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お漬物ラベルをデザインした話

去年とあるキッカケで、波片さんのお野菜を食べる機会をいただいた。

幸せを分けていただいた分、何か波片さんがホッと嬉しくなるような、
お返しはできないものかなあ

そう思うやいなや、波片さんのお野菜を使ったお漬物の試作に取り掛かっていた。
波片さんビックリするかな、喜んでくれるといいな、
小さな子がサプライズを仕掛ける時のようにワクワクが止まらなかった



「30代前後で、野菜不足に悩み、家事に仕事に忙しく、なかなか体を労るような料理をする時間も無い、多忙な女性」
というのが実は当初のペルソナ像だった。
趣味や職業まで事細かに設定して、仮にスーパーに陳列された時のことも考えてデザインした。手元に段ボール紙も偶然あったので、手提げ用の梱包も考えた。
あの時作ったあの子(ラベル)が、まさか数人のチームを組んでのプロジェクトになるとは思いもしなかった。



「今までのものを超えるデザインにしてほしい」
というのが波片さんからの、デザインをする上でのお願い事だった。
一部箔押しのラベルデザインがその時点で浮かんでいたのだけど、できれば箔押しは今回封印する方向になった。

「ウケやすい」印刷手法に頼らず、まずはデザインしてみてほしいとのことだった。

印刷は鮮明で箔押し、少しラベルの形も変えたりして、、、という私の当初の妄想は一旦置いておいておく。

今回のプロジェクトで波片さんが伝えたいものってなんだろう、
誰に、何を、どうやって、どういう経緯があって、どういう想いを持たれていて、、、来る日も来る日も波片さんと、農園に関わる全ての人のことと、野菜たちのことを考えていた。

文字通り寝ても覚めても、ずっと。病気か恋かわからないレベルで。

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(ラフの一部)



考える内に、このプロジェクト自身に流れる、熱量(生きる力というか)に気づいた。

土から葉脈を辿って力を蓄え、美味しい野菜になること。
大根を輪切りにした断面も、葉の付き方も。
このプロジェクト自体も。
種から野菜へ、野菜は波片さんの手から子ども達へ。
もしかしたら、次代を担う子ども達だけでなく、今の別の生産者へも繋がる試みかもしれない。
いろんな物が円に沿って循環し、大きくなってゆく。
なんて壮大で、尊い流れなんだろう。

その部分をデザインに落とし込もうと大軸を決めて、
まずは大根の葉を描き起こした。
最初は普通の線描きだったけど、線が繋がっていることにどうしても違和感があって、点描にすることにした。
人も野菜も何もかも小さな点の集まりで、それを突き動かしているのが熱量(生きる力)なんだよなあ、きっとと思いながら一心不乱に点を打ち続けた。
この時私は特に、ちょっとおかしいくらいに夢中だった。



このラベルにはもうひとつ、波片さんらしさを感じるモチーフを入れたかった。

その人らしさってどういう時に、どういうパーツに感じるだろうと思考の末、顔でもなく、背格好でもなく、
波片さんの手をモチーフに入れることにした。(力強いけど、とても優しい手をされてるんです

何パターンも手元を撮らせていただいて、イラストに起こした。
当初は種を指先でつまんでいるポーズだったけど、最終的には掌の上に種をのせた波片さんの手をデザインに使用した。

イラストが映えて印象に残るように、できるだけ他の要素は削ぎ落とす。

最後の最後、余白がイマイチしっくりこなくて、
何枚も俯瞰でデザインを試作した。
プロジェクトの他メンバーの意見も取り入れて、3cm四方のシンプルな正方形ラベルになった。


***


プロジェクトメンバーにデザインを見てもらうプレゼンの日、
私史上最高に可愛い子(ラベル)が出来たのもあり、相当興奮してしまった。
ちょっと変わった発言だったりも、メンバーはお互いに笑い飛ばした。
価値観の相違も、大きく包んでプロジェクトは進んでいった。


可愛い我が子をお客さんに引き渡す瞬間が、正直寂しい。
きっとお客さんの役に立つんだよ、元気でね、みたいな。

(作ってハイさよなら、ということではない


世界中が忙しなく、落ち着かない毎日が続くけれど
奮起して、

自分が出来ることは何かないか、
自分が出来ることで、誰かを幸せに出来ないか

を真剣に考え、大人達が手を取り合っている姿を、子ども達にも伝わってほしい。

都会であろうと、地方であろうと、
世界中がどんな状況であろうと、希望をもって行動すること。

その楽しさを芯から教えてくれた。

お漬物ラベルをデザインした話でした。

ちなみにこれは、新聞紙で包装する案。どこまでも「野菜」でいてほしかった私の親心のあらわれ。

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予約が、既に始まっています。
このプロジェクトの売上金は、学校給食用の野菜を育てる経費(タネや肥料など)に当てられます。詳しくはともみさんの記事へ。


お漬物のお問い合わせ・お申し込み等は「はがた農園」FBへどうぞ。


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