サンドイッチ屋を1ヶ月以内に始める。
デリバリーに特化したシェアキッチンを作る。そのためには、シェフに入ってもらえるような箱を作らなければいけない。そして、デリバリーに特化しているが故の我々の課題は、売れることを見せることである。だから、自分たちでデリバリーだけでも売れることを実証できる実験台を探すことにした。
と言っても、お金もかけられないし、ちまちま計画していたら、オープンする前に資金ショートで潰れてしまう。スタートアップにはそういう悪魔が潜んでいる。だから、1ヶ月で始めよう。そうメンバーには話した。
普通だったら、無理だよとなってしまうが、なぜかできるんじゃないかという勝手な自信があった。それは過去の経験にある。
このノートには書いていないが、飲食に関わるビジネスを始める前に銭湯を経営したことがあった。
片っ端から100件近くの電話と手紙を銭湯に送りつけて、経営させてもらえませんかーと営業回りし、ほとんど音沙汰なく無理かもと思っていた時に、銭湯の経営者を探す方をブログで見つめて、メンバーの一人が大晦日に話をしに行き、清掃からはじめて、その1ヶ月後に経営をさせてもらうことができた。
だから、同じことをすれば、すぐやらせてもらえるんじゃないかと。
しかも今回は幸運なことに、メンバーの一人が別の仕事で、一時休業しているカフェオーナーからカフェを貸りたい人を探してきてくれとの依頼を受けていたのだ。
これは絶好のチャンスとばかりに、オーナーと話して、我々に貸してもらうことになった。
立て続けに、場所だけでなく、もともとやっていたサンドイッチ屋ののれんを分けて、販売をさせてもらうこととなる。
条件として、
・レシピの改良はしない。そして、仕込みはオーナー側で人を派遣して、調理したものをこちら側で簡易的な挟む作業を行い、提供する。
というものが付いていたが、むしろ料理未経験の我々にとっては、全くもって問題なく、マーケティングだけに集中できるのでありがたかった。
最初のデリバリーはUberEATSに絞って行うこととした。まだ店舗がある上野地区ではそこまで流行っていなかったが、我々のマーケティングでやれば一番売れる店にできるだろう。そして、ダメだったらデリバリープラットフォームを増やして行けばいい。
そんな流れで話はトントン拍子で進み、1ヶ月後を目標に細かな作業が急ピッチで進められるのだった。
ただ振り返ると少し思うことがあった。
タイミングといい、条件といい、色々とラッキーだった。
いや、
ラッキーすぎやしないか。
やろうと思って普通に1ヶ月後に始められることなんてない。
これは我々のスピードがあったからと自画自賛することもできるがそれでも少し違和感がある。
待てよ。。
飲食店が3割も1年間で潰れる悲惨な状況があるということは裏を返せば、
その3割の居抜きがあり、このようにすぐ始められるのではないだろうか。
だとしたら、低コストですぐ始められる飲食店オーナーはいっぱいいて、小さな店舗でデリバリーに特化した店を彼らがやってしまえば、我々の店舗など必要ないのではないだろうか。
本当にラッキーだったのか、それともこれは当たり前の状況の一つを捕まえただけなのだろうか。。
そんな疑問が残りながらも作業は進んでいき、ウーバーの登録で少し手こずったものの、1ヶ月後の9月にはお店をオープンした。
デリバリー専門店「ヌンパンサンドイッチ」
https://crosstowncafe.site/
9月19日から営業開始。