算数授業と学級経営
授業と学級経営は両輪という話をよく聞きます。私も同じ立場です。授業こそが子どもを育てる学級経営につながると考えて日々子どもと接しています。そんな中で今年度私が意識して取り組んでいることを紹介します。
1 子どもと作る学習スキル
今年度から、私の勤める小学校では「学習スキル」を全学級で指導すると方針が出ました。「学習スキル」というと、「○○小聞き方スキル」など、すでにあった形式を子どもに指導することが想像されますが、私の学校では、クラスごとに決める形で取り入れられました。(これは、ある新潟県内の学校が行っている取り組みを参考にしたものです)
私は、学習スキルは「与えるもの」ではなく、「ためていくもの」という立場で指導をしています。具体的には、子どもが「例えば~」と言って説明した後に、「今の『例えば』って言い方分かりやすかったね!」と教師が価値づけることで他の子どもに説明の仕方を学ばせることで、ためていきます。また、友達の説明を聞く場合でも、うなづいていたり、話し手の方に体を向けている子どもを見つけ、「今の○○さんの話の聞き方、とても真剣に聞いていることが伝わってきたよ!」と価値づけることで、他の子どもも真似しようとします。そうやって子どもの素敵な姿を価値づけ、教室の文化にすることで「学習スキル」が身についていくと考えます。
また、次のように目に見える形で掲示するとさらにいいと教えてもらい、教室掲示にも子どもの良い姿をためていってます。
さらに、子どもが数学的な見方・考え方を働かせた際にも、それを価値づけ、掲示しています。
子どもは生活経験や、今までの学年での経験から、話し方・聞き方・考え方等を身に付けています。なので、その部分を素直に発揮させることで子どもが型にはまるというわけではなく、ある程度自然体で授業に臨めるのではないかと感じています。
この取り組みをする上で、次の2つのことを意識しながら指導しています。
1つ目は、「2人目をほめる」ということです。1人いい姿を見せただけでは、教室の文化にはなりません。ですが、教師が価値づけることで、同じようなことをする子どもが現れます。そのときを逃さず見つけ、ほめまくることで、教室に広がっていくと思います。
2つ目は、「しつこく指導する」ことです。これは先輩から教わったことですが、子どもは教師が指導しなくなると途端に気を緩めます。なので、話の聞き方ひとつとっても、毎時間子どものいい姿を見つけ、価値づけようと思いながら指導しています。
まだまだ指導不足なところはありますが、今後も子どものいい姿を見つけ、教室の文化にしていくつもりです。
2 分からない子どもにみんなで寄り添う
クラスの中で学力の差は当然あります。今年担当しているクラスは特に顕著に学力差があるため、すぐ理解する子どもとゆっくりな子とで、差が生まれています。
5年生「小数×少数」の学習で、次のような筆算の問題を行いました。
この問題では積の小数点が3けた動きます。
ここで、ある子が首をかしげていました。私が、「どうしたの?」と聞くと、「なんで小数点が3つも動くのかわからない。」と答えました。その子の疑問を全員に返すと、「説明できる!」と言う子どもがいたので、その子に話をさせました。
子どもは小数点が3つ動く理由を、÷1000をするということと関連させて説明しました。すると、「ちょっと分かった!」といった後に、「でもなんで÷1000になるのかわからない」と新たな疑問を言いました。すると、「説明できる!」と言い、別の子どもが話を始めました。
式変形の考え方を基に説明しました。
「5.26を×100して、と4.8を×10して、合わせて×1000するから、最後に÷1000で元に戻さなければいけないんだよ。」
この説明で「分かった!」と納得した様子でした。
このような時に、疑問を言った子どもや説明した子どもを価値づけ、みんなで学ぶことの良さを伝えるようにしています。
この授業の後には、疑問を言った子が、「先生、分かってよかったよ。」と話をしてくれました。また、「分かってよかったね!」と声をかける友達もいて、とてもいい雰囲気でした。このような分からない子どもに寄り添うことのできる授業を今後も目指していきたいと思っています。
日々意識していることは、「分からないことを言える雰囲気づくり」です(まだまだですが・・・)。理解がゆっくりな子どもが「分からない」と言えることで、他の子どもの学びにもつながります。また、感覚的な話ですが、その子どもの「分からなさ」は算数の本質へとつながる問いの場合が多いように感じます。そして、「分からない」と言っている友達を納得させたいという子どもが増えれば、学級の雰囲気も良くなります。そういった子どもの人間性を算数を通して育てていくを意識して、今後も授業に取り組みたいと感じます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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