『ダブドリ Vol.3』 インタビュー02 熊谷尚也(大阪エヴェッサ)
2018年5月31日刊行(現在も発売中)の『ダブドリ Vol.3』(ダブドリ:旧旺史社)より、熊谷尚也選手のインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。なお、所属等は刊行当時のものです。
日本人離れした身体能力とウイングスパンで日本代表入りが期待される熊谷選手を、自身も元選手であり現在は解説者やリポーターとして活躍する中川聴乃女史が直撃。
中川 実は九州つながりなんですよね。私は長崎出身で、熊谷選手は福岡出身。
熊谷 そうです。
中川 伺ったところによると、子供の頃、最初はバスケットをやってなかったとか。
熊谷 はい。最初は兄と姉の影響でサッカーをやっていました。ま、本当に一瞬だけですけど。でもあまり面白さがわからなかったというか。
中川 しっくりこなかった。
熊谷 そうですね。だからすぐやめちゃいました。なので「やってた」っていうほど続けてはいないんですけど。
中川 そこからバスケットとはどんな風に出会ったんですか。
熊谷 それも小学校の時なんですけど、父親の勧めですね。父親は元々学生時代に、バレーボールをやっていました。
中川 へえ。
熊谷 サッカーやめた僕に、父が「なんかスポーツはやっておきなさい」と。その時に、「何があるの?」って聞いたら、「バスケとかどうだ」って言われたんです。ちょうど小学校にミニバスがあったので、見学に行って、興味を持ったので、やってみようと思ったのがきっかけですね。
中川 でもそうやってバスケットを始めたときは、こうしてプロになるっていうイメージはありましたか? 私は現役時代、なかなかイメージなかったんですけど。
熊谷 うーん、ただちょうどバスケにはまっていた時期だったんで、漠然と「プロになりたい」くらいのことは言っていた気がしますね。
中川 あ、言ってたんだ。
熊谷 はい。でも所詮は小学校低学年ぐらいの夢なので、具体的なものは何もなくて、どうやったらなれるかなんて考えてもいませんでしたけど(笑)。
中川 じゃあいつ頃ぐらいから、「プロに行けるな」っていうのを実感し始めたんですか。
熊谷 大学3年生のときですね。その頃のリーグ戦あたりから試合にも出られるようになっていたんです。それに加えて、当時、パナソニック(トライアンズ)のヘッドコーチをやっていた、日体大(日本体育大学)の先輩の清水さん(良規。現大阪エヴェッサGM)から、ウチで一緒にやらないかってお誘いをいただいた。それからですね、プロを意識し始めたのは。
中川 実際にプロで、という声がかかったから実感できたと。
熊谷 そういうことです。
中川 そして2013年、大学卒業と同時にリンク栃木ブレックスに加入した。同期の選手だと、比江島(慎)選手がいますよね。
熊谷 はい。そうですね。同い年です。
中川 しかも彼も福岡出身だから同郷でもある。プロとして、同じ土俵でやるってなったときの心境はどうでしたか。
熊谷 うーん。いや、あんまりそこは考えてなかったです。彼は小さい頃から本当に有名な選手で、中学時代には全国大会も経験していますからね。僕はもちろん彼のことを知ってましたけど、彼は僕のことを全く知らなかったんです。
中川 なるほど。じゃあいつぐらいから仲良くというか、交流するようになったんですか。
熊谷 大学に入ってからですね。最初は試合会場で会っても話したりとかしなかったんですが。李相佰(日韓学生バスケットボール競技大会)の合宿で同じチームになった時とか……。
中川 李相佰って何年生ぐらいから入ったの?
熊谷 僕は4年生ですね。
中川 4年生か……。
熊谷 あ、でも僕は1年生のときにスプリングキャンプに呼んでいただいたんですよ。比江島とは多分、そのときに初めてちゃんと話したような気がします。1年生の終わり頃ですね。そこからかな、彼と話すようになったのは。
中川 今、結構仲良かったりはする?
熊谷 試合会場で会った時に、「おう」みたいな挨拶はしますね。かといって特別連絡取り合うわけではないですが。
中川 まあ、そんなもんだよね。フフフ。じゃあバスケ界では、誰と連絡取ったりとか、仲良かったりするんですか。他のチームの人でもいいんですけど。
熊谷 誰ですかねえ。あまり他のチームの方と連絡取り合ったりはしないんですけど。去年までいた栃木の渡邉(裕規)さんとかは、たまにですけど連絡取らせていただいてますね。
中川 気が合うとか?
熊谷 というより、お互いが読んでる同じ漫画があるんですよ。最新刊が出たら僕が連絡するんです。
中川 えー、それ何ていう漫画?
熊谷 『ワンピース』と『キングダム』です。
中川 『キングダム』ってなんか聞いたことあるんだけど、どういう漫画だっけ。ちょっと個人的に聞きたい。……あ、でも取材中だけどいいのかな?
石川 ほとんどこんな取材なんで大丈夫ですよ。
中川 あ、大丈夫ですか。ハハハハハハ。ちょっと気になっちゃって。
大柴 こんな話しか載ってないんで。
熊谷 (笑)。『キングダム』は中国の歴史が舞台で、始皇帝の話ですね。
石川 歴史をなぞったフィクションです。
中川 へえ。
熊谷 そうですね。で、渡邉さんとその最新刊が出たら連絡を取るっていう(笑)。『ワンピース』も同じです。
中川 『ワンピース』って、今、日曜の朝とかにアニメをやってるじゃないですか。
熊谷 はい。やってますね。
中川 あれも見てます?
熊谷 たまにですね。日曜日は試合が多いので、朝起きて、テレビつけて、やってたらチラチラ見ながら準備する程度ですね。
中川 キャラクターは誰が一番好きですか。
熊谷 うーん、シャンクスとか好きですね。
石川 赤髪のシャンクス。四皇の一人ですね。
熊谷 ルフィの恩人っていうか。
中川 ああ、主人公の。
熊谷 そうです。麦わら帽子の。
石川 うっかり腕やられちゃう人です。
中川 あー。あのシーン泣けますね。
石川 中川さん結構早めに泣きましたね、あれって一巻の最初ですよ(笑)。
中川 え、そうなんですか(笑)。あのシーンを部分で見せられたんですよ。
石川 あ、なるほど。
中川 結構泣けるなあと思って。
熊谷 シャンクスはかっこいいので好きですね。
中川 確かに。見た目もかっこいいし、なんか生き方もかっこいいなって。
熊谷 そうですね。本当に全部かっこいいです。
大柴 漫画は他も見るんですか。
石川 俺も聞きたかった。全然関係ないけど。
中川 多分、皆気になるところじゃないですか。
大柴 確かに。
熊谷 結構、王道漫画が好きなんで、『ドラゴンボール』とか。もちろん『スラムダンク』も何度も読みましたし。
大柴 おー。
中川 『鋼の錬金術師』は?
熊谷 見てないんすけど、興味はあります。
石川 『鋼』いいっすよ。王道だし。
中川 めっちゃいいですよ。超感動する。
熊谷 実写化されましたよね。
中川 うんうん。山田(涼介)くんの。
熊谷 それを見て、ちょっと原作も読んでみようかなと思っています。
石川 そっちから入る人もいるんだ。
中川 絶対見てください。まじで感動して、なんで早く見なかったんだろうって思うから。
熊谷 あ、分かりました(笑)。ちなみに何巻まで出てるんですか。
中川 27巻です。もう完結しましたよ。
熊谷 そんなに長くないんですね。
中川 そう。だから、多分一気買いしたほうが。
熊谷 じゃあ次に読むリストに入れます。
中川 ダメ。もう、すぐ読んで。
大柴 ハハハハハハ。リストのトップに。
熊谷 わかりました(笑)。
中川 さて、ちょっとお話、戻ってもいいですか(笑)。
熊谷 戻ってください(笑)。
石川 もうちょい聞きたいですけどね。
中川 アハハハハ。ところで、去年B.LEAGUE開幕しましたけど。バスケットをやってきた人にとって、日本にも統一されたプロリーグができればいいな、こうなればいいなっていう理想が実現したわけじゃないですか。実際に開幕してみて、どんな風に感じましたか?
熊谷 まず、NBLとbjリーグがあったときよりは、認知度がすごく高くなりました。もともとプロバスケットボールを知らなかった人たちに対して、知るきっかけともなるような、メディアへの露出がすごく増えたので、バスケットにもプロがあるということを多くの人に知っていただけたと思います。それにやっぱりリーグが一つになって、去年1年はとても盛り上がったのではないかなと思います。会場はもちろん、それ以外の所――街を歩いてるときに声掛けていただいたりとかすることが増えたので。そういう面ではすごく良かったなとは思いますね。
中川 開幕する前と開幕してからでは、自分のプレーへの熱の入れ方とか、練習とか、プライベートの過ごし方まで、何か変化はありましたか?
熊谷 プレー面はNBLのときからあんまり変わってないです。もちろん試合数が増えたので、休養の取り方だとか、体のケアとか、そういうところはすごく気を使うようにはなりましたけど。プライベートも特に変わったということはないです。ただ街で声を掛けていただくことは増えたので、プロとして見られてる意識は、前よりは持っています。
中川 1年通してやってみて、今までとオフ期間の過ごし方って変わりませんでしたか。そこの期間の過ごし方は、選手たちの意識が変わって変化が大きかったんじゃないかなあって、私は勝手に思っていたんですよね。なぜなら、今年リーグがスタートしたときの体の仕上がりが、今までとは全然違ったから。熊谷選手はどうでしたか。
熊谷 僕はオフは結構ゆっくりしていました。
中川 ハハハ。走り込みもそんなにしなかったということですか。
熊谷 ないですね。もう本当にオフはオフで、身体を休めていました。そうしてると、オフになって太っちゃう選手がいますが、僕は逆にやせちゃったんですよね。
中川 食事もやっぱり減ったりする?
熊谷 動かないと食べられないんですよ。食べないといけないんですけどね。
中川 そうなんだ。オフの期間は実家に帰ったりとか、旅行とか行ったりするんですか?
熊谷 そうですね。旅行には行きます。でもほとんど実家でゆっくりすることが多いですね。地元の友達と会ってご飯行ったりとか遊びに行ったりとかすることがほとんどです。
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この後も、食事管理や移籍の理由、「優しすぎる」部分、そして中川さんから熊谷選手の成長への期待など、まだまだ続きます!続きは本書をご覧ください。