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『ダブドリ Vol.19』インタビュー02 桜井良太(レバンガ北海道)

2024年2月9日刊行の『ダブドリ Vol.19』(株式会社ダブドリ)より、桜井良太選手のインタビュー冒頭を無料公開します。

 バスケットボールをやっていなければ、出会うことがなかった人がいる。この2人もバスケットボールによってめぐりあい、親友と呼べる関係になった。ここまで頑張れたのはきっと、この出会いがあったから。今季限りで引退を表明したレバンガ北海道の桜井良太を、同期である横浜エクセレンスの石田剛規がインタビューする。自然と引き込まれる2人の世界観をご堪能あれ。(取材日:12月19日)

[ Interview by 石田剛規/Photo by 本永創太 ]

フレッシュネスバーガーは衝撃的だったな。

桜井 吉祥寺の沖縄料理は覚えてる?
石田 そういうのすごく覚えてるよね。
桜井 いや、さっき宮本さんと話してたんだよ。
宮本 僕、成蹊だから、同じころに吉祥寺で過ごしていたんで。
石田 あ、そっか! あれでしょ、旅人食堂でしょ?
桜井 そうだ! あそこはよく行ったよね。
石田 (アルバルク時代)練習後によく行ったね。旅人食堂か、A・Bカフェで白玉抹茶パフェ食べたな。
桜井 A・Bカフェって地下のところ?
石田 そう。そこから近くのゲーセンに行って、桜井がUFOキャッチャーをやり出して、なんか色んな景品を取ってたじゃん。
桜井 そうだっけ? フレッシュネスバーガーがあったよね?
石田 あったね。
宮本 それこそ旅人食堂の通りのところですよね。
桜井 そうそう、フレッシュネスバーガーは衝撃的だったな。東京に来るまで見たことなかったから。
石田 三重にはなかった?
桜井 三重にはなかったね。岡崎にもなかった。
一同 ハハハハハ。
石田 茨城にあったかな? 桜井って(トヨタ自動車)アルバルク(現アルバルク東京)の入団はいつ決まってた?
桜井 わかんない。
石田 わかんないことないでしょ! どういうふうに決まったの?
桜井 結構早かったと思うよ。愛知学泉大学の監督だった小野秀二さん(バンビシャス奈良)との繋がりがあったから、夏とかかな?
石田 4年の夏?
桜井 だったような気がする。石田は?
石田 3年の夏の終わりぐらい。
桜井 はやっ!!
一同 ハハハハハ。
桜井 え、3年の夏の終わりなの?
石田 確かね! 大学院に行くか、就活をするかを決めないといけなかったから、早めにオファーをもらったはず。「どういう契約がいいですか?」みたいな話があったじゃん?
桜井 あったね。「社員がいいか、業務委託のどっちがいいですか?」みたいなやつでしょ? その前に慶應の大学院に行こうとしてたの?
石田 うん。考えてた。プロになれると思ってなかったからね。だから、当時はびっくりしたよ。

石田がいなかったら、あの時期はしんどかった。

宮本 お互いを知ったのはいつだったんですか?
石田 俺は慶應に入る前に、志村(志村雄彦/仙台89ERS代表取締役社長)とか辻内(伸也)が出ていたウインターカップを見に行って、四日市工業の桜井良太が能代工業相手に大爆発したときだな。
桜井 あー、懐かしいな。そんなこともありましたね(笑)。(その試合で51得点を記録する)
石田 スティールしまくって、ダンクしまくってる選手がいて、なんだこいつはってなったね。
桜井 俺は大学の時かな。
石田 なんかの選抜で初めて会ったんだよね? 同じチームではないけど。
桜井 地域選抜かな。
石田 直接は知らなかったけど、志村か辻内か瀬戸山(京介/京都両洋高校バスケットボール部監督)が、桜井と繋がっていて、ちょっと話したよね? 桜井が言うには、俺がものすごく冷ややかな目で桜井のことを見ていたって。
桜井 なんだこの田舎者みたいな顔してたよね!
一同 ハハハハハ。

桜井 でも、石田とはいろいろあったな。俺は本当に人と喋るのが苦手というか、ストレスだったから。
石田 ハハハハハ。
宮本 アルバルクで同期は2人だけですよね?
桜井 2人です。だからいつも寮で石田と話していて、やっぱり石田は慶應っていうキラキラしたところから来たわけですよ!
一同 ハハハハハ。
桜井 俺は岡崎っていう山奥で、大学4年のときにやっとコンビニができたようなところから出てきてるからね。いつも2人で行動してたけど、「それじゃだめだぞ」って話になって……ね?
石田 そんなことは言ってないよ。
桜井 いや、言った! それで慶應OBの集まりに連れてってくれたじゃん。
石田 あー、そうだね。
桜井 キラッキラしてたよな?
石田 あれはキラッキラしてた!
桜井・石田 ハハハハハ。
桜井 人と喋るのが苦手だって言ってて、それをわかった上で一発目がそこですよ。どう思います?
一同 ハハハハハ。
桜井 しかも、石田は友達がいるから、「久しぶりー」みたいな感じになってて。俺は友達なんているわけないから、端っこで座ってたんだけど、いたたまれなくなって、「石田、ごめん。先に帰るわ」って言ったら、「あ、そうか。ごめん。また明日な」って普通に返してきたんだよ。あれはちょっとダメだったんじゃないかな?
石田 ひどいな!
一同 ハハハハハ。
宮本 なんで、そこに連れて行こうと思ったんですか?
石田 東京に知り合いが全然いないって言っていたから、バスケ部の同期とか大学の仲間を紹介しようかなって思ったんですよ。
桜井 喋るのとか、交流を深めるのがあまり得意じゃないから、最終的には無理することはないなって思ったけどね。でも、いつも一緒でどこ行くにも付き合ってくれた。当時、俺は全然試合に出られていなくて、石田は開幕前のプレシーズンとかはスタートで出てたんですよ。
石田 え? 出てたっけ。全然記憶にないな(笑)。
桜井 出てたよ。そしたら怪我をしちゃったんだよな?
石田 そうだね。やっちゃったーって。
桜井 それでシーズンが始まったら、俺は試合に出られなくて。
石田 出てなかったっけ?
桜井 出てない。それでやさぐれて、酒を飲むようになったんだもん。
石田 ハハハハハ。
桜井 一緒に吉祥寺の旅人食堂とかに行って、飲んだりしたじゃん。今思うと、怪我をした石田の方がきついのに、ずっと愚痴を聞いてくれた。「そんなときもあるよな」って言いながらね。あれは本当に助けられた。石田がいなかったら、あの時期はしんどかったと思う。
石田 いいこと言ってくれるじゃん。桜井のためのインタビューなのに(笑)。

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