこからしか見えない表情がある。ダブドリ編集部が撮影した中から厳選し、写真とともにゲームを振り返っていく。vol.66はB1第17節の北海道vs京都 GAME1の試合を写真で振り返っていく。最後に会見の様子を掲載する。(写真・文 = 宮本將廣)

京都ハンナリーズ ロイ・ラナヘッドコーチ会見

宮本 岡田選手が体調不良で出場できなかったことで、怪我から復帰したばかりの水野選手をスタメンにしました。まず、何を期待して彼をスタメンでコートに送り出したのでしょうか?
ラナ 彼がコート上で見せてくれたプレーを、私たちはずっと求めていました。最初に伝えたいことは、水野選手は長いリハビリを経てコートに戻ってきた。彼自身とそれをサポートした自分たちのパフォーマンスチームにも感謝を伝えたいですし、焦らずに我慢をして素晴らしい状態で戻ってきてくれたことを非常に嬉しく思っています。今日も20分ほどプレーをしました。彼はフィジカル的にもメンタル的にもタフにプレーすることができます。自分たちのチームにとっては欠かせないピースなので、本当に素晴らしいプレーをしてくれたと思います。
宮本 ちょっと言い方が失礼かもしれませんが、彼がいなかったことによって、今シーズンはオフェンシブなチームに見えるというか、そういう印象を持っていました。彼が戻ってきたことによって、ガードへのプレッシャーレベルがワンランク上がりましたよね。彼の復帰をきっかけに、今日のような強度をスタンダードにしたいというイメージでしょうか?
ラナ おっしゃるとおり、水野選手はディフェンスで貢献できる選手です。ボールマンプレッシャーも得意なので強度を上げてくれます。オフェンスでは、ペイントアタックも非常に得意な選手で、ピックアンドロールも成長しています。あとは、プレーの理解度も成長していて、予測しながらプレーできているところも増えてきました。おっしゃってくれたように、チームとしてはオフェンスに武器のある選手が揃っています。そういうチームの中で水野選手の能力は必ずフィットするはずです。あとはチームに自由を与えながら、それぞれの才能をコートで発揮できるようにオフェンスは構築しています。
宮本 オフェンスの部分ですが、岡田選手の欠場でファーストハンドラーがいない。北海道さんのウイングはスモールなラインナップになるときがあります。ビッグのところもテリー・アレン選手のところでスイッチすれば、チャールズ・ジャクソン選手がアドバンテージを取れます。そういったミスマッチシチュエーション、バックダウンが何度かありました。それはコーチからの指示ですか? それとも自由を与えているとのことでしたが、選手たちの判断ですか?
ラナ それは自然に選手たちが認識をして出てきたものです。ただ、試合前にインサイドでもペリメーターでも、スイッチが起こったときにボールを止めたくはないと伝えていました。選手たちが素晴らしい状況判断をして、いいオフェンスを作れたと思います。

京都ハンナリーズ 水野幹太選手会見

宮本 まずは復帰おめでとうございます。
水野 ありがとうございます。
宮本 こんなに早くスタメンでプレーするとは……。
水野 そうですね(笑)。
宮本 予想してなかったですよね(笑)。
水野 (笑)。
宮本 少し緊張しているのかなとも思ったんですけど、スタメンに関してはどのように伝えられたんですか?
水野 金曜日の練習のときですね。早めに伝えてもらってはいました。
宮本 今日の試合を振り返ると、かなりディフェンスの強度を意識していたんだろうなと感じたし、北海道のアウトサイドは京都に比べるとスモールなラインナップになります。水野選手のところもフィジカル的にアドバンテージを持っている中で、ゲームに入るのに1番重視したことはなんだったんですか?
水野 ディフェンスはエナジーを持って、相手が嫌がるディフェンスをすることがモットーというか。今日の試合に関しては、(岡田)侑大みたいに見せるプレーはできないので、全員をしっかりと絡めながら、アタックできるところはアタックする。そういったシンプルな考えでバスケットに挑みました。
宮本 ピックを使っても……ミドルピックですよね。左のアタックでペイントを取れたシーンが何度かありました。そのあたりは京都の序盤のオフェンスの流れを作る中で大きかったと思います。その辺は久々のスタメンで落ち着いてプレーできていたっていうと表現が変ですけど……。
水野 そうですね。練習でピックをかなりやっているので、練習通りというか。それが試合に出せたのでよかったです(笑)。
宮本 岡田選手不在で水野選手がスタメンとなると、後ろに来るハンドラーは川嶋選手と渋田選手になります。川嶋選手はね、その……曲者というか(笑)。
水野 はい(笑)。
宮本 彼らが控えてくれているというのも、思い切ってやれた要因だったりしましたか?
水野 そうですね。全員のことを信頼していますし、今は本当に自分がやれることをやろう。自分がダメでも他の人がやってくれるっていう考えでプレーをしているので、無理せずっていう表現が正しいかわかりませんが、そういう気持ちでいます。自分はドライブが得意なので、思い切っていく。あんまり考えすぎずにプレーしていました。
宮本 ここからはどういうステップを踏んでいきたいですか? 自分自身の成長に関してですね。
水野 スリーポイントが入れば、もっと活躍できると思いますし、まだ復帰して4試合で今日はスリーポイントを初めて打ったので、ここからは決めれるシュートをしっかりと決めて、自分自身が流れに乗っていければなと思います。

レバンガ北海道 小野寺龍太郎ヘッドコーチ

宮本 岡田選手がいないことは想定外というか。まあ、そういうことは起こりうるし、実際に起こった中で、彼がいないことがマイナスに見えつつ、逆に戦いにくい要素が増えたと感じています。スポットだったはずの川嶋選手がハンドラーのプレーが増える。彼は独特のリズムを持っています。それでペイントを取られていった。彼とジャクソン選手のピックアンドロールでペイントにガンガン入られていく。他も含めてそういうことがいろいろあって、2クォーターからマッチアップを変えましたよね。水野選手のフィジカルが高いので、松下選手をマッチアップさせたり。そうするとラナHCがまたラインナップを変えてきて、結局適正なマッチアップが作れなかった印象です。そこはどのようにアジャストしようとしたのか。もうちょっとアジャストさせられなかったのか。もしくは、岡田選手がいないことも想定できた。想定していて対応できなかったのか。その辺が気になるなと。
小野寺 岡田選手がいないということは正直想定していませんでした。なので、岡田選手を中心に、ラインナップとしては前田選手か古川選手がそこに絡んでくると想定していました。その中で、スタメンで素晴らしい活躍をした水野選手に、僕たちはやられすぎたと感じています。もう少し自分たちのマッチアップの中で……特にスタートで出たメンバーの中で寺園が誰にマッチアップするのかっていうことを、僕たちもチームとして考えないといけないですね。今日に関しては、最初は寺園を水野選手に、川嶋選手、前田選手には関野と星野をマッチアップさせました。こちらの想定以上に水野選手が素晴らしかったことは僕たちの反省であり、称賛するしかないところです。ペイントアタックも素晴らしくて、そこからの失点がかなりあったと認識しています。水野選手個人も10得点。そこは僕らの計算外でした。ただ、僕らももっとフィジカルに守れたところがたくさんあったと思います。たとえば、前半のサイドラインからのインバウンズで、簡単に水野選手にポストアップをされて、イージーなプレーでスコアをされました。あれは常に狙われていますし、それをわかっていながらプレーしてます。なので、マッチアップをできる限り適正にしていく。寺園はシューターの選手につけるとか、ポストアップがあまり得意ではない選手につけるとか。ただ、今日に関してはどの選手も脅威性がある中で、自分たちの優先順位をつけながらマッチアップを決めていくわけですが、やはり水野選手のところは僕らがマッチアップをしなくてはいけないのに、そこがうまくできなかった。そこからのズレはゲームに大きな影響を与えたと感じています。僕自身もゲームが進む中で、マッチアップが定まったという感覚が見つけられない時間が実際にありました。迷った結果、この選手にするしかない。この選手にしてほしいのではなく、するしかないというのが今日は生まれてしまいました。岡田選手が出る想定では、特定の選手をマッチアップさせることは決めていたので、岡田選手がいなかったことでルーズになってしまったという反省はあります。
宮本 ありがとうございます。ちょっと表現が難しいんですが、今回のケースも選手やチームにとっては学びだと思いますし、サイズに差があってもフィジカルレベルで負けなければ、マッチアップを替える必要性はないので。
小野寺 そうですね。
宮本 僕がこのゲームを決定づけたのは、3クォーターに前田選手のピンダウンだと思っています。古川選手にやられてはいけないと準備していたピンダウンで、前田選手に2回やられてしまった。あそこは試合の大きな分かれ目でした。ヘッドコーチから見ると、マッチアップのトラブルという印象ですか? 僕には選手たちが考えすぎて完全に遅れたというように見えたんですけど。
小野寺 そうですね。あのときは星野がマッチアップしていたと思います。僕らのベンチの前で簡単なピンダウンで完全にセパレートが起きた。僕らのスカウティングでは、前田選手と古川選手がコーナーにいる場合は必ずスクリーンゲームが起きる。彼らの役割はハンドラーではなく、オフボールのスクリーンなので、そこはおっしゃる通り、準備の段階で足りなかったのだと思います。プレーセットがどうこうではなくて、個々の選手がどのようなエレメント。オフェンスの要素でプレーするのか。川嶋選手だったらピックアンドロールだし、古川選手と前田選手だったらスクリーンゲーム。そういうことをもう少し理解してプレーすれば、プレーセットが何かをわかっていなくてもいい準備ができたはずですし、そういう意味では今おっしゃられたように、自分たちの準備の段階で動きが遅くなっていたというのはあると思います。

レバンガ北海道島谷怜選手会見

宮本 岡田選手がいなかったことをヘッドコーチにも聞いたんですけど、それでもチームとしては守るべき優先順位が決められていたと思います。結構それがグジャグジャになってしまった。マッチアップの問題もあって崩されてしまった。島谷選手がベンチから出てきたときに、どのようにアジャストしようとしたのか。もしくは崩されたときに、どう修正をはかろうとしたのかが気になっているんですが。
島谷 ピックの部分で崩されたというよりは、ピンダウンやハンドオフ。古川選手だったり、前田選手がボールをもらう前の動きで剥がされていたような印象がすごくあったので、そこからのずれ。彼らがボールを持ったときには、自由にプレーできる状態が続いていた感覚が僕の中ではありました。相手がどういうオフェンスをするかは僕たちもゲーム前からわかっていましたし、成功したプレーを何回もやってきていたので。僕たちが剥がされずについていくとか、ピンダウンをしっかりと守るとか、あとはインテンシティーの部分ですよね。もうひとつ強くいけていれば、相手も嫌がって違うプレーを選択させられたと思いますし、そこを少し自由にやらせてしまったように思います。相手がドリブルをついている状態でセットアップしたときは、そこまでやられたイメージがないので、どちらかといえばオフボールの部分でやられたなという感じですね。
宮本 印象論なんで違うかもしれないですけど、川嶋選手とか古川選手。ピンダウンとかゲットアクションからのピックアンドロールで崩されていた印象が僕にもあって。川嶋選手はそこから思っていた以上にリピックを繰り返したりとか。結果的にペイントに入られて、ジャクソン選手にいいポジションでリバウンドに絡まれる。ジャクソン選手をサンドイッチできずに、ボールがルーズになってまた相手ボールになるっていうシチュエーションが要所でありましたよね。あそこを修正するというか。どこのポジションで止めるべきなのか。明日に向けて修正するために考えられる方法論はどんなものになるんですかね?
島谷 そうですね。リピックのプレッシャーでブレイクできれば1番ですけど、その後のスイッチの部分。あとは周りも今日はスポットの部分を警戒していたと思うので、もう少しスタントだったり、タグだったりで見せることが大事なのかなと思います。今日はピックアンドロールの2人を自由にさせすぎたというか……。僕はもう少しそこでの駆け引きが必要になってくるのかなってって感じています。

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