タマタ マウさんの日常

どうぞ お先に行ってくださいませ
たまたま
ぼくが近所へ立ち寄ったとき
家主の死に目にめぐり合わせられた
看取りの苦労だなんて 聞きたくないのに
ただの時間がすぎて
それは不運

どうぞ お先に行かせてくださいな
たまたまの たまたま
階段を上ったその先
百円札が落ちていた
いきなり臨時収入があって
贅沢できる幸運

幸運と
不運
天秤にかけてみれば
そしたらば ぼくの人生はちょっと 不運に
であろうそれは
誰か幸運があるから

たまたまの たまたま
誰かの人生はきっとどちらにかたむく
それがたまたまの たまたま

                                                                               byタマタ マウ

800年、幼い頃から苦労してきた、タマタマウという青年。しかしこの詩を読んだ翌年、素敵な女性と結婚し、そのときに自分は幸運の多い人だと気付く。そしてたまたまのたまたま、それもたまたまであることに気付く。最後のとき、最愛の息子たちに囲まれたときにこの人生もたまたまだったこか、と「たまたまのたまたま」もたまたまだで、さらにそれもまたたまたまであると悟った。それもまた、たまたまの悟りで。

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