世の中のきれいなことを書きたいと思った。ふと無口な人のことを思い出す。
20分ほどパソコンの前にいる。
どう書けばいいのか。
自分じゃうまく書けない気がする、、、というか女性のことをあまり知らない。一緒に働いる女性だが、なかなか喋るタイミングが掴めない。
3年前。
事務所の中でパワハラが横行していたときにやってこられた。僕がその頃から管理者をしていて、2人のベテランの社員がいたのだけど、その2人は感情をコントロールすることができないようだった。
新しく採用した人に当たり散らして、気持ちを発散させる。新人は続かない。
そういう状況があった。
その1年前に本部から異動となった40代の女性の方が、そのなかでもとくに酷く、ずーっと態度は変わらなかった。
そもそも本部でも持て余していた人だ。
管理者として自分がうまくやれていたら良かったのだけど、
何も変わらなかった。
15歳以上も年上のそのベテラン社員さんと話をしてみたけれど、反省の色は薄い。
「私も頑張っているのに、、、」
辞めていった人の気持ちを考えてもらってみたり、八つ当たりをする理由を尋ねてみたけど、そもそも自分が悪いと自覚はある。
だけどコントロールできない。
最後には、「相手に問題が無ければ私だってあんな風にはならない」
と。
うまくいかなかった。
そんなときにAさんBさんの中途採用があった。
「よろしくお願いします」
小声で話すAさんと自信がありそうなのがBさんだった。
だけど、Bさんは馴染めなくなって、ベテランさんたちと対立をするようになって結局、Bさんは辞めて、Aさんとベテラン2人だけが残った。
とても不思議だった。
Aさんはコミュニケーションを積極的に取ろうとしないのに、ベテラン2人はなにも文句を言わないのだ。
業務以外のことは喋らず、淡々と仕事をする。
なにが他の人たちと違うのだろう。傍から見ていると無口な女性がいるようにしか見えない。だけどそれが普通じゃない。
背景を知っている人間からするとほんと不思議だった。
そして、さらに不思議なのが、本人に自覚がない。
ある日、Aさんと外に出かけることがあって、僕は「コミュニケーションで意識していることはある?」と聞いてみた。
なにか見抜いて、わざと無口に接しているものかと思った。
「いや、全然。ただ私は無口なので」
むしろコミュニケーションは苦手だと思っているようだ。
3年が経った今も彼女のそんな態度は変わらない。
パワハラをしていたベテランさんはもう辞めている。
本部に訴えてその人を他店舗に異動をすることになったとき、ベテラン社員さんは自から「もう辞めます」と言った。
「新しい環境で自分を変えてみようと思います」
そしてきっと今も自分を変えようと頑張っておられる。
そして今淡々と仕事をするAさんを見ていると、僕はやっぱり心の底から「凄く」「美しい人だ」と思ってしまうのだ。
そして、さらに気づいたことがある。
彼女は帰り際にそっと荷物の整理をしていた。モノが違ったときに、そっと物品を移動させているのだ。
そんなことに最近気づいた。
地方のなんでもない店舗での話し。こんなことが世界にはある。
彼女は周りからなにも言われない。だけど彼女はこの世界で最も美しい人の一人なのだ。