朗読劇 ちひさきもののうた 発表公演
大阪ガスpresents「histoire」朗読劇 ちひさきもののうた 発表公演
奈良県立図書情報館
結論から言ってしまいましょう。
楽しかったです。
なんだか「シロウト」みたいな感想ですね。
仮にも30年お芝居やってきた人間の言葉としては、どうなんでしょう・・・。
その一方で、30年続けてきた結論として、「楽しかった」という言葉・考え方・感じ方はとても大切なことだとも、今思っています。
そういう意味で、「楽しかった」という言葉を遣います。
なぜ「楽しかった」のかな。
旧知のメンバー、多くは僕にとっての先輩に当たる方々ですが、お元気な姿を拝見できた、という理由もあります。
でもそれと同じくらい、出てらっしゃる方々が「楽しそう」に見えたというのが大きかったかと。
その旧知のメンバーと一緒に出演されていた方々は、ほぼ初舞台という「素人(経験がない、くらいの意味です)さん」の皆さんだそうで。僕の先輩に当たる方々(経験豊富で、褒め言葉として「ヒキョー」な方々)はごく少数、主に演出部として「素人さん」の皆さんのサポートをされています。
経験値のこれだけ違う方々が、とてもいいバランスで「融け合ってる」。
技術的なことはここであまり言う必要はないのかもしれませんが、朗読劇でおそらく一番大事な「声の方向」や「距離」、何より「何を見てどう思ってしゃべったか」、こういったことが「素人」と表現するのが憚られるほどクリアに見える。
特に冒頭で目の前に広がる野原を語るやりとりがあるんですが、こちらの目にちゃんとその光景が見える。
すげえ。
と思いました。
光景が見えれば、「楽しい」んですよ。
その光景が喜ぶべきものであろうが悲しむべきものであろうが。
より正確に言えば「心を動かされる」というべきかもしれませんね。
あらためて、すげえ。
と思いました。
小栗さんの脚本が優しいというのもとっても大きい。
決して易しい脚本だとは思いませんが、登場人物に対しても、演者に対しても、絶対に置いてけぼりにしない。寄り添ってくれる。
たぶん、ですが、出演された皆さんにもそのことが解ったんじゃないかな。
「みんなでいっしょに創り上げる。」
朗読劇ですから「声」の視点で申し上げれば、皆さんの声が、向けられる対象:共演者の存在をきっちり認識して、信頼している色合いが感じられました。
だれも蹴落とさない脚本だったから、なおのことこの結束感が感じられたのかな。
そのことも「楽しさ」の大きな要素です。
私事なんですが、体調的なこともあって、来年1月の舞台でしばらく、無期限に演劇活動を休もうかと思ってました。
このところ少し復調してきたのと、今日これを拝見できたのとで。
お休みはしようと思いますが、還ってこようとも思えました。
たぶん僕も少し楽しくなれたんだと思います。
そんなことを感じさせてもらいました。
「素人」なんて言っちゃってごめんなさい。
少なくとも僕の心を揺さぶってくれたんですから、皆さんはプロフェッショナルです。
いいものを聴かせていただきました。
ありがとうございます。