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「明石家さんま」「とんねるず」でなく「松本人志」が【笑いのカリスマ】である理由 《テレビ離れは、松本人志のせいだった!? ー テレビ・バラエティー番組がつまらなくなった本当の理由 ー



本コラムは、

■電子新書■
[新版]「テレビ離れ」は、【松本人志】のせいだった!?
 ー テレビ・バラエティー番組が、つまらなくなった本当の理由 ー

から、抜粋して再構成したものです。!

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「松本人志」が‘‘特別‘‘なのは、 ‘‘オモロイ‘‘からではない 

「明石家さんま」「とんねるず」でなく
「松本人志」である理由 



「松本人志」が、テレビ業界において、
他の売れっ子たちとは異なる、
特別な評価・影響力を得ているのは、

他のタレントが思いつかない面白いことが言えるから評価されているように見えるが、
実は、‘‘そうではない‘‘ のだ。

彼が、他の売れっ子たちと比べても特別な存在とされるのは、

《リスク》を最小限 に抑え《最大限の笑い》  を生むという、
松本人志にしかできない独自の【トークテクニック・芸風】をもっているからである。


さらに、
彼の手法は、どのような番組や、どのような相手を問わずに、常に力を発揮できるものであり、
「テレビ業界」  にとって、裏技級のチート技であったからだ。


一見すると、松本人志は、

頭の回転や、ボキャブラリーの豊富さから、
評価されているように見えるが、
その本質は、《リスク》を最小限に抑えながらも、
《最大限のインパクト》 のある笑いを提供することができ、
なおかつ、どのような場面においても使えるからなのである。


今の時代、過激な芸風や番組企画で
笑いを取ることは実は難しい


先に、何度も述べているが、
〈一般的なバラエティ番組の制作手法〉や、
〈一般的なタレント〉が、番組を盛り上げるためのトーク術は、【深さ】によって勝負するものである。

つまり、【トーク内容】【リアクションの過激さ ・言葉の強さ】によって、
ギリギリを狙って面白い番組を作る手法である。


この、手法が、必要とされるのは
普通すぎても、話題性や視聴率が取れず
攻めすぎてもアウトになってしまうからであり、
ゆえに、
これがバラエティー番組作りのセオリーと、される。

しかし、これは、非常に難しい。

なぜなら、番組の放送時間帯や、
番組カラー、スポンサー、出演者などによって、許されるラインは、大きく変わるため、その匙加減が難しく
リスキーなものだからである。 

特に、近年は、
コンプライアンス意識や、差別、多様性の声が高まっている時代であるうえに、
インターネット・SNSが発達し、ちょっとしたことで、すぐに批判や炎上が巻き起こってしまう。

 ことに、テレビ業界で最も強い立場である「スポンサー」は、
数字を取れと要求する一方で、
不祥事や炎上はご法度という
相反する要求を出してくるため、
ギリギリを狙って面白い番組を作る
従来の方法は、実に、そのさじ加減が難しいのである。


「従来のバラエティー番組手法」では
歌手や俳優のような
〈非バラエティー番組ジャンル〉のゲストへの対応も、難しい



また、歌手や俳優と言った〈バラエティー番組のノリ〉  が、通用しずらい芸能ジャンルの出演者がバラエティ番組に出演することもあるが、
この場合においても、ギリギリを狙う従来の手法は相性が悪い

というのも、タレントや、お笑い芸人と違い
彼らの多くは喋りのプロではなく
アーティスティックな雰囲気で売っていることも多いため、深く突っ込まなければ面白い番組が生まれづらい 一方で、
バラエティ番組の常連組のように、
ラフに扱って良いわけでもないからだ。
 

しかも、こういったジャンルの人々は、
バラエティー番組の主な出演者ではないものの、
ドラマや、リリース作品の、プロモーション目的で定期的に出演するのが、業界の常である。

一人一人の出演は少なくても、
ジャンル全体としてみれば
決して頻度は低くないのである。


一方で、
普段、バラエティ番組に出ない歌手や俳優のような芸能ジャンルの人々は、
話題性や数字が取りやすいコンテンツであり、
上手に料理すれば見慣れたタレントたちよりも面白いコンテンツになる。

そのため、
ホスト役を務めることの多い、
お笑いタレントにおいては、
腕前とバランス力を試されるシーンではあるが、
これには、ギリギリを攻める能力やキャラクター、経験が多分に必要とされる。

中には、お笑いタレント並みにイジってOK な人や
トークが達者な人たちもいるが
大多数は、ホスト役が、お膳立てをしてあげないと
撮れ高が期待できない場合が多いのだ。


ゆえに、こういった面においても、
「【深さ】で【攻める】従来のトーク手法・バラエティー番組制作手法」は、
非常に相性が悪いのだ。


話題性や視聴率という数字を獲得しつつ、
スポンサーや、出演者、視聴者からクレームが来ないという
相反する要求を双立させることは、
非常に難しい
からである。


「明石家さんま」でなく、「松本人志」が
特別な評価を受ける理由

《オーソドックスなトーク術の最高峰》の「明石家さんま」
《テレビ業界のジレンマを解決する、他にはない唯一無二のトーク術》をもつ「松本人志」


一方で、
「松本人志」が独自に編み出した
【トークテクニック・芸風】  は、
こういった「テレビ業界」の問題を、
全てクリアできる極めて優秀な芸だったのである。



松本のトーク手法・芸風は、
相手からギリギリの話題を引き出したり、
失礼・非常識と隣り合わせの強い言葉で笑いを取るのではなく、
他のタレントが思いつかないようなツッコミポイント》や、
《リスクの少ない茶化しやすいポイント》を見つけて笑いに変えたり、
同じことを言うにしても、《言葉の選び方》で面白くする。


ギリギリを攻める直球勝負ではなく
他のタレントには、ないような圧倒的な発想力・頭の回転・語彙力の豊富さによって、
【逃げ】ながら勝負する‘‘変化球‘‘的な手法‘‘である。


実際、
単に、頭の回転が早く、面白いことができる大物タレントというだけであれば、
「松本人志」以外にも存在する。


例えば、松本人志よりも上のランクで言えば、
吉本興業の先輩にしてテレビ界の重鎮
「明石家さんま」 が挙げられるだろう。
彼は、名実ともに最高峰のタレントだが、
その芸風は、「松本人志」のものと大きく異なっている。


「明石家さんま」 は、
トーク相手の矛盾点や、突っ込みどころをより掘り下げる質問をしたり、
話を途中で遮ったり、
相手を強い言葉でイジって笑いを取ったり、ブラックジョークのようなものを発することも多い。


一般的には、非常識であったり失礼になる行為であっても、それが、テレビだから許されるギリギリを突くのが彼の手法だ。
いわば、《一般的なバラエティー番組トーク手法・芸風》の最高峰と言えることができるだろう。


しかし、近年の彼は、インターネット上などで、批判に晒されることも少なくない。
というのも、ゲストの話を深めてトークするというスタイルであるがゆえに、
世代の考え方が色濃く反映され、現代の視聴者の感覚とズレることも少なくなくなったからである。

大物中の大物であり、その芸風やキャラクターが世間に知られている「明石家さんま」ですら、
時代錯誤や老害と罵られてしまう場面が増えているのである。

それほど、ギリギリのライン を【攻めて】《笑い》を取る〈従来のバラエティ番組トーク手法〉 は、
コンプライアンスや、多様性が重視される今の時代には、非常に相性が悪いのである。



“同期のライバル”

「とんねるず」と「松本人志」の違い

人気や実力はあるのに、

地上波テレビから「とんねるず」が消え
「松本人志」が健在な理由



また、「とんねるず」も、「松本人志」とは対照的である。
この二組は、キャリアや年齢が近く、‘‘西のダウンタウン・東のとんねるず‘‘と、
双璧的に言われるほどの、ともに大物のお笑いタレントである。


この二組については、本著の第6章にて、様々な比較を用いて詳しく解説していくが、
一見、これほど似ている彼らであっても、
【バラエティー番組においてのトークテクニック・芸風】は、全く真逆なものである。


「とんねるず」は、話の深さや、強い言葉で笑いを生む〈一般的なトーク手法・芸風〉 であり、その中でも、特に、リスクをいとわずギリギリを攻める過激派タイプだ。 


「明石家さんま」とは、少し異なる芸風であるが、
こういった〈一般的なトーク手法〉を使っていることは共通している。


特に、「とんねるず」の場合は、
企画内容やトーク内容も、パワハラ的なものやセクハラ的なもの、
危険な企画や悪ノリなどが多くみられ、それが、彼らの真骨頂でもある。


一方、「松本人志」は、
独自に開発した、《着眼点》や《言葉選び》といった【角度】でかわす【リスク回避テクニック】を使う。

このように、正反対のタイプである二組であるが、現在、置かれている状態においても正反対である。


2024年現在、件の休業騒動の前までは、
「松本人志」は、地上波テレビにおいて、
多数の人気レギュラー番組を抱え、引っ張りだこであったにもかかわらず、
「とんねるず」 は、自身の各番組の視聴率が振るわず、地上波テレビから姿を消してしまったのである。


1990年代から2000年代にかけて、
共にテレビ業界の大物MCとして活躍しながらも、
現在の境遇は、
まるで真逆なものとなっている。



「とんねるず」の人気は健在なのに、
テレビから消えた理由


 では、「とんねるず」 が、低迷した原因は、
彼らの実力がなくなったり、つまらなくなったからかと言われると、‘‘そうではない‘‘ 。


なぜなら、
「Amazonプライムビデオ」や、「Netflix」に代表されるような
「インターネットテレビ番組」
「ビデオオンデマンドサービスのオリジナル番組」
または、「YouTube」などネットメディアなど、
《地上波テレビ“以外”》においては、「とんねるず」  は、いまだ高い人気を誇っているからだ。


つまり、
「とんねるず」の番組の視聴率が低迷し、
「地上波テレビ」 から、姿を消した根本的な要因は、実力や需要が落ちたわけではないのだ。


その理由とは、
コンプライアンス重視、SNS時代の現代において、
放送ギリギリを狙う〈従来のバラエティー番組の手法〉で、
「地上波テレビのバラエティー番組」を作ろうとすると、様々な制限がかかり、中途半端でつまらないものになってしまうからだ。


こういった中で、
特に、過激さや、非常識さを売りにするタイプの「とんねるず」は、
その影響を大きく受けたのである。


テレビ業界のお約束を壊してきた
「とんねるず」 であっても、
テレビの世界にいる以上、
スポンサー・テレビ局からの要望や、圧力を無視することはできないのだ。


そのような状況の中では、
その本領を発揮できず、
番組は中途半端でつまらないものになってしまう。


「とんねるず」は、特に、
今の時代や、今のテレビ業界と、
相性が悪かったということなのである。 


〈どのような場面・時代〉にも対応できる《松本人志オリジナルのトーク術》は、
時代や、世代を超える力がある

これが 他のタレントと異なる



このように、「明石家さんま」「とんねるず」が批判を受けたり、テレビ出演を減らしたりしているのは、
単に、彼らの流行り廃りや、需要の低下によるものではなく、

今の時代に、従来のアウトとセーフのギリギリを攻める手法で、
数字の取れる、面白いテレビバラエティー番組を作ることが難しいことを如実に示しているのである。



もし、「松本人志」が、単に頭の回転・インパクトの強さ によって評価されているのであれば、

「明石家さんま」や「とんねるず」 も、同じように評価されているはずである。


テレビ業界において、
売れっ子たちの中でも、
「松本人志」‘‘だけ‘‘  が、特別な評価と影響力を有しているのは、

トークの《深さ・過激さ》で勝負をする
〈一般的なバラエティー番組制作手法〉〈一般的なタレントのトーク手法・芸風〉 とは一線を画し、

《着眼点・言葉選び》で、笑い・見せ場を作るという、
オリジナルの【唯一無二なトークテクニック・芸風】を有しているからなのである。


では、〈テレビ業界を変える〉ほど、
斬新で至高の芸をもつ「松本人志」によって、
【テレビ離れ・テレビ視聴率の低迷】が起こったというのは、
いったいどういうことなのだろうか



表現が難しい時代の「テレビ業界・バラエティー番組」にとって、
《【リスクを最小限】に抑えながら、【最大限の笑い・見せ場】》を作ることができる「松本人志のトーク手法・芸風」は、救世主と言えこそすれ、マイナスの要因になったとは考えづらい。


実際に、
松本人志の人気や実力は健在であるし、
彼に影響を受けて、お笑い芸人を志した後輩たちも非常に多く、カリスマ的な存在でもある。 

しかし、別の面から見れば、
この「松本人志」という偉大な天才によって、テレビの低迷が起こったとも言えるのだ。


それでは、なぜ、テレビを救ったはずの彼が、テレビの低迷の原因となり、

本著のタイトルの通り
【テレビ離れは、松本人志のせいだった!?】と言えるのかという、

本著の主題・核心に、
迫っていきたい。


続きは、《電子書籍版》でお楽しみください。


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