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コラム・エッセイ「特筆すべき点P」(無料)

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脈絡のない思いつきを長々と書いているシリーズです。
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2019年7月の記事一覧

弟子入り

「僕を、弟子にしてください」 「うちは弟子を取っていないんだよ」 「先生の作品を見て、僕にはこの道しかないと確信したんです。お願いします!」 「ダメなものはダメだ。帰ってくれ」 「弟子にしてくれるまで、僕はここを一歩も動きません」 「何を言っているんだキミは。帰ってくれ」 「これが僕の本気です」 「聞き入れられるまで嫌がらせするということか。そういうの本当に迷惑だからやめてほしい。帰ってくれ」 「ちがいます。嫌がらせではなく、ここをテコでも動かないことによって

映画『カニバ / パリ人肉事件38年目の真実』

 知人に誘われてドキュメント映画を観に行った。 『カニバ / パリ人肉事件38年目の真実』パリ人肉事件で知られる佐川一政の密着取材映像だ。1981年、フランス留学中だった佐川一政はオランダ人女性を殺害して肉体の一部を食べた。心神喪失と判断され不起訴になって以降、佐川は有名人となる。  帰国後は小説やマンガの執筆、タレント活動、マニアAVの出演などで稼いで生活していたが2000年頃から仕事は途絶え、ここ数年で脳梗塞を患い、弟に介護されて暮らしている。現在、70歳。 『パリ

コカ・コーラ クリアライム味

透明なコーラが売っていた。クリアライム味らしい。 さっそく飲んでみよう。しかし、コーラといえばあの黒い色がスタンダードだ。それを透明にしてしまっても大丈夫なのだろうか。そんな不安がよぎる。 いやむしろ、全く同じ味だったときのほうが不安ではないか。 もしも透明なコーラを飲んで、それがいつものコーラそのものだったとしたら。 あの黒さはいったいなんだったのか、という話になってくるではないか。 冷静に考えて、黒くてシュワシュワする液体が広く受け入れられている現状は異様だ

昭和6年7月号の「少年倶楽部」を読む

  本当に古そうな本が古書店に売っていたので買ってしまった。 『少年倶楽部』昭和6年(1931年)の7月号(復刻版) 表紙がいい。子どもの三島由紀夫みたいな少年が凛々しい顔でスターティングポジションについている。こんな表紙だけどめちゃくちゃ売れてたらしい。 『少年倶楽部』は大正3年(1914年)から昭和37年(1962年)まで発行されていた、10代前半の少年向け雑誌だ。愛称は「少倶(しょうく)」だ。別マと同じ構造だな。 これは1931年発行の号なので、このころの中心読