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運命を切り開け!ストーンオーシャン感想ッ!!

 こんにちは、愛倫です。今回は60歳の誕生日を迎えた荒木先生の凄みに迫るべく最近読み終えた『ストーンオーシャン』の感想を書こうと思います。

それではどうぞ。

サムネは遊戯王カード「チェンジ・デステニー」にしました。

はじめに

ふたりの双子がいた。
『ひとりの青年は絶望し運命を克服しようと奔走した』
『もうひとりの青年は一度は絶望するも仲間とともに運命を切り開いた』

 ストーンオーシャンを読み進めていくと物語終盤に似た能力(自由人の狂想曲、アンダーワールド)が登場します。どれも「決定された運命」がテーマで、運命を相手に強制します。物語のストーリー通りの結末を迎えたり、過去にその土地で起きた出来事を再現したりします。つまりバットエンドや不幸な出来事を相手に強制する訳です。その究極がメイドインヘブン、時の加速により世界が一周し前の世界で体験したことが必然と起こるというもの。第5部の黄金の風で言うところの「眠れる奴隷」、彫刻家曰く「我々はみな『運命』の奴隷なんだ」 。自分の運命を受け入れて安楽死した方が楽だと言います。第6部ストーンオーシャンではそういった決定された運命、必然をキャラクター達がどう切り抜けるかが描かれています。

逆手にとれ

 そこでキャラクター達がこの決定された運命をどう切り抜けていったかを確認してもらいたい。そしてそれらの行動に共通するのが「逆手にとる」ということだ。各能力を逆手に取って勝利したのがわかるだろう。ボヘミアンラプソディ戦ではストーリー通り起きることを逆手に取ったしアンダーワールド戦では過去にその事実が起きたならその別の事柄が起きても死ぬことはないと逆手に取りました。そしてラスト、メイドインヘブン戦では自分(プッチ神父)以外の行動が決定されていることを逆手に取りました。圧巻ッ。

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細かい出来事は違っても運命は決して変えられない...............
起こるべくして起こる必然なのだッ!
わたし以外はな......

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運命は決まっていて変えられない......
......のなら.........
おまえに変えてもらう事にしたよ......
おまえの腕が入口のスキ間でぼくの頭に押し込んだんだ
『ストーンオーシャン17巻』

さらに思い返せば黄金の風で「眠れる奴隷」主義者である彫刻家のローリングストーンズから逃れるためにミスタが石に自分の顔が刻まれていないから自分が飛び降りても死ぬことはないだろうと「逆手に取って」アパートから投身しました。

 では「逆手に取る」とはどういう事か?weblio辞書にはこうあります。

「機転を利かせて不利な状況を活かすこと。相手の責め立てを逆に反論・反撃に利用する。」

つまり相手の能力、パワーをも活かしてその場を切り抜けると言うことです。

 剣道にすりあげ技というのがあります。相手の面打ちに対して竹刀を当てて振り下ろしてくる力を利用して相手よりも早く面を打つというものです。まさにそれに当たると思います。多分。剣道そんなに詳しくないんや。一級所持。初段落ちw

 では逆手にとる(=運命を切り開く)原動力とは何なのでしょう?

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『ストーンオーシャン8巻』
『ひとりの囚人は壁を見ていた』
『もうひとりの囚人は鉄格子からのぞく星を見ていた』
あたしはどっちだ?
もちろんあたしは星を見るわ…父に会うまで……
星の光をみていたい。

持ち前の明るさなのでしょうか?

「絶望」に対する「希望」、プッチ神父に対する徐倫一行。徐倫達とプッチ神父の違いとは?プッチ神父にとってその部下はあくまで駒であって自分を押し上げるために存在するものです。対して徐倫達はそれぞれが思いを馳せて(プッチ神父を倒したい徐倫、娘を守りたい承太郎、徐倫に求婚するアナスイ等...)プッチ神父に挑みます。音楽に例えるとソリストのために存在する楽曲、互いに違う音を出して高低差から生み出されるハーモニーを奏でる楽曲です。偉大な作曲家が晩年書いた曲、モーツァルトのレクイエムやべートーベンの第九が合唱曲であることもこういう要因があると思います。つまり生涯において何かしら絶望した時に希望を見出せるのは交響曲や合唱曲だと考えたのかもしれませんね。話が纏まんなくなってきたぞ...

あくまで自由だ

リキエル戦後以下のページが存在します。

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『ストーンオーシャン13巻』ラスト
彼らもまたあくまで自由だ...
太古の昔より...
そしてこれからも...

プッチ神父のように

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「覚悟した者」は「幸福」であるッ!

と自分の価値観を押し付けるなと言いたかったのでしょう。余計なお節介はやめろという訳です。

そしてこの自分の価値観を強要するキャラクター性は黄金の風の「眠れる奴隷」主義の彫刻家にも通じます。この時点でストーンオーシャンの方向性が決まっていたとは...荒木飛呂彦恐るべし。

ウェザーは救われた?

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『ストーンオーシャン16巻』

「運命」という言葉があります。「運命」的な出会い、「宿命」のライバルなんて使われ方してます。中には納得出来ない運命もあるでしょう。ウェザーがその例で、赤ん坊のスリカエによって別の家庭で育ち実の妹と愛しあってしまいそれを知った兄のプッチ神父が“無理に”別れさせようとします。結果妹のペレナを失ってしまいます。プッチ神父はウェザーを「呪われている」と表現します。このように納得のいかない「運命」を背負った人間に救いはあるのでしょう?

 ひとつ言えることはウェザーは最期自分のスタンド能力をDISCにして仲間の徐倫達に託します。これはジョジョを読んでる方にとってはキャラクターの典型的最期だと思います。第1部で波紋をジョースターに託したツェペリ男爵然り矢をジョルノに託したブチャラティ達然り。どのキャラクターも幸福に満ち満ちていますよね。しかもホワイトスネイクの能力を「逆手に取って」。ウェザーは最期徐倫達と同じ様に運命を切り開いたのだと思います。

おわりに

 いかがでしたでしょうか?高い評価を受けているわけではないストーンオーシャンですが個人的にはジョジョシリーズの中で一番好きです。何より徐倫ちゃんがかわいい、いろんなトコ触ってみたいです。好きなシーンはミラション戦でボールぶつけて「キャッチボール続けようぜ」と言い放ったところ。もう一つはシームーンに裏返しにされそうになったところで「表裏がなければ裏返えらない」という発想でメビウスの輪を描いたところです。

ふたりの双子がいた。
『ひとりの青年は絶望し運命を克服しようと奔走した』
『もうひとりの青年は一度は絶望するも仲間とともに運命を切り開いた』
あたしはどっちだ?
もちろんあたしは運命を切り開くわ...生きてる限り......
運命を切り開いてみたい。

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それではまた会いましょう。

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