競馬をスポーツビジネスの観点から見る。実は右肩上がりの市場の #川崎競馬
川崎競馬の2017年度の売上高が680億8900万円となり、これはバブル経済期の1990年度の664億円を上回る売上高を叩き出しました。
世の流れを見れば、中央競馬はオグリキャップやナリタブライアンなどのスターホースが生まれにくくなり、入場数が減少傾向となっている中、地方競馬である川崎競馬はいかにして生まれ変わったのでしょうか?
まずは、川崎競馬の売上高構成比を見てみましょう。
川崎競馬の売上高構成
まずは2016年度だけの単年会計をみてみます。
全体としての売上高は632億円で、その半分以上を在宅投票で占めています。中でもSPAT4というインターネット上で競馬馬券を購入することができるシステムを利用されています(SPAT4は、こちらを参照)
翌年度予算のグラフがわかりやすいですが、公営ギャンブルであることから当然ではありますが、その他のスポーツとは異なり、如何にベッティングによる収益が高いかが理解できます。
在宅投票での売上高が半分ちょい、依頼場外での売上高が3割程度、でほとんどを占めています。依頼場外とは開催競馬以外の場所で、例えば川崎競馬の馬券が大井競馬場近くで購入できるようなことを指します。
売上高は単年で見るよりも、その推移をみて見るとわかりやすいです。
売上高推移から見る川崎競馬
3年間の売上高推移は以下となっています。
売上高自体が大きく右肩上がりとなっており、その多くがやはり在宅投票の伸びが支えていることがわかりますが、その他の指標も全て増加していることがわかります。これを支えるものは景気が良いことも重要な要素なのですが、スポーツビジネスの基本が抑えられているのです。
まずは兎にも角にも魅力ある競馬作りの視聴総数を増やすことですが、競馬の場合、それは馬主オーナーへのインセンティブと視聴者へのインセンティブの2つを意識することがより重要なのです。
魅力ある競馬作りの秘訣
競馬が賭け事として成立するのは、魅力ある競馬だからこそ、その馬に金銭を賭けて日頃の労働を短い時間でも忘れることができることが基本的考え方です。その競馬番組に熱中できなければ、事業として成立しないどころか、公営ギャンブルとして認められた市民生活の営みを支える基盤が揺らいでしまいます。
競馬を魅力たらしめるものは何なのでしょうか。川崎競馬の取り組みの一部をご紹介いたします。
まずは兎にも角にも、馬主であるオーナーへのインセンティブ増加です。早い話が、賞金額の引き上げです。2018年度予算で42億円で、前年比で3億2000万円の増加をし、2017年度でも7000万円賞金を増加し、オーナーの努力によりきちんと馬主業で儲かる仕組みを揃えて、優秀な馬を増加させる仕組みを用意しています(それでも馬主業単体で利益を出すことは難しいんですけど、それは別記事ででも。馬主業は種付馬としての理由付けも大きく関連していて面白いのです)。
特に2018年度では、戸塚記念、ロジータ記念、クラウンカップなどの重賞競走の賞金を手厚くするほか、新馬戦の賞金を引き上げ、馬主のインセンティブを上手く設定されています。
続いて、更に多彩な馬主オーナーへのインセンティブ設計を行なっています。競馬という産業が今後どうやって発展していくか、分析していきます。馬主だけでなく、視聴者へのおもてなしがいかように作られているか。ここでもインターネット活用が重要になってきています。
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・馬主へのインセンティブ設計の仕方
賞金額総額を兎にも角にも増やすこと
賞金分配方式の変更
長距離レースの増加など、多彩な馬の活躍手段の用意
馬主増加のためのマーケティング活動
・視聴者への魅力作りの秘訣
面白い切り口でのレース作り
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