「雨つぶ 花つぶ 花散歩」 (桜と花びら)
髪を切る約束まで
は時間がある
遠回りして、歩こう
あいにくの天候も
小さな折り畳み傘を持って
春のはじめの路地を行く
路面は濡れて
湿った匂いの風が吹き
宝ものを探すみたいに
住宅街の小径に入る
コンビニのエスプレッソマシンで
淹れた珈琲を紙コップに落とした
花でも見ながら
ちょいと一杯だ
庭に桜の家は
意外と少なく
珈琲を片手に
折りたたみの傘
花のない路地を
雨粒のリズムで歩く
マンションの駐車場に
花びらを散らした自動車を
みつけた
ろめん
ほのかに
はなたまり
あまつぶ はなつぶ さんぽみち
さくらのみずたま
はなくるま
こはるにしみて
いらっしゃる
折りたたみの傘をしまい
ワンカップの珈琲を啜る
さあ
髪を切りに行こう
《スマホのメモより》
「金曜の晴れ間で世田谷の桜が満開になった。稽古がはじまる少し前の午前中にでも花見散歩に行けるかと画策していたが週末はなんだかんだと忙しく、そんなこともおいてけぼりになり
日曜日に暖かくなるから桜は散ってしまうだろうと思っていた。
ところが夜の冷え込みが花弁を引き締め、その姿を華やかなままに止留めていたのだ。
コンビニのエスプレッソ
プラスチック蓋の
四角い小窓から
熱気が込み上げる
淹れたての香ばしい
プラスチックの湯気を煽り
渋味と苦みのため息が
曲がり角に差し掛かる
一献の花散歩」
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