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頭のなかに響く声と、その拝聴の儀。

「明日は出勤しなくてもいいかもしれません」、伝えておきたかった。
その日、会社に着くと梅畑さん(仮名)パート勤務の30代後半の女性が「今日は子供の熱があるので、早めに退勤をしたいのですけど…」と、話をしてくださった。

こういったことは基本的にOKとしている。仕事というのはプライベートよりも上にあるものじゃないと思っていて、プライベートで「参観日」「ペットのこと」「たまの旅行」などなど、おそらく暮らしで大事にすべきことがあると思うけど、それを邪魔してしまうべきではないと思っている。
有給休暇を使って。完全に好きなように取らせてあげられていないのが現実だけれど、何かのときくらいは「お互い様だよね」ってフォローし合いたい。

その日も、どちらにしたって「休んで大丈夫ですよー」と返事をするつもりだったけど、一応お店の状況もちゃんと見ておく。テーブルの端っこには先週依頼のあった仕事の山が積み上がっているけれど、今日入ってくる仕事の量とその日にみんなで捌けそうな仕事を見積もったときに、梅畑さんがいなくても、店舗は回せそうだと思った。

「それはお子さんの面倒を見てください」
「どうも、助かります」と。

そこまでは普段よくやっていることで、まあ週に1〜2回くらいは誰かのお子さんが発熱してパート職員の誰かが休みってことはあった。
しかし梅畑さんは「明日、半日出勤しますよ」と言ってくれて休みを変更してくれた。

そこで気づけばよかったのだけど、世の中、ものごとの裏には、抱えがあるはず。普通に考えて、急遽半日の出勤にするって嫌じゃないですか?
本人から言ってくれたこととはいえ、せめて一回は「それは無理してないですか?」と確認して、そのあとで「ありがとうございます」と言うべきだった。しかし何も考えずに「うわ、助かります」っと。

ここ最近、思慮深くないと思う。何も考えずに口にされたことだけを信じて、それじゃあほんとの助け合いをすることなんてできやしない。
職場が暮らしのプラスになるような、そこで働くことが楽しみと思える職場にしたい。月手当4万円でどうして体調を崩すくらいに心的負担の大きいことをやっているのか。そりゃ自分なりにやれることをやりたいから。

翌日になって、「ほんとは休んでもらっても大丈夫だったと思うんです。」と確認をしたら「私としても気になる仕事があったので、出ておきたかったのです」ということだったので良かったけれど。

まだまだ未熟な自分は、一旦立ち止まるくらいの余裕を持っていかないとななどと思ったのでした。
終わり。










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