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【提案】ワインを「選ぶ」のはもうやめにしよう。

ワインへの習熟度にかかわらず、「今日はワインを飲むぞ!」とお店に向かったほぼ方のほぼ全員が直面する葛藤があります。

「いざワインコーナーに行っても、どのワインを選んでよいかわからない。」

これ、ワイン業界に身を置く立場としては見過ごせない問題です。が、、未だキラリと光る解決策は浮かんでいません。今日は、いっそのことワインを「選ぶ」のはもうやめよう、というお話です。

親切じゃないかも?ワイン業界

以前の記事で、「よりよいワインを選ぶコツ」と称してワインの写真を残しておくことをオススメしました。

例えば写真を見せながら「このワインが美味しかった」と言っていただければ近いワインをご案内することができますし、「このワインと比べて優しいワインを!」といったように相対音感的にでもリクエストを貰えれば、初めて試すワインでも要望から大きく逸れることなくご案内することができます。

当初は「良いこと書いたじゃん、自分!」と舞い上がっていたのですが、時間が経つにつれて、何だか親切じゃないこと書いちゃったな。と反省しています。

理由は2つ。

①「ワインの専門家がいるお店」でしか成立しないこと。

②ワインは「考えて選ぶもの」と無言の圧力をかけてしまったこと。

どちらも、「ワイン屋さん主導の構図」が浮き彫りなんですよね。同じお酒の世界でいうと、例えばビールって親切です。ビールを選ぶとき、皆さん良い意味であんまり考えずに選んでいませんか?「お!新商品!」とか、「期間限定パッケージ!これにしよう!」とか。

もちろん、価格もあると思います。350ml缶で200~300円なので、仮に好みと違っても許せるというか。何なら1,000円あればリスクヘッジで違う味を3種類は飲み比べできてしまいます。どれも美味しければ「違う味を楽しめた」とバリューにすらなります。

一方、ワインは通常サイズが750ml、アルコール度数が12~14%程度。そこそこのワインを選ぼうとなると最低でも予算が1,000~2,000円。

よほど資金力とアルコール耐性がある方ならまだしも、もし「好みと違うワイン」に出くわすと後半から地獄ですよね。余ったら料理に使うとしても限界があります。

ワインコーナーに潜む罠

そこで、解決への糸口を見出すべく、初心に帰りワインコーナーに行ってみることに。街では「大型」の部類に入るスーパーマーケットのお酒コーナーです。

取り扱っているワインの種類を数えてみたら、約30種類。ワイン屋さん目線だと、種類数は「圧倒的に少ない」と感じるわけですが、それでもなかなか選べないもので。

他の皆様も売り場のあちこちを行ったり来たりで、決めかねている様子でした。まさに「どのワインを選んでよいかわからない」状態です。

結局、私が手に取ったのはフランス産の白ワイン。選んだ理由は「セールで安くなっていたから」。

万が一失敗しても諦めが付きそう、というなんとも後ろ向きな理由です。ソムリエですらこの様です。

【提案】ワインを「選ぶ」のはもうやめにしよう

「ワイン選び=楽しい」の域まで達している方は、選ぶ時間すらも楽しみの一つでしょうから、じっくり選んでいただくのが良いと思います。ただ、今回の私のようにワイン売り場で眉間に皺を寄せる方の多くは、「よりよい一本を考えて選ばないといけない」という固定概念に捉われ過ぎているのかもしれません。

業界をフォローするわけではありませんが、昨今の日本のマーケットに流通しているワインは、正直なところ、どの銘柄を手にとっても「そこそこ美味しい」です。(今回もお店の一番目立つ場所にあったワインは1,000円程のカジュアルなワインですが、値段の割に十分美味しいワインです。)

ともすれば、労力を費やすべきポイントは「ワイン=よく分からないもの」を選ぶ時間ではなく、「手にしたワインをより美味しく飲むにはどうすればよいか」と工夫する時間かもしれません。

【今日からできます】ワインの温度に改善の余地あり

ワインの温度についてお話ししますね。

私は普段、ワインショップで働いていますが、お客様から頻繁にいただく質問の一つに「ワインの適温は?」というものがあります。(ビールならお店の人に聞くまでもなく、冷蔵庫でキンキンに冷やして飲むと思います。やっぱりワインはまだまだ市民権を得られていません。)

プロ目線でのベストアンサーは「銘柄によって変えましょう」なのですが、それはあくまでもワインを突き詰めたい方へのお返事です。「おうちワイン」でそこまで気を遣うのは正直疲れますし、細かいことを気にしすぎると大抵の場合、家族や恋人、一緒に飲む相手から鬱陶しがられます。

そこで、おすすめは「暖房が当たらない暗く涼しい場所での保管(1月~2月限定)」です。

一応の目安としてご紹介しますが、ワインの適温は白ワインで8~10度、赤ワインで14~16度程度でいわれます。が、ワインセラーでもお持ちでない限り、適温ドンピシャリを狙うことはほぼ不可能です。

ただ、この季節(1月~2月)に限っては家の中の一番涼しい場所がちょうど良い温度になり得るんですよね。ボトルを触ったら、ちょっとひんやりするくらい。

慣れてくれば、好みの温度になるように冷蔵庫や氷水を駆使したり、セラーの導入を検討、といった術を身に付けていけば良いと思いますが、まずはお店のおすすめを手に取ってみて、気軽にワインに触れてみて欲しいと思います。

できれば品揃えが頻繁に変わるお店の方が、ワインの鮮度が良く「ハズレを引く可能性」がうんと下がります。(←これは結構重要です。)ご参考まで!


というわけで、今日はいっそのことワインを「選ぶ」のはもうやめにしよう。というお話でした。ぜひ気軽にエンジョイワインしていただければと思います。

それでは、よい週末を!

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D.Yamamoto
自分のできることを少しずつ増やしていける1年間にしてみます!