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エンドラインからの景色 vol.60 B1 第6節 北海道 vs 横浜BC GAME1 両ヘッドコーチ、菊地選手、寺園選手会見

エンドラインからは選手たちの熱く激しいプレーや、そこからしか見えない表情がある。ダブドリ編集部が撮影した中から厳選し、写真とともにゲームを振り返っていく。vol.60はB1第6節の北海道vs横浜BCのGAME1を写真で振り返っていく。最後に両ヘッドコーチ、菊地選手、寺園選手の会見を掲載する。(写真・文 = 宮本將廣)

ラッシ・トゥビオHC会見

宮本 レバンガさんがミドルピックからサイドを変えてくるというバスケットボールをする中で、ディレクションしてショーで出て、かなりいいプレッシャーで前半はゲームを支配できたと思います。そこからレバンガさんもアジャストしました。そこで横浜さんがさらにアジャストしきれなかった要素、もしくは作りたかった理想の展開というのはどういう展開なんですか?
ラッシ ディフェンスの部分で、だれがボールについているのかなどを考えていました。そのなかで結果的には失点が75点だったので、そこは一定の評価ができると思います。しかし、オフェンスのところで自分たちのアイデンティティをしっかりと発揮することができなかった。おっしゃる通り、後半から北海道さんはアジャストをしてきて、流れが悪くなったところはあったと思います。ただ、一番大事なのはアジャストに対してさらにアジャストをするよりも、そもそも自分たちが何を信じてバスケットボールをやっているのか。それを遂行しなくてはいけなかったと感じています。
宮本 そういう意味では、おそらく打ちたいエリアでのショットを打ち切れてなかった。もしくは決めれたけど、打ちたいところではなかったというシチュエーションがこれまでのゲームのショットチャートから見ると多かったように思います。そういったオフェンスの歪みが、このゲームの良くない展開を作ったのでしょうか?
ラッシ そうですね。シュートは全ての選手が決めるために打っています。ただ、おっしゃられたように私たちが打ちたいエリアでショットが打てなかったり、打てたけど外したというものもありました。その中で繰り返しになるのですが、自分たちのアイデンティティというものがなんなのかっていうことをもう一度皆で考えて遂行していきたいと考えています。改めてフィルムを見て、自分たちは打ちたいショットを打つこと。そしてそれらを決められるようにもう一度この試合と向き合いたいなと思っています。

小野寺龍太郎HC会見

宮本 1クォーターは相手のレイアップですよね。ファーストブレイクからもそうですし、ラベナ選手のシンプルなペイントタッチっていうのはもっと減らさなくてはいけないというプランだったと思います。その中で、オフボールの動きが横浜さんは上手で大庭選手だったり、須藤選手だったり、松崎選手だったりとかのオフボールのスクリーン、ハンドオフアクションにちょっと気を取られたのかなっていう印象はありました。水曜日の練習でもそこをかなり強調してやっていたと思います。そこは後半にどのようなアジャストをしたんでしょうか。
小野寺 そうですね。まずは大前提として横浜さんはレイアップのアテンプトがリーグの中でトップ3に入る。アテンプトで15本ぐらいでメイクは9本から10本くらいなので、だいたい20点ぐらいをレイアップで取ってきます。横浜さんのアベレージのスコアが75点ちょっとなので、25%くらいがレイアップで取ることになります。選手たちにも「絶対にこれは止めなきゃダメだよ」と伝えていました。シチュエーションとしては、トランジション、ピックアンドロール、1on1、それからスクリーンゲームからのドライブという形で、全ての選手がこのなかでレイアップを狙ってくることを前提にしながらも……。僕はエレメントって呼ぶんですけど、要素ですよね。ピックアンドロールをどう守るのかだったり、スクリーンゲームをどのように守るのか。それを準備した上でシンプルに1on1でやられたっていうのは、少し要素の守り方だけを強調してしまい、本来の目的であるレイアップを止めることが薄れていたと思います。目的はレイアップを止めることなのに、結局それが達成されずに前半はレイアップにいかれてしまったという形でした。最終的には1on1になるので、2メンゲームからの1on1も含めて、まずはマッチアップしている選手が頑張らないといけないと伝えました。イングリス選手のところも簡単に持たせて、簡単にレイアップされてしまった。それはチームディフェンス以前の問題だと伝えました。そこは後半でしっかりと修正できたところだったと思います。なので僕がちょっとゲーム前のミーティングも含めて、その手段を強調しすぎた部分があったので、そういう部分では選手たちが後半はいいアジャストを見せてくれたと考えています。
宮本 そういう意味では、関野選手が後半にラベナ選手にマッチアップした場面とかは、シンプルに1on1を止めて、アドバンテージを取れたところは大きかったですよね。
小野寺 よかったと思います! 関野の良さというのはシンプルに体の強さだったり、ボールプレッシャーだったり、簡単に抜かれたりしないので。そこに何か戦術的なアジャストだったり、他の選手がどう絡んでくるのかっていうのは、もちろんチームとして準備をしていますが、関野の良さを強調して、「お前にはこれやってほしいよ」っていうことをチームとして求めた結果、彼はすごくいい仕事をしてくれたし、松下もそうですね。やっぱり彼の良さは数字に表れない部分が多数あります。オフェンスファウルを取ってトランジションを止めてとか。松崎選手のダックというのも、僕たちのスカウティングの中ではかなり優先順位の高い中に入っていました。彼がそれを止めてくれたことは、自分たちに流れを持ってくることができた要因のひとつかなと考えています。
宮本 あとはオフェンスについて伺いたくて、菊地選手がリングを見てプレーができていたというところは、今日のスタッツもそうだしヘッドコーチの評価もそう。本当に素晴らしかったと思います。菊地選手だけとは言わないですけど、ピックアンドロールゲームの時にリジェクト(スクリーンを使わないでアタックする)を見せられたことは、すごく効果的だったのかなと思いました。ただ、それは戦術のチョイスとしてあまりないのか、それとも戦術的にあるなかで彼がそこをしっかりと表現したのか。その辺のバランスはどうなんでしょうか?
小野寺 そこまで自分たちはリジェクトを強調していないんですね。今日の前半が良くなかったのはバスケットを見ていないということも含めて、ピックアンドロールゲームでお話すると、横浜にはイングリス選手、クラーク選手、そしてコッツァー選手というビッグマンがいて、コッツァー選手のピックアンドロールディフェンスが非常に良いので、そこでのアドバンテージが前半はなかなか取りづらくて、オフェンスが少し停滞するケースもありました。そこをイングリス選手とクラーク選手につかれている選手がスクリーンに行きましょうと伝えました。シンプルにコッツァー選手を絡めないように前半の途中からアジャストを入れたんです。その辺りを含めても、リジェクトを狙っていたのは菊地だったり、寺園ですよね。僕が強調していたのは、コッツァー選手以外の2人はショーに出れずにドロップしてしまうケースも多いから、ちゃんとスクリーンをかけて正しく使おうねっていうことでした。ゲーム前のミーティングでもそこを強調しました。多くの選手が真面目なので、それをやろうとしすぎてしまうし、今回もそういう感じがあったと思います。そのなかで菊地のいいところは、そこを強調したとしても、彼の感覚的な部分ですよね。いい意味でプレーを壊す。シンプルにそういう部分を彼はチームで率先してトライしてくれています。その辺は、僕の選手への伝え方も含めて、許容範囲をもう少し広めていく必要もあると思いますし、選手の良さを消さないように、かつチームとして効果が最大限得られるような形を求めていくためにも、プレーを壊してもいいよと。そういう部分を今シーズンは考えいかなくてはいけないなと思っています。今、宮本さんがおっしゃったようなことを本当に僕も思いました。やっぱり言われた通りにやりすぎる。そこは強みのはずなのに、僕の伝え方でマイナスに作用してしまう。それがやっぱりうまくいかないときは同じことをやるにしても、逆に行ってみるとか。場面に応じてアジャストをする、少しの調整をするというのは選手としても大事なことだと思いますし、菊地だったり、今日の最後の寺園もそうですね。今日のように調整しながらプレーしてもらうことを考えていきたいなと思いました。

菊地広人選手会見

宮本 ヘッドコーチにも聞いたんですけど、システムの中にそこまでリジェクトをするみたいなところがピックゲームの要素に入っていない中で、菊地選手がそれを見せれたことによって、セパレートを作ってシュートを打つことができたのかなと感じました。オフボールのところは、そこを見せられるか見せられないかってすごく大事だと思うんですね。横浜さんは前半にラベナ選手のところで、リジェクトされるかもしれないみたいな怖さを感じましたけど、レバンガでそれを見せられたのが菊地選手だったと感じています。その辺はベンチから見ていて、もうちょっとこうしたらいいのになっていう考えがあったんですか?
菊地 いや、本当にさすがというか、よく見ていらっしゃいますね(笑)。そうですね。特にボールを展開してからのサイドピックに行くシチュエーションのところで、選手によってアンダーしたりとかっていうのがあって、選手の個人の判断なのかなと思っていました。チェイスでついていく選手もいれば、アンダーする選手もいるなと見ていたので、もしアンダーされたら打てるなと思っていたので、まずは1本狙ってみようかなと思ったので、入ってよかったです。まさにその通りだなと思います。
宮本 そこで思い切って打ったことによって、相手の守り方もちょっとトラブルというか、菊地選手のところが難しくなったなっていう。自分でもイニシアチブを取れたなという感触はすごくあったということですよね。
菊地 そうですね。1本目を打ってしっかりそれを決めれたので、それは相手にとってすごく良かったと思いますし、自分にとっても1本目を気持ちよく決めれると次のシュートも打ちやすくなりますし、チーム全体でどんどん打たせてくれるようになるので、その1本目をちゃんとしっかり決めきれたというのはすごい良かったのかなと思います。
宮本 あとは前半と後半で、個人的にはペイントタッチの質の差みたいなところはかなり出たなって感じています。やっぱり横浜さんは菊地選手がコートにいることによって、外のシュートがあると感じる。それによってドライブスペースが作れていた場面もあったのかなと感じました。ただ、これは個人的な意見になっちゃうんですけど、菊地選手自身がもうちょっとペイントに向かっていけるチャンスもあったのかなと思ったんですけど、その辺は明日に向けてどういうふうに捉えていますか?
菊地 今日の後半以上に自分に対してのプレッシャーは強くなってくると思います。ファウルで止められてしまうシチュエーションもあったんですけど、前半と後半に1本ずつリジェクトして中にドライブしていけたシーンがあったので、それは明日も狙っていきたいなと思っていますし、やっぱり外を潰されてしまって点を取れないとなってしまうとプレーヤーとしても幅がないと思うので、2ポイントの部分だったり、切り込んで点を取る。もしくはファウルをもらったりとか、アシストをするっていうところ。そこは自分自身も課題としてトライしていきたいなと感じているので、明日はディフェンスを見て状況判断しながらですけど、頭に入れてやりたいなと思います。

寺園脩人選手会見

宮本 ヘッドコーチも少し言及されていたんですが、オフェンスを壊すシチュエーション。その許容が増えてきた。その中でデータ上なんで明確には言えないですけど、横浜さん自体のバスケットボール。これはオフェンスですけど、スリーポイントとペイント内のシュートがかなり多いので、多分練習でもそこをディフェンスするシチュエーションが増えるはずです。だからこそ、対横浜はミッドレンジがキーになるのかなと思って見ていたんですね。となるとやっぱり寺園選手っていうのがかなり大事。もちろん今日はシュートが入らなかったですけど、アシストも11あってショットも作れてていたことは、今日の勝利のポイントだったと思いますし、おそらく明日もポイントになると思います。ポイントカードとしてゲームを作りながらも自分を生かしていって、ミッドレンジでゲーム支配していくこと。今シーズンはどのようにバランスをとっていこうとしているのかを聞かせていただけますか?
寺園 そうですね。僕はガードのスタイルとして点を取りながらリズムを掴んでいって、ゲームメイクしていくという形なので、まずは自分で空いたら打つというのをファーストオプションに考えています。ただ今日はちょっとシュートタッチが良くなかったので、もうちょっと中に切れ込んでいって、終盤は相手が寄ってきていたのでトーマス・ウェルシュ選手だとか、菊地選手が当たっていたので、そこを活かそうかなと思っていました。なので、まずは他の選手というよりは自分のシュートを打ち切るというところを考えています。そこはやっぱり自分の武器でもありますし、一番自分が得意としているプレーなので。明日は相手もそこを抑えてくると思うので、そうなれば他の選手が今日のように空いてくる。まずは自分がアタックする気持ちを持ちながら、周りの選手を生かしてゲームを進めていきたいなと思っています。
宮本 ありがとうございます。感覚論的なところもちょっとお伺いしたいんですが、キング開選手とかラベナ選手はサイズもあって、ウィングスパンもあって、フィジカルに守れる。それを切っていくのって結構難しい作業だと思うんですけど、それでも今日もうまくリジェクトして右のプルアップに持ち込んだりしていました。その辺は駆け引きとかコツのようなものがあるんですか?
寺園 うちのチームには関野剛平、松下裕汰っていうディフェンスの2枚看板がいて、そこと毎日やっているので、相手と対戦したときにそれほどプレッシャーを感じてないというか。やっぱりあの2人のディフェンス力っていうのは足もありますし、フィジカルもあるので。彼らとやっていることで試合ではあまりプレッシャーを感じていないので、縦に切れるなっていう自信はあります。ただ、いつも2人にはやられまくっています(笑)。

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