読書感想文嫌いが書く「読書“前”感想文」
読書感想文が嫌いだった
夏休みの宿題の「読書感想文」がとにかく嫌いでした。読書は好きな方で、乱読していて、1日1冊の時期もかなりあったのに。感想文は大嫌いでした。8月31日に泣きながら無理やりに原稿用紙を埋めた記憶しかありません。
読書“前”感想文とは。
長谷川翔一さんがnoteで書いてくれてます。字のまんまです。読む“前”に「なぜこの本を手に取ったか」を書く。それだけ。
やってみるか。
なんで読みたいと思ったか、くらいなら書けるかなと思いました。長谷川さんもそんなに長々と書いてるわけじゃないし。
図書館に行って、本を借りてきました。うつ病になって実家に帰っているのでおちおち物は増やせません。あと病気をするとなにかと物入りで…。さらにうつ病になってから本が読みづらくなって(集中力と思考力とやる気の低下)、どんな本でも読めるってわけでもなくなってしまった。そこで
①数打ちゃ当たる戦法で10冊
②10代向けとかの簡単そうな?本も交ぜる
という方針で借りてみました。全部読むのかは知らん。たぶん読み切れない(作者の方ごめんなさい)。そんな開き直りとともに、以下ご紹介します。
1.大串夏身 『レファレンスと図書館――ある図書館司書の日記』
好きなんですよ。図書館と本屋さんが。いっとき図書館司書になりたいなと思ったくらい。あとは大学時代図書館の司書さんにお世話になって「え、こんなに本気でありとあらゆる手を使って探してくれるの?!」って感動したのをふと思い出して。ゆっくり読んでみたいです。
2.木下衆 『家族はなぜ介護してしまうのか――認知症の社会学』
前から読みはじめてたので厳密には読書“前”じゃないんですけどね。
「介護“してしまう”」がポイント。介護サービス使ったって、結局何らかの形で家族は介護をすることになる。ゼロにはならない。サービスあるんだから大丈夫、とはならない。そういう話かなーと予想しています。
「はじめに」を開いたら「拾い読みで構いません」っていう見出しが目に入ったので、おーなんか研究書なのに優しいじゃん、珍しい。研究者以外にも読んでほしいんだなと伝わってきます。
3.小熊英二 『日本社会のしくみ――雇用・教育・福祉の歴史社会学』
新型コロナウイルスの報道を見ていて、感染拡大ももちろん情報としては気になるんですけど、各国の感染状況や対策がそれぞれ違うのが、これまで築いてきた文化や政策とリンクしているのが興味深いなと思っています。サブタイトルの「雇用・教育・福祉」が
雇用…経済対策どうする?(対策を通じて雇用をどう守る?)
教育…学校休校にする?その間の教育どうする?
福祉…医療保険制度そのまんま。医療崩壊どう防ぐ?
と、今の論点にがっちり合っているので借りてみました。
ただこの人の本「とにかく長い」&「注がめちゃめちゃ多い」で有名なんですよね…読めるのかな…今確かめたら601ページもあったのですでに諦めかけてます。
4.磯野真穂 『ダイエット幻想――やせること、愛されること』
Twitterでタイムラインによく流れてくるので。わたしがいいなと思う人がおすすめするってことはわたしに合うんじゃないだろうかという仮説。ダイエットはしたことがないけれど最近人生最高体重を更新してしまったのもあってなんとなく手にとりました。
5.菅野仁 『友だち幻想――人と人の〈つながり〉を考える』
方針②に従い、10代向けのコーナーから取ってきました。うつ病になってから、なんかいろんなことをまっさらにして考えようかな、という気分でして。「友だち」って公園デビューした瞬間くらいから死ぬまでつきまとうものだよなと。「人と人とのつながり」というすごく厄介なものを10代向けに社会学者がどう表現するのかにも興味あり。
6.立岩真也 『人間の条件――そんなものない』
これも10代向けのコーナーから。大学時代論文や本を読んでいるとよく出てくる人だったにもかかわらず、立岩さんの文章は読んだことがなかったなぁとパラパラするとなんか絵が割と書いてある。10代向けだから?
※増補新版が出ていたのでリンクはそちらを。借りたのは旧版です。
7.クリス・ユール&クリストファー・ソープ 『10代からの社会学図鑑』
大学の専攻が社会学だったんですけど、あの学問はやればやるほど学問の全体がよくわからなくなる。社会学をやったことが無い人から「社会学って何?」「社会学って何に役立つの?」といった素朴な質問を投げかけると悶絶します。何なら大学の先生たちも悶絶とまではいかないけれど、ゆっくり言葉を選んで話す(し、それがよくわからないことのほうが多い。先生ごめんなさい。)。10代にどう説明するんだろう?と興味深々です。わたくし。
8.信田さよ子 『カウンセラーは何を見ているか』
うつ病になってから、カウンセリング…は受けていないんですが、「カウンセラー」というものがなんだか気になる存在になりまして。本人すら見えていない“自分”を見ないと、アドバイスってできなそうだし。などと妄想しちゃっています。
9.信田さよ子 『傷つく人、傷つける人』
8の本の隣にあったので。目次を見て「あ…これは読んどいた方がいいな…」となりました。理由はお察しください。
10.お世話になった先生の新刊
タイトル明かすと身バレ一歩手前になるのでご容赦を。社会学のバリバリの研究書です。あとがきを見たら、わたしがちょうど先生の研究室にいた時期に取り組んだ研究だと。全然知らなかった。読んだら、当時つかみきれなかったあの先生の言葉の意味がより深くわかるだろうか。普段はどうしても冷徹に・批判的に読んでしまう研究書を、ゆっくり味わって読んでみようと思います。
読書感想文、好きになれるかもしれない。
思った以上にスラスラと書けました。楽しい(←あれ?)。「理由はお察しください」とか書いちゃってるし、どうなんだろう?と思わないでもないけど。
でも本来はそれでいいのだと思うのです。思いを端から端まで、一から十まで、伝えなきゃいけないんでしょうか。「テキトーな理由だ」と誰が決めつけることができるんでしょうか。
結局のところ、わたしが嫌いなのは
・「これを題材に」と強制された
・なんか“いいこと”を書かないとダメな気がする
・先生や知らん人(審査員)に勝手に評価される
「夏休みの宿題の」読書感想文なのかもしれません。
さて、貸出期限は2週間。読み切るんですかね。読み切れない前提で借りてきたけどなんかここで読みたい理由を書いたら読み切りたくなってきましたね。どうなることやら。
ちなみに本はぐーたら寝転んで読む派です。研究書だとそうもいかないけれど。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?