![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58412603/rectangle_large_type_2_9656f84e197b4425f57b47ad452ace8a.png?width=1200)
「このチームで成り上がりたい」B2香川・兒玉貴通、新シーズンへの誓い
名将ポール・ヘナレHCの指揮の下、ここ2シーズンで躍進を遂げた香川ファイブアローズだが、今オフにヘナレ氏が島根スサノオマジックへ去り、アシスタントコーチだった石川裕一氏がヘッドコーチに昇格することが発表された。新体制で臨む今シーズンの香川はどうなるのか。キーマンである司令塔の兒玉貴通選手に話を聞いた。
ヘナレ前HCのおかげで、自分の経歴に引け目を感じることなくコート上で自分を出せるようになった
大柴 昨シーズンは平均13.3点、5.1アシストと共にキャリアハイのスタッツを残しました。振り返ってみていかがですか?
兒玉 率直に嬉しかったです。一昨シーズンよりもレベルアップできたと思います。
大柴 ドライブのイメージが強かった兒玉選手ですが、昨シーズンはハイピックからプルアップでスリーポイントを決めるシーンも多かったですね。あれはヘナレ前HCの方針ですか?
兒玉 とにかく早いテンポで攻めることと、スペースが空いたら思い切りよく打つことを指導されていたので、小さい選手がどうやったら打てるのか僕なりに考えた結果、ああいうシュートを狙うようになりました。
大柴 兒玉選手のシュートに関しては青信号が出ていたということでしょうか?ボールを運んでそのまま打ってもいいし、プレーをコールしてもいい。
兒玉 チームとしてハーフコートバスケットよりもトランジションバスケットをメインにすることで、とにかく攻撃回数を増やそうとしていたんです。だから、僕だけではなくてボールを運んできた選手に選択権が与えられていました。
大柴 あ、なるほど!兒玉選手以外も自分で選択して良かったんですね。
兒玉 はい。どうクリエイトするかは、ボールを運んできた選手に任されていました。だから(テレンス)ウッドベリーや髙比良(寛治。今シーズンから長崎ヴェルカに移籍)がハンドラーになることも多かったです。
大柴 ハーフコートではどうでした? ヘナレHCが率いた2シーズンはチームのスリーポイントの数が大幅に増えました。
兒玉 空いたら思い切って打つというのと、もったいないロングツーを打つぐらいならちゃんとスリーポイントラインの外まで出る、ということを徹底しました。あとはみんなでディープスリー(通常のスリーポイントラインよりさらに遠くから打つシュート)を練習しましたね。ニュージーランド代表のHCをされていた時と、基本的な考え方は同じだと思います。
大柴 たしかに。ヘナレ氏が率いていたニュージーランド代表はスリーポイントのアテンプトが多かったのが印象的でした。日本代表もW杯本戦で負けましたよね(日本代表は順位決定戦でニュージーランドと対戦し、111対81で敗戦。その試合でニュージーランドはスリーポイントを33本試投し、18本成功している)。
この2シーズンで個人としても成長されたと思いますが、スリーポイント以外でヘナレHCから教わったことはありますか?
兒玉 すごい経歴の人に指導を受けるチャンスだったので、教わるというよりもどんどんこちらから聞きに行くようにしていました。特に印象に残っているのは、どんな選手もコートに立ったら同じだという考え方ですね。僕なんか全国大会常連のチームにいたわけでもないですが、引け目を感じずに自分を出せるようになれたと思います。
新しいメンバーと共にこれまでと違う香川ファイブアローズのいい面を見せられるように頑張ります
大柴 あれだけ活躍したら他チームからオファーもあったと思います。香川に残った理由を教えていただけますか?
兒玉 ありがたいことに、一昨シーズンが終わったときにチームの方から長期的なプランで僕のことを評価してくれているというお話をいただけました。それと、今シーズンで3シーズン目なのですが、このチームに対する思いも強くなってきたというのもあります。誰も予想はしていないと思いますし、ノーマークだと思うんですけど、このチームでB1昇格できたらそれが一番面白いと思っています。このチームで成り上がりたいです。
大柴 他の選手たちともそういう気持ちを共有できているのでしょうか?
兒玉 92年生まれのメンバーがスタッフを含めて5人いるんですけど、年齢的にも若手から中堅になってきて、みんな結果にギラギラしています。
大柴 兒玉選手と並ぶチームの顔である、ウッドベリー選手はいかがですか?
兒玉 彼が誰よりも勝ちへの執着を持っていますね。いろんな外国籍選手を見てきた中でもトップクラスです。練習の1対1から絶対に負けたくないタイプなんですよ(笑)。そういう部分は僕たちの世代には足りていない部分だと思うので、すごくいい影響を受けています。
大柴 今年からアシスタントコーチだった石川裕一氏がヘッドコーチになりました。石川HCの特徴や、ヘナレ前HCとの違いがあれば教えていただけますか?
兒玉 石川HCはプレーヤーをやられていたので、選手の気持ちを汲んで指導してくれますね。ヘナレ前HCとの違いは柔軟性だと思います。ヘナレ前HCは自分たちのバスケットを押し通すタイプでした。オフェンスもディフェンスも軸は絶対にブレたらダメ。迷ったらそこに立ち返るというところがある。今のチームは、そこに柔軟性を加えようとしています。相手によってアジャストする場面が増えるはずです。
大柴 ありがとうございます。それでは、最後にこれを読んだ方に、今シーズンについてのメッセージをお願いできますか。
兒玉 今シーズンはガラッとメンバーが変わったので、新しいメンバーと共に香川ファイブアローズの違ったいい面を見せられたら、と思っています。
大柴 新規加入メンバーで注目選手はいますか?
兒玉 一番注目してほしいのは、ムードメーカーの矢代雪次郎ですね。年齢は日本人で一番上なんですけど、コートでもベンチでも盛り上げてくれるのでチェックしてください。
僕も去年よりいいスタッツを残してB1昇格に貢献できればと思っています。ブースターのみなさん、今シーズンも応援よろしくお願いします!
text&photo by Sohei Oshiba