エンドラインからの景色 vol.65 B1 第15節 北海道 vs 三河 GAME2 両ヘッドコーチ、水野AC、島谷怜選手会見
シーホース三河 ライアン・リッチマンHC、水野AC会見
宮本 今日のゲームは、40分で最後に1点でも多く得点を取っていれば勝利できるというバスケットボールの本質的なゲームだったと思います。その中で、久保田選手の寺園選手に対するディフェンス、最後まで彼をホットにさせなかったことは、この試合において勝利の大きな要素になったと思います。昨日の会見でも、「三河のバスケットボールはディフェンスから流れを掴んでいく」という話をされていましたが、今日の久保田選手のパフォーマンスをコーチはどのように評価しているのかを聞いてみたいなと思いました。
ライアン 久保田選手はこの2試合とも素晴らしい活躍をしてくれました。このシーズンが始まる前に彼の身体をよりよくする取り組みを始めたんです。体脂肪を減らして、より力強くプレーできるようにする。彼はすごく努力してくれて、体型も変わりました。彼の素晴らしさをより試合で長く発揮できるように取り組んでほしいという話をしたんです。ただコーチ陣の計画が仮に良かったとしても、それを本人がやるという決意を持って取り組んでくれないと成果が出るものではありません。彼がしっかりと取り組んでくれたことで、今シーズンの素晴らしいパフォーマンスにつながっていると思います。今、宮本さんはディフェンスの部分をおっしゃってくれましたが、彼のリバウンドもチームに大きな力を与えてくれているので、様々な部分で彼はチームにいい影響を与えてくれていると思います。
宮本 ありがとうございます。もうひとつ伺いたいことがあります。レバンガ北海道さんは三河さんに比べるとウイング陣がスモールなラインナップになります。その中で今日は日本人のポストアップをひとつの起点とされていましたよね。特に西田選手のポストアップは前半のいいオフェンスのきっかけになっていました。コーチはそれぞれの強みをより延ばしていますが(ダブドリVol.20にライアン・リッチマンHCのロングインタビューが掲載)、後半はそういったそれぞれの強みを出せない時間が長く続きました。その要因はどこにあったのでしょうか?
ライアン そうですね。後半にオフェンスは停滞してしまいました。ただ、そこに関しては北海道さんのディフェンスが強度を上げてきたことによって、自分たちのオフェンスを苦しめる状況を作ったことが主な原因だと感じています。私はこのリーグで2年目になりますが、北海道さんはどんどんいいチームになっていると感じています。その中で、今日の後半のような場面を作られてしまうことは想定していました。自分たちがこれから学ぶべきことは、リードしている中でいかにゲームを進めていくのか。そこになると思います。自分たちはまだまだ成長できるチームだと思っているので、このゲームからしっかりと学びを得て、クラブとしての成長に繋げていきたいと考えています。言及いただいた西田選手がミスマッチをうまくついていたところは、今シーズンの彼の成長の中で自分たちが求めている要素のひとつです。アンダーサイズの相手に対して、いかに効率的にオフェンスを進めるか。スイッチをされたときに、彼のところでより良いオフェンスを作れるか。それはチームとしても必要ですし、彼が進化するためのひとつの要素だと考えているので、前半にそれをしっかりと発揮してくれたことは、個人的には良かったと感じています。
宮本 ありがとうございます。あと、最後にひとつだけ水野コーチにお伺いしたいのですが。
水野 はい。(通訳で参加)
宮本 以前、レバンガ北海道でヘッドコーチをされていました。こういう素晴らしい試合が作られて、対戦相手として試合ができたことについて伺いたいなと。それこそ水野さんがレバンガ北海道のヘッドコーチをされていたときは、リーグも始まったばかりで、7人のロスターで試合を回したときがあったり(笑)。
水野 そうですね(笑)。Bリーグの1年目ですね。
宮本 いろいろあった中で、お互いがベストメンバーでこのような素晴らしい環境で試合ができたことについて、感じたことがあれば伺いたいです。
水野 まず僕の中で変わらないことは、北海道のファンの方々が常にあたたかいことです。僕がいた頃もそうですし、今も常にレバンガ北海道を応援してくれている。それは今日も昨日も感じました。北海道はプロスポーツチームが他にもある中で、こういうコラボをきっかけにバスケットが好きな人はもちろん、バスケットにあまり触れていない人も会場に足を運んでくれて、バスケットの魅力を知ってもらえたのではないかなと思います。それは本当に素晴らしいことですし、メディアの皆さんがバスケットやスポーツを扱ってくれて、その魅力を世の中に広めることを助けてくれていることに本当に感謝の思いでいっぱいです。今日の試合は、シーホース三河としては苦しいゲームになりましたが、こういうエキサイティングなゲームになったことで、足を運んでいただいた皆さんにもバスケットの楽しさを伝えることができたのではないかなと感じています。今回、リーグの最多観客動員数を大幅に塗り替えた歴史的なゲームを対戦相手のコーチとして、関わったことのあるチームと一緒に作れたことは、僕としては本当に嬉しい時間でした。
レバンガ北海道 小野寺龍太郎HC会見
宮本 昨日今日を含めて、クォーターの入りがあまりよくありませんでした。昨日と今日の後半の入りは良かったですが、他はうまくいかなかった。そこはまだこれから色々精査していくと思いますが、原因はどのように感じていますか?
小野寺 うーん……。理由はひとつではないと思います。ラインナップも含めて、様々な要素があるのかなと感じています。今日のラインナップも以前に何度かやったことのあるラインナップなんですけど……おっしゃっていただいた通り、3クォーターの入りは悪くなかったんですけど、今日の前半などはディフェンスで役割を担ってもらっている関野、星野ですね。2人とも今日はある程度のスコアも期待していたところがあります。三河さんのピックアンドロールのディフェンスがあまり前に出てこないスタイルの中で、星野や関野のプルアップは昨日も含めてよく入っていました。そこは期待に応えてくれましたし、そこを期待してスタメンとしてコートに送り出しました。ただ、寺園との3人で並ぶという点では、もしかしたら違う組み合わせにした方が良かったのかもしれない。いろんな組み合わせがあるので、そこはもっといい組み合わせを僕の方で提示できたのかもしれないですね。寺園と一緒に出ているときの関野は、自分でスコアに行く姿勢が薄くなっています。これは仕方ないという表現が正しいかわからないというか……言い方が合っているかわかりませんが、寺園にボールを持たせてプレーをさせてしまう傾向にあります。そういう意味では、もっとバランスを考えていく必要はあるのかなと感じました。外国籍選手に絡めて、誰と誰がどういう場面で出ていくのか。僕自身が整理しなくてはいけない。そこには対戦相手との絡みもああったり、いろんな要素がありますよね。今日なら相手にスリービッグのラインナップがあるとか。そういう意味でディフェンスから入りたかったけれども、そこでディフェンスで役割を担っている選手も良くなったわけではなく、頑張ってくれていた中で、より良さを引き出すことができなかったことは反省点としてありますね。
宮本 ありがとうございます。一方で、言い方は失礼になりますが、北海道さんから見れば、現状三河さんは格上のチームになると思います。そのクラブを相手に劣勢となった試合を押し返すことができるようになったことは評価できるポイントだと思います。ただ、大事なことは次のフェーズですよね。こういった試合を勝ち切ること。小野寺HCもシーズン最初の会見で、競ったゲームに持ち込んで勝ち切ることについてお話しされていました。この競ったゲームを勝ち切るためには、どうしても最後のラストプレーが目立ちますけど、僕はそこではなく、そこまでの39分間に振り返るべきポイントがたくさんあると思います。あそこで自分の判断が……みたいな部分で、今ぱっと思い返すと改善できるポイントはどこかありますか?
小野寺 そうですね……。実際に今のラインナップの話もそうですし、最後の2分間を誰がプレーするのかは整理をする必要があると感じています。やはりそこは誰しもがプレーできる時間帯ではないです。外国籍選手はライアンとトムになると思いますが、それ以外のラインナップでガード陣をどうするか。ウイングは誰と誰を組み合わせるのか。あとは勝っているゲームを進めていく場合、ポイントガードは誰にするべきか。今日も勝てる可能性の高いゲームの中で、三河さんが3回目と4回目のファウルをしました。その時点でファウルゲームを仕掛けてくることは誰しもが想像できましたよね。そこでフリースローの確率だったり、今日はインバウンズでのボール出しを誰が出すのか。そこは課題だと考えています。インバウンズで誰がコートにボールを入れるのか、受ける選手にももちろん責任はあるのですが、誰がボールを入れるのかという問題があって、今日の僕らはプレスダウンでボールを入れられないことがたくさんありました。ベースラインからいいボールが出せない。自分たちの配置もありますし、ビッグマンにやってもらうことも考えられますが、ライアンもトムも決してパスを入れるというプレーが得意なわけではないので、その役割は僕らの現状ではスモールがやることになります。正直に言うと、僕も今回のゲームで迷ったところはありました。実際、そこまでプレータイムのなかった選手を出すことは難しいので、プレータイムが多くあった選手の中で、誰がその役割を担うのか。最後のプレーであれば、コーナーにドワイトがいて、寺園が上がってきて、関野がボールを出したところにはライアンがいたんですけど、その3選手のどこかに入れましょうと指示をしました。ただ、どこにも入らずにターンオーバーになってしまった。これは関野が悪いわけではなく、僕がもっと適切なラインナップを提示するなり、指示ができたはずです。そういったところが試合を勝ち切る要素としてあると思うので、僕自身がもっと向上していく必要があると感じています。
レバンガ北海道島 谷怜選手会見
宮本 お疲れ様です。昨日の会見とか、この試合までのコメントを見ても、やっぱりこのようなビッグゲームを作ってくれているからこそ、勝つことが一番というか。こうやって集まってくれたたくさんの人への恩返しであり、楽しんでもらえることに繋がると考えていたんだろうなと思っています。島谷選手は強豪の東海大学で4年間を過ごして……それこそ今年で陸川先生がヘッドコーチ退任となりましたけど、自分たちのバスケットボールを見せ切ること。それを陸川先生はすごく重視されていたと思います。言い方があれですけど、今日勝てたか勝てなかったかは、この先のどこかで振り返ったときに、様々な視点からひとつの分岐点になる可能性があります。こういうゲームを勝ち切るために、勝ち切れるチームになるために必要なこと。島谷選手の中で何か感じていることはありますか?
島谷 最後のクロージングをしっかりやることはもちろんなんですけど、40分を通したときの1点差や2点差っていうのは、それぞれフリースローであったり、ひとつのポゼッションで守り切れたか、決め切れたかっていうポイントがあったと思いますし、本当にそういう部分の積み重ねが最後の結果につながる。それは大学時代に陸さんから教わったことでもあります。今日の試合を振り返れば、最後の局面がっていう話になるかもしれないですけど、やっぱりそれまでの積み重ねの結果だと思います。僕が3Qにしてしまったミスもそうですし、それぞれが振り返る場面があると思いますし、そこをそれぞれが改善していくことで、チームとしてより強固になっていくと思いますし、勝てる試合が増えていくと思います。
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