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日本人をダメにする「一意専心」の呪い

この記事の見出し、正直言って意味が分からなかった。

裏切り者扱い」ってなんで?全く意味が分からない。
何をどう考えたらそういう発想になるんだろう?

だが記事を読むと、どうやら日本の組織における学びなおしとは
「転職や異動を考えている、出し抜こうとしていると思われそう」といった「裏切り者」扱いへの懸念
「社員本人の成長より(今いる)組織にとって役に立つかどうかでしか価値を認められない」
「大学を出たら学ぶのは終わり」
「『そんな暇があったら仕事をしろ』と言われそう」
といった見られ方なんだそうな。
だからそう思われる、言われるのがイヤだから学んでいることを公言しない、ということらしい。

これじゃ日本が発展しない、というか30年かけて没落してきたわけだわ。

会社を、同僚を「裏切る」ってなに?
どうして自分という人間個人の幸福や成長まで他人に干渉されなきゃならない?

一つの職場・組織へのコミットしか許さない、一つの事にしか集中しない・させない。
人の興味関心も価値観もさまざまだということ、常に変わりうるという発想を持たない・もたせない。
人も、組織も、何も考えず・考えさせず機械的に毎日をやり過ごしてきた結果が、このありさまだというわけだ。

ひとつの集団に忠誠を。
よけいなことに気を取られず、一つの道を邁進する。

言っちゃなんだけど、こういう考え方が個としての日本人をダメにしてきたと思ってる。
そして多くの日本人が大好きな「一体感」「連帯感」「絆」なんて言葉も、胡散臭いを通り越してできれば遠ざけたい。

わき目も振らず一つの物事に専念する、ということを必要以上に美徳にしたがるのも日本人に多い。むかし若乃花の大関襲名披露で「一意専心」なんていう言葉が話題になったけど、あの言葉に共感している時点でもうその人を残念な人認定したくなる。

別に、一つのことに集中してそれに専念すること自体は良いことだとは思う。それはそれで一つの価値観として尊重はするけど、それだけを社会全体で良しとする風潮には全力で抵抗したい。
そんな息苦しい生き方ができるのは、若貴とかイチローとか大谷とかすきやばし次郎さんとかごく一握りの超一流を目指すと決めた人だけ。

圧倒的大勢の凡人たるわれわれは、いつも迷うし立ち止まるし、諦めてばかりだし気が変わってばかり。
一つの物事を頑張りたいと思って取り組むこともある。
一方で、頑張ると決めたものの、実際やってみると、なんか違う、と感じることも。まあ物事なんて何でもそう。自分に何が向いているか、何が得意か、自分に続けられそうなのは何かなんて、やってからでないとわからない。
もちろん、ちょっとやっただけで何でもすぐ諦めてホイホイ放り出してしまうのも良くないけど、自分に納得のいく人生を模索し、新しい学びを求めることは別に現代に限定せず、人間の普遍的な欲求ではないのだろうか。

ちなみに個人的には、一部の新自由主義者が唱えているような解雇規制緩和には強く反対の立場です。

そう考えると、一つの組織を出て違う世界を知ることを「裏切り」だの、同時並行でいろいろなことをするのを「ふらふらしている」だのと難癖をつけて足を引っ張ることが、どれだけその人の未来と人権を侵害しているか、どれだけ日本社会の凋落をもたらしているかということを、われわれ働く人はもっと意識しないとマズいと思うのだが。

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