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エンドラインからの景色 vol.67 B1 第17節 北海道 vs 京都 GAME1 菊地広人選手個別インタビュー

エンドラインからは選手たちの熱く激しいプレーや、そこからしか見えない表情がある。ダブドリ編集部が撮影した中から厳選し、写真とともにゲームを振り返っていく。vol.67はB1第17節の北海道vs京都 GAME1後の菊地広人選手個別インタビューを掲載する。(写真・文 = 宮本將廣)

レバンガ北海道 菊地広人

宮本 すっごい失礼なこと言っていい?
菊地 はい。
宮本 おそらく今日の展開が、今の菊地くんがコートインできる条件っていうのかな。
菊地 はいはい。
宮本 ダブドリでも言ってたけど、もうプレータイムの長さじゃなくて、コートにいる瞬間に賭けるしかない。それがめっちゃ伝わってきた。はっきり言ってしまうと、今のチームに明らかに足りない部分を菊地くんは表現できると思うんだよね、俺としては。ただ、チームとしてはそれは最終手段というか。今日も最後の最後に流れを持って来れたと思うし、他の条件さえ揃えば逆転もできたかもしれない。雰囲気っていうのは、俺はあまり好きではないんだけど、簡単にいえば北海道にとってはつかみどころのないゲームだった中で、何を意識してコートに入ったの?
菊地 今日は確かにディフェンスのルールが遂行できていないとか、どこがやられている、やられていないとかもあったんですけど、全体的に千葉J、三河、三遠のゲームと比べて、シンプルにエナジーが足りない。
宮本 うんうん。
菊地 試合の入りから、どこか綺麗にやろうとしすぎてしまっている感じがあったと思います。それはうちのバスケスタイルが緻密なので、そこをやろうとしすぎてしまうあまり、綺麗になりすぎてしまう。悪くいえばそうだし、よく言えば徹底しようとしている。今日もそうですけど、今までも綺麗にやろうとしすぎて、うまくいっていない試合は実際にあったので、今日はそういう試合だったなって。僕がコートに入ったタイミングでは、もう点を取るしかないし、それが求められていたと思うので、オフェンスでは打てるところでシュートを打つ。ディフェンスでは強度の部分ですよね。でも、そこはスタートから高い強度で行こう、ルールを徹底しようって話しているんですけど、その中でも今日の試合は上げきれていなかったというか。ひとりひとりは間違いなく一生懸命なんですけど、チームとしてうまく嵌めることができなかったのかなって感じました。だから、1対1のところでファウルになってもいいからプレッシャーをかけようと思ってプレーしていたし、そういう意識でコートに入りました。

宮本 チームのスタイルを遂行した中で、よくない側にふれたっていうのはよくわかるし、60試合を戦っていれば、うまく噛み合わない試合って絶対にあるじゃん。システムを遂行するが故に、ボールがただ回っているだけの時間が長すぎた。一方で京都は局面、局面で人とボールがリングに向かっていった。それを一番表現したのがスタメンだった水野選手だったと思う。
菊地 そうですね。
宮本 川嶋選手もそうだし、古川選手もそうだし。ベンチにいた時間が長かったから、もどかしかったと思うんだけど、それを変えたのは菊地くんだったと思うの。そこっていうのは、チームのスタイル、ルールっていうものがある中で、もうちょっと縦に切っていってもいいんじゃないか。プレーを壊してもリングに向かうタイミングがあってもいいんじゃないかって俺は感じるんだけど。もちろんこれはチーム批判ではなくて、ポイントポイントでそういう変えのきかないプレーっていうのかな。振り返ったら、あのプレーはでかかったとかあるじゃん。
菊地 はいはいはい。
宮本 もうちょっとペイントに思い切って入っていく、個で切っていくっていう必要性というのかな。
菊地 そうですね。今日の試合には特にそういう場面が多かっただけで、チームのスタイルでうまく展開を作り出してペイントを取れていることもあると思っています。ただ、オフェンスを遂行する中で何度かシュートチャンスってくるじゃないですか。
宮本 はいはい。
菊地 例えば、その1回目でシンプルにシュートを打ち切った方がいいかもなとか。そこで打たないでセットを続けることで、結果的にタフショットにしてしまうことがあるので。そこを壊せる力を自分は持っていると思うんですよね。
宮本 うんうん。
菊地 現状3番手、4番手で周りと同じことをやっていても、出番を掴み取ることはできないので、逆に言えば僕までチャンスが回ってくるということは、何かしらを変えないといけない。チームのプレーを壊しててでも、自分の持ち味でゲームを変えて欲しいという意味もあると思うんです。それは横浜BC戦(2024-25北海きたえ~る開幕戦)もそうだったと思うんですね。
宮本 うんうん。
菊地 自分の役割や特徴は持っているし、ヘッドコーチも理解してくれているので、そこを表現しないといけない瞬間はあるのかなって思っています。壊しどころっていう言い方が間違っていますけど。
宮本 自分がチームの停滞を力技で動かしていくというか。
菊地 はい。アグレッシブにプレーする。シンプルに狙う。多少タフショットでも打ち切れるのが自分の強みです。練習からそこは表現しているつもりなので、そこを求められてコートに送り出されていると思っているので。

宮本 すごくぼんやりしたことばかり聞いて申し訳ないんだけど、会見を聞いてもそうだし、試合を見ていて北海道と京都がすごく違うなって思ったのが、水野選手がやれることはペイントタッチだけみたいなプレーをしてきた。そこの明確さって結構ゲームトーンに影響するじゃん?
菊地 はいはい。
宮本 守れているのに、すごくペイントを取られている感じになっちゃって、後手を踏むと本当にペイントを取れるようになったりする。そして、そこからの展開が無数に出てくる。今日のゲームだったら水野選手のアタックがあったから、カロイアロ選手がいろんなスコアをできる状況が無数に生まれてしまった。おそらく今日のスカウティングはスポットを見ておくから、スタントやタグをそこまではしなくていいのに、ボールが気になってハンドオフのディフェンスが遅れるとか。俺はそう感じたんだけど、ベンチから見ててどうだった?
菊地 いや、その通りだと思います。僕たちはちゃんとスカウティングをして、これに対してはこの守り方っていうのが徹底されているんですけど、ああやって1対1でバンって抜かれるのは想定外だし、絶対にあってはならないことです。そこが守れる前提で話が進んでいるので、ああいうふうにシンプルに1対1で抜かれたり、アタックされるのは自分がディフェンスでも嫌だし、バスケットボールの一番怖いことだと思うですね。それで想定外のところがノーマークになったり、ディフェンスが崩れてしまう。今日の水野選手はシンプルにアタックできるところをアタックしているなっていうのは、僕もすごく感じました。
宮本 それを北海道でできるのは、今、菊地広人しかいないと思うんだよ。だからさ、頼むよ、明日は。
菊地 ハハハ。ありがとうございます。がんばります。

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