<前編> ワーキングメモリってなんだろう? 〜 日本テレビ 「世界一受けたい授業」 でのコメントを深掘り!
みなさまこんにちは。
HAPPY NEUROZINEの中の人です。
改めまして、このnote「HAPPY NEUROZINE」は、世界最先端の脳の研究を私たちの生活に応用しながら、人間をより深く理解しようと活動する会社 DAncing Einstein の広報 兼 脳のおもしろ情報を発信するメディアでございます。
以後お見知りおきを。
さて、
先日3月11日(土)は、
な、なななんと!
我々DAncing Einsteinの代表・青砥瑞人が、日本テレビ様のゴールデン番組「世界一受けたい授業」にちょこっとコメント出演させていただきました!!!
昨年9月に、ちょっとしたクイズ作問のお手伝い以来、二度目の出演。
視聴者のみなさま、番組関係者のみなみなさま、本当にありがとうございます。
今回は、番組冒頭の脳活性化クイズ「アハチェンジ」で、脳のワーキングメモリに関するコメントをさせていただきました。
ほんの数秒のコメントでしたので、もう少し詳しく知りたい!という方のために、青砥本人に詳しくインタビューしてきましたので、ご参考まで共有させていただきます♪
見ていない人のために、ざっくり 「アハチェンジ」
先日の放送は期間限定ですが、TVerさんで配信されています。
3/11放送 「世界一受けたい授業」 より
画面に映し出されたのは、女性と子どもが写った写真A。
写真Aをよ〜く見て覚えていただき、その後、グレーの画面が現れ、Aの一部分だけが変わった写真Bに切り替わります。
さぁ、どこが変わっているかわかりますか?
…というクイズだったのですが、スタジオのみなさんから「え!?」と声が上がるほど、意外と気付けないものなのです。
この現象について、番組内で、青砥から以下のコメントを出させていただきました。
…ん?
ワーキングメモリって?
それってどういうこと?
と、興味津々で見ていただいた方、ありがとうございます!
この1分程度のコメントに詰め込みきれないわたしたちの脳のしくみについて、絶賛勉強中・脳初心者のわたくしめが、改めて青砥に事情聴取を行いました!!!(人はそれを取材と言う…)
まずは準備体操
知的探究心旺盛な諸君。わたくしの乱文乱筆をお読みいただいていること、誠に感謝申し上げる。浅学なわたくしとともに、手を携えて、初歩から脳Learningしていただけると心強い。(もはや何キャラ…)
そして今、小難しいコメントを深掘りしていく前に、まずこれだけは言わせていただきたい。
「アハ体験」は素晴らしい!!!
以前青砥が「あおとのうと」で言っておりました。「アハ体験はめちゃくちゃ大事!」だと。
なので、脳Learningする大前提として、日常のアハ体験をいっぱい楽しんでくださいね♪わたくしも楽しんでAha!!っていきます!!!
と、青砥のインタビューに入る前に、番組でのコメントを再掲しておきますね!(自分の前説が長くてもう忘れた…)
「ワーキングメモリ」 とはなんぞや?
中の人:先日の「世界一受けたい授業」さんでのコメントについて、深掘りして聞いていきたいのですが。
青砥:はい、なんでもどうぞ。
中の人:そもそも、「ワーキングメモリ」(※1)という言葉自体ご存じない方も多いかと思うのです。番組のコメントでは、一時的に記憶を活動状態にする脳のしくみと仰っていましたが、具体的にどういうことなのでしょうか。
青砥:たとえば、今こうして僕らが会話しているとき、どうして会話が成り立つのでしょう?
中の人:うーん・・・瑞人さんの言ったことを頭の中でリフレインして、それに答えていますね。
青砥:そうそう。相手が言った内容を覚えているから、会話って成り立つよね。覚えていられなかったら、それに回答することもできない。ワーキングメモリとは、短期記憶のこと。つまり、短い時間の記憶を保持しておくしくみのことなんですよ。
中の人:なるほど。その短い記憶を保持しておける引き出しのようなものが、わたしたちの脳の中にあるということですか?
青砥:昔はそう考えられていましたね。誰かに言われたことや覚えようとするテキストなんかを、脳の中に短期的に保存しておける場所がありそうだぞ、と。それがもともとのワーキングメモリの概念でした。
中の人:今はちがうんですか?
青砥:今の神経科学では、一時的な記憶を保持しておく脳の部位が見つからなくて、そんな場所はないのではないかと言われ始めています。とはいえ、我々は確かに短期的に記憶を保持できている。これはいったいどういうしくみで成り立っているのか?そのベースには「長期記憶」が関与していることがわかってきています。(※2)(※3)
中の人:短期記憶に長期記憶が関係あるんですか?
青砥:短期記憶として脳の中にある情報を一定時間留めるためには、その留めようとしている情報が脳の中に、既に長期記憶として保存されている必要があるということなんです。
たとえば、「345421」。今の数字、言えますか?
中の人:えーっと、3、4、5、、、2?(笑)
青砥:はい、じゃあ、「nine five three two one two」は?
中の人:nine、five、three、two、one、two!(これは言えた!)
青砥:ね?今は短い数字の羅列だったけれど、だいたい「7±2」くらいの情報が我々の脳の中に一定時間保持されると言われていました。
でも、たとえばこれが、アラビア語で9つの数字の羅列を言ったとしたら?きっと、即座にリピートできなくなるよね。
中の人:それは…もはや呪文ですね。
青砥:呪文でしょ(笑)。我々日本人にとって、日本語はもちろん英語の数字も繰り返しやってきているから、記憶は保持できる。けれども、まったく知らない言語や聞いたこともないような単語、つまり、長期記憶になっていないものを言われても、我々の脳は短期間にも保持することができないのです。
もし脳のどこかに短期的に留めておく場所があるのだとしたら、それはアラビア語だろうが他の言語だろうが呪文だろうが、一定時間留めておけるはず。
中の人:7±2だったらどんなものでも覚えておけるのか?ということですね。
青砥:そう。すなわち、単に7±2の情報を留めていられるのではなくて、もともと強い記憶として持っているものに関しては、一定時間留めることができるということ。これを長期増強(Long Term Potentiation)(※4)と言うのだけれど、自分の内側に記憶として情報があるから、その神経細胞を一定時間アクティブ(活性化状態)にすることによって、その中で覚えておくことができるしくみなんですね。一方、もともと記憶として持っていないとアクティブにすらならないので、我々はすぐ忘れてしまいます。
これが従来のワーキングメモリの概念と、今の神経科学の研究におけるワーキングメモリの見解の違いで、その背景には長期記憶(Long Term Memory)があるようだ、というわけなんです。
中の人:なるほどなるほど!これは体感ですごく納得できます。(朝の英語ミーティングのときに1回で何を言ったか把握できないのは、わたくしめの英語の長期記憶が形成されていないということなんですね!トホホ…)
思いのほか長くなってしまったので次回に続く・・・
ワーキングメモリについての理解を深めたところで、コメントの本題、「変化に気づく」という脳のしくみ、そしてそれがわたしたちの「観察力」にどのように影響してくるのか、ということに迫ります。
その中で見えてきたのは、わたしたちの日常生活にも大きく関わるとっても大事な観点 ”人間のアテンション(注意)のしくみ” でした。
というわけで、次回!
<後編>ワーキングメモリってなんだろう? 〜 日本テレビ 「世界一受けたい授業」 でのコメントを深掘り!
に、続く!!!
(2023.3.23 更新)
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最後までお読みいただきありがとうございます。
後編もお楽しみに!
《脚注》
本記事では、短期的に記憶を保持できるワーキングメモリのしくみについて、神経科学の知見から詳しくお伝えさせていただきました。
文章中の脚注については、以下ご参照ください。