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「沈殿」2025年1月30日の日記

九月の半ば、廊下に呼び出されて、担任の先生に言われた。

「あなただけよ、まだ読書感想文を出していないのは」

その言葉が耳に届いた瞬間、教室のざわめきがすうっと消えて、自分の心臓の音が聴こえてきた。宿題の存在を聞かされた覚えはまるでなかった。ぼんやり立っていると、目の前の先生の唇が、何かを話し続けているらしいのに、声が聞こえなかった。

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