志田倫明先生、瀧ケ平悠史先生の話から
先日、板書サークルでのZOOMの定例会に、志田倫明先生、瀧ケ平悠史先生を講師としてお招きし、学ぶ機会をいただきました。(それぞれ別日に開催)
志田倫明先生
志田先生の話は、いつも自分の教育観に影響を与えてくれます。大きく2点に絞って書きます。
・授業中子どものどこを見る?
授業中に子どものどんな姿を見るか、という問いに対し、志田先生は「子どもの変化を見る」とお答えいただきました。子どもが「ん?何か変だ」と感じて問いを持つ姿や、「あ~そうか!」と納得する姿を見逃さずにいることを意識することが大切なんだと解釈しました。私も他の先生に授業を参観していただいた際に、「○○さんはまだ納得していなかったよ」とご指導いただいたこともあり、一人一人の子どもの様子をさらに良く見る必要があると感じました。
・学校で学ぶことの意義
現在は、タブレット端末などの機器が発達していて、「知識・理解」など個別具体的な内容はオンライン学習でもできてしまいます。しかし、教科の本質は学校でしか学ぶことができないものです。
志田先生から、算数の教科の本質とは「違いを明らかにし、同じを見出すこと」であると教えていただきました。この考えにすごく納得しました。振り返ると、友達の考えや、既習事項との相違点を明らかにし、共通点を見出すことは自分も何気なく行っていました。しかし、教科の本質として意識して指導はしておらず、板書にも意図的に残しておくことが必要だと感じました。
そして、最も印象に残った言葉は、「自分のキャラクターにあったものを徹底的にやりきる」ということです。”自分のキャラクターにあう”という点がすごく新鮮でした。おそらく志田先生も様々な価値観に触れる機会があったと思いますが、その中から自分のキャラクターにあったものを取捨選択し、今の考えに至っているんだと思います。私も、自分のキャラクターにあった指導方法を考え、徹底的にやりきろうと思います。私の教育観が更新された瞬間でした。
瀧ケ平悠史先生
実は、明治図書の「対話の本」を読んで以来、ファンになっていた先生でした。まさかこんな貴重な機会をいただけるとは・・・。お話が聞けてすごくうれしかったです。瀧ケ平先生の話を聞いて感じたことは、実践に理論の裏付けがあるということです。一つ一つの話が刺激的でしたが、3点に絞って書かせていただきます。
・「どう思うか?」を大切に授業をする
瀧ケ平先生は、子ども一人一人が「どう思うか?」を大切にされて授業していると話していました。正解か・不正解かではなく、自分はその考えに対してどう思うかを子ども一人一人に考えさせ、学びを深めていくことが必要だと感じました。また、その一人一人の考え方を大切にする点は、学級経営でも生かされていると教えていただき、互いに尊重できる子ども達に育てることのできる視点を得ることができました。
・聴くことを徹底的に指導する
私が、「子ども達が対話するために、どのような指導が必要ですか?」と質問したところ、瀧ケ平先生は、話すことの指導よりも、聴くことの指導が大切であると教えていただきました。これは、自分の指導観を大きく見直す一言でした。私は今まで、子ども達に話をさせたいあまり、話すことの大切さを授業で意識していましたが、聴く指導についてはおろそかでした。「子どもが友達の話をよく聴くことで、友達の発言の意図を汲んで発言する子どもに育ち、それが対話の質を高めることにつながる」。そんな対話への近道を自分は意識していなかったことをとても反省しました。今回の瀧ケ平先生の話から、子ども達に「聴く」指導を徹底して行おうと感じました。
・教師の役割とは?
ある先生が瀧ケ平先生に「スランプはありましたか?」と質問されました。すると、「深きにはまって抜け出せない時期があった」と答えられ、教師の役割を見つめ直したことがあったそうです。
授業中において教師の役割とは何か、様々な立場があると思います。今回、瀧ケ平先生は「教師がかかわるときは、がっちりかかわる」とお答えいただきました。どうしても私たちは、「教師が入りすぎてはいけない」という意識から、子どもに全て任せようと思いがちですが、瀧ケ平先生のお話から、関わるべきところはしっかり関わらなければいけないと話があり、私自身少し安心したところがありました。
今回、瀧ケ平先生の話を聴いた後、改めて次の本を読み返しました。
直接お話を聴いた後だと、つながる点がたくさんあり、以前読んだ時よりもすっと自分の中に入りました。改めて、素敵な本だと感じます。
2人の先生の話に共通していた点
今回、志田先生と瀧ケ平先生から学んだことを書きましたが、2人先生が共通して大切にしている点もありました。
・教師が誤答に寄り添う
2人とも、子どもの出した誤答にこそ、本質があるとお話されました。
志田先生は、「解釈と修正」という視点から、瀧ケ平先生は、「弁証法型アーギュメンテーション」という視点から、誤答に寄り添い、学びを深めることの大切さを教えていただきました。「子どもの誤答を大切にする」ことを具体的に実践を交えてお話しいただけたので、すぐに自分の授業に取り入れようと思います。
・子どもが動き出すための工夫
子どもが自ら動き出すために、どうすればいいか。自分自身も悩んでいます。志田先生は「余地を残す」ことで、子どもが動き出すようにしているとお話されました。例えば、水泳の持ち物が10個あったら、1個だけ伝えるなど(少し極端すぎかもしれませんが)、条件を不足させることで、子どもが自分たちで考え、動き出すことにつながると教えていただきました。
また、瀧ケ平先生は、「子どもが問題に働きかけられるすき間を作る」とお話されました。授業の様子を少し動画で見させていただきましたが、問題提示の際のやり取りで、すでに子どもが動き出していることに驚きました。条件が少ない問題であったり(不足の事態)、どんなに考えても解けない問題であったり(不測の事態)、子どもが問題に対して様々なことを言える「すき間」が必要であることが分かりました。
自分自身授業で「うまくいかなかったな~」と感じたときは、問題提示の段階で子ども達が場面をイメージできていないことが多かったです。今回の話から、問題提示の仕方をさらに工夫したいと思います。
新潟と北海道とで離れていますが、志田先生と瀧ケ平先生はとても仲が良いそうです。2人の先生からこれからもさらにたくさんのことを学びたい、そんなことを強く感じました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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